ビスタビジョン

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35ミリ・横駆動ビスタビジョンカメラのフィルム。破線部が実際に使われる領域。

ビスタビジョン(VistaVision)は、画面アスペクト比が1.66:1程度の横長の画面サイズのこと。1950年代に米国パラマウント・ピクチャーズ社が20世紀フォックス社のシネマスコープに対抗して開発した。

原理[編集]

35ミリネガフィルムのスタンダード・サイズにおける1コマの横縦比は1.37:1である。これを横に駆動させ、スタンダード・サイズの2コマで1コマを構成するようにした「ビスタビジョン・カメラ」においては、横縦比は5:3、即ち1.66:1となる。また、このことによって、スタンダード・サイズの2倍以上のフィルム面積を使って撮影することが可能となり、その分、画質も大幅に向上することになる。

ただし、映画館映写機は縦駆動であるため、上映用プリントは縦駆動のポジフィルムに縮小焼きつけすることになるが、その際、スタンダード・サイズに比べて縦の比率が小さくなるため、画面の上下にマスクをして横長の画面を得る。

使用状況[編集]

以上が本来のビスタビジョンの原理であるが、上述のように特殊なカメラを必要とするものであるため、出現してから数年のうちに、本来のビスタビジョンで撮影されることはほとんどなくなった。が、フィルムの性能が向上したことや、映画館においても、テレビとの対抗上、「横に広い」画面が求められたこともあって、画面サイズとしてのビスタサイズは、その後も継続して使用されるものとなった。この際、縦駆動の通常のカメラでスタンダード・サイズで撮影し、上映フィルムのプリントの際に上下にマスクをかける。これによって横長の映像を得る。

この撮影方法はパン・アンド・スキャンの処理に手間がかからない。マスクがかかる前のフィルムを利用すればそのままテレビ・サイズへ流用できるからである。しかし、上下は隠れることを前提に撮影されているため、映画に不要な撮影時の素材が写りこんでしまうことがある(マイクやマットなど)。

現在でも特殊効果、視覚効果などの撮影の際には高画質な素材が必要なため、ビスタビジョンが用いられる場合がある。

ただし、上下のマスクのかけ方の相違から、ヨーロッパ・ビスタ(1.66:1)とアメリカン・ビスタ(1.85:1)との2種類が出現した。日本映画においては大映が初めて採用したアメリカン・ビスタサイズが用いられることが多い。かつての横駆動ビスタビジョンは、後年、ジョン・ダイクストラが「ダイクストラ・フレックス」として特撮用カメラとして再利用し、その基本性能の良さが再評価された。

なお、NTSC方式テレビ放送を改良したワイドクリアビジョン放送、地上デジタルテレビジョン放送BSデジタル放送で採用されている高精細度テレビジョン放送の日本規格ハイビジョンのアスペクト比は1.78:1(16:9)で、ビスタサイズとほぼ同じ。

ちなみに、現在の日本のシネコンにおいては、アメリカン・ビスタかスコープサイズにしか対応していないスクリーンが大多数である。よって、ヨーロピアン・ビスタやスタンダードサイズの映画は、アメリカン・ビスタに押し込めて上映せざるを得ないため、多くは「上下が切れた」状態での上映になるか、左右をマスク状態にして上映されている。

関連項目[編集]