ペスト (小説)

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ペスト
La Peste
著者 アルベール・カミュ
訳者 宮崎嶺雄1950年
発行日 フランスの旗1947年
日本の旗1950年など
発行元 フランスの旗Gallimard
日本の旗新潮文庫など
ジャンル 不条理小説、実存主義小説
フランスの旗 フランス
言語 仏語
公式サイト http://www.shinchosha.co.jp/book/211403/
コード ISBN 4-10-211403-3
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ペスト』(: La Peste)は、アルベール・カミュが書いたフランス小説。出版は1947年ペストに襲われたアルジェリアオラン市を舞台に、苦境の中、団結する民衆たちを描き、無慈悲な運命と人間との関係性が問題提起される。医者、市民、よそ者、逃亡者と、登場人物たちはさまざまだが、全員が民衆を襲うペストの脅威に、助けあいながら立ち向かう。

よく言われるのは、この作品は第二次世界大戦時のナチズムに対するフランス・レジスタンス運動メタファーではないかということだ。さらに、実存主義文学の古典とも言われるが、カミュはこのレッテルを嫌っていた。語り口は、個々のセンテンスが複数の意味を内包し、その一つが現象的な意識および人間の条件の寓意である点で、カフカの小説、とくに『審判』に通じるものがあると言われている。

カミュのアプローチは非情で、語り手である主人公は、自分たちは結局何もコントロールできない、人生の不条理は避けられないという考えを力説する。カミュは不条理に対する人々のさまざまな反応を例示し、いかに世界が不条理に満ちているかを表している。

登場人物[編集]

  • 語り手:その正体は最後になって明かされる。
  • ベルナール・リウー:医師。
  • ジャン・タルー:よそ者、手帳はこの作品のもうひとつの物語手。
  • ジョセフ・グラン:作家志望の下級役人。
  • コタール:絶望に駆られた男、犯罪者。
  • カステル:医師。
  • リシャール:市内で最も有力な医師の一人。
  • パヌルー:博学かつ戦闘的なイエズス会の神父。
  • オトン氏:予審判事、「ふくろう男」。
  • レイモン・ランベール:新聞記者。
  • 喘息病みの爺さん:リウーの患者

あらすじ[編集]

はじまりは、リウーが階段でつまづいた一匹の死んだ鼠だった。やがて、死者が出はじめ、リウーは死因がペストであることに気付く。新聞やラジオがそれを報じ、町はパニックになる。最初は楽観的だった市当局も、死者の数は増える一方で、その対応に追われるようになる。

やがて町は外部と完全に遮断される。脱出不可能の状況で、市民の精神状態も困憊してゆく。

ランベールが妻の待つパリに脱出したいと言うので、コタールが密輸業者を紹介する。コタールは逃亡者で町を出る気はなかった。パヌルー神父は、ペストの発生は人々の罪のせいで悔い改めよと説教する。一方、リウー、タルー、グランは必死に患者の治療を続ける。タルーは志願の保険隊を組織する。

ランベールは脱出計画をリウー、タルーに打ち明けるが、彼らは町を離れる気はない。やらねばならない仕事が残っているからだ。ランベールは、リウーの妻も町の外にいて、しかも病気療養中だということを聞かされる。ランベールは考えを改め、リウーたちに手伝いを申し出る。

少年が苦しみながら死んだ。それも罪のせいだと言うパヌルーに、リウーは抗議する。確かに罪なき者はこの世にはいないのかも知れない。パヌルーもまたペストで死んでしまうのだから。

災厄は突然潮が退いたように終息する。人々は元の生活に戻ってゆく。ランベールは妻と再会でき、コタールは警察に逮捕される。流行は過ぎたはずなのに、タルーは病気で死んでしまう。そして、リウーは療養中の妻が死んだことを知らされる。

他の作品への言及[編集]

  • 最初のパートで、リウーは、浜辺で射殺された男の話を耳にする。おそらくカミュの『異邦人』で主人公が射殺したアラブ人のことであろう。
  • 初めの方で、コタールがカフカの『審判』について言及する。

日本語訳書[編集]

外部リンク[編集]