ムカゴネコノメソウ

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ムカゴネコノメソウ
福島県中通り地方 2017年3月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
: ユキノシタ目 Saxifragales
: ユキノシタ科 Saxifragaceae
: ネコノメソウ属 Chrysosplenium
: ムカゴネコノメソウ
C. maximowiczii
学名
Chrysosplenium maximowiczii Franch. et Sav.[1]
和名
ムカゴネコノメソウ(零余子猫の目草)[2]

ムカゴネコノメソウ(零余子猫の目草、学名:Chrysosplenium maximowiczii)は、ユキノシタ科ネコノメソウ属多年草[2][3][4]。別名、タマネコノメ[1]、ムカゴネコノメ[5]

特徴[編集]

植物体は、に生えるわずかの毛を除き無毛。走出枝は地上性または地中性のものがあり、地上性の走出枝には普通葉をつける。地中性の走出枝には鱗片葉をつけ、先端には1個のむかご(珠芽)をつける。むかごは長さ約1cmになる紡錘形で、赤色をおび、暗紫褐色の細点があって毛が密生する。花茎は前年の地中にできたむかごから生じ、高さ3-15cmになり、白毛がまばらに生え、緑白色で基部は赤紫色をおびる。茎は2-3対が対生または一部互生し、葉身は卵円形から広倒卵円形で、長さ幅ともに4-18mm、縁には3-7個の内曲した円い鋸歯があり、両面とも無毛、基部はくさび形となり、長さ2-15mmの葉柄となる[2][3][4][5]

花期は3-4月。花序にまばらに少数のをつける。花序を取り囲む苞葉は茎葉とほぼ同じ形をしている。花には花柄がある。裂片は4個で花時に直立し、長さは約1.5mmになり、広卵形または卵円形で、色は緑色、淡緑色または淡黄緑色になる。花弁は無い。雄蕊は8個あり、長さ0.8-1mmで、花時に内側に傾く。裂開直前の葯は緑白色または黄白色。花盤は発達しない。子房は中位。花柱は2個あり、ごく短く、直立する。果実は朔果で2個の心皮は大きさが異なり、嘴状に直立し、先端は萼裂片を突き出る。種子は多数あり、卵円形で、長さ約0.6mm、縦に10数個の隆条があり硬い短乳頭状突起が並ぶ[2][4][5]

分布と生育環境[編集]

日本固有種[3]。本州の宮城県南部から関東地方東海地方に分布し[2][3][4]、谷沿いの樹林下に生育する[4]

名前の由来[編集]

ネコノメソウ属の中で、本種は、地中性の走出枝があり、その先にむかご(珠芽)をつけることが特異であり[3]、和名の由来にもなっている。

種小名(種形容語)maximowiczii は、ロシア人で東亜植物研究者のマキシモヴィッチへの献名[6]

種の保全状況評価[編集]

準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b ムカゴネコノメソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.267
  3. ^ a b c d e 『日本の固有植物』p.71
  4. ^ a b c d e 『改訂新版 日本の野生植物2』p.201
  5. ^ a b c 『原色日本植物図鑑・草本編II(改訂53刷)』pp.138-143
  6. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1502

参考文献[編集]

外部リンク[編集]