ノート:ローザ・ボヌール

ページのコンテンツが他言語でサポートされていません。

「レジオンドヌール勲章を女性としてはじめて受けた人物」という記述について[編集]

検証にご協力をありがとうございます! 美術についても主題のボヌールについてもほとんど存じていないのですが、レジオンドヌール勲章の記事の正確性点検の際に矛盾に気付いたので{{要検証}}テンプレートを貼らせていただいておりました。レジオンドヌール勲章記事の側で個別に検証を行うのは困難な状況なので、こうして情報を提供して頂けると本当に助かります。追加して頂いた出典を基点に取り急ぎウェブ上だけですが芋づる式に追加調査を行ってみました。

Rosa Bonheur: The Artist's biography.(自伝ではなく晩年の伴侶Anna Klumpkeによる伝記だそうです[1])の2001年の再版をgoogle booksで拝見いたしましたところ[2]

The following summer the Empress named Rosa Bonheur to the Legion of Honor, making her the first woman artist so honored. (Klumpke 2001, p.199)

とありました。「この栄誉を受けた最初の女性『芸術家』とした」となっておりまして、「女性初」ではなく「女性芸術家初」であったという記述である可能性があります。フランス語版のボヌールの記事も同様の記述となっております。

Première femme artiste à avoir été nommée Chevalier dans l'ordre de la Légion d'honneur en 1865

会話ページの方で賜りました

the first woman to be awarded the Grand Cross of the Legion of Honor

という記述はRosa Bonheur: The Artist's biography.の新旧両版からは見付けることが出来ませんでした(全文検索できているはずですが、実物が手許にないので断言は出来ません……書籍本文中に記載があるようでしたらご教示ください)が、この本のamazonでの紹介文[3]や、 「J. G. Reinis (1999) (英語). The portrait medallions of David d'Angers: an illustrated catalogue of David's contemporary and retrospective portraits in bronze. Polymath Press. pp. 493 pages. ISBN 9780937370018 」という別の本[4]にそのような記述があるようです。これを翻訳すると「レジオンドヌールのグランクロワを受章した最初の女性」となります(グランクロワはレジオンドヌール勲章の最高位です)。

フランス政府のレジオンドヌール勲位局サイトを見てみますと、ナポレオン3世が1851年に叙勲したブリュロン未亡人マリー・アンジェリク・デュシュマンが女性初の受勲者で、ナポレオン3世は治世中にローザ・ボヌールを「女性初のオフィシエ」(オフィシエというのは下から2番目で、シュヴァリエの上の階級です)にしたという記述がありました[5]。また同じPDFに、グランクロワの最初の女性受章者は1997年のジュヌヴィエーヴ・ド・ゴール=アントニオーズ(大統領のシャルル・ド・ゴールの姪)とあります。ボヌールがグランクロワを受章したとの件は、恐れながら、 Cahners Business Information社(現・Reed Business Information社)による当該書の紹介文にあった事実誤認がamazon経由で広がったものなのではないかと推測します。

フランス文化庁のデータベースを調べてみましたところ、

  • 1851/8/15のデュシュマンのシュヴァリエ受勲[6]
  • 1869/6/8のボヌールのシュヴァリエ叙勲、ならびに1894/8/3のオフィシエへの昇格[7]

の公文書のスキャンがあり、勲位局の記載の通りとなっておりました。

なお、これはボヌールの件からは離れるのですが、Klumpkeの伝記の注釈に

... as did the first female member of the Legion of Honor, Virginie Ghesquière, decorated in 1808. (Klumpke 2001, p.xxxvii)

という記述があり、これを信じるなら最初の女性受勲者は1808年のVirginie Ghesquièreということになるのですが、この人物はフランス文化庁のデータベースにも出て来ないので勲位局のサイトよりもこちらを信じていいものか計り兼ねております。ペールラシェーズ墓地のサイトによるなら、なんでも男と偽って病弱な兄弟の代わりに従軍した女性であったようなのですが……?

以上ウェブだけの調査ではありますが、ボヌールより前に女性受章者がいたことはほぼ確実なように思われます。ボヌールは「レジオンドヌール勲章を女性としてはじめて受けた人物」ではなく

  • レジオンドヌール勲章を女性芸術家としてはじめて受けた人物(Klumpke 2001, p.199)
  • レジオンドヌール勲章のオフィシエを女性としてはじめて受けた人物(レジオンドヌール勲位局)
  • レジオンドヌール勲章を女性(軍人ではなく)民間人としてはじめて受けた人物?(未検証)

であったのではないでしょうか?

おかげさまで情報源も集まり、いい機会ですので、近日中にフランス語版からの翻訳追加を行いたいと思っております。その際にでも、この件(やその他の点)について矛盾や間違いがないか改めてご確認を賜われれば幸いです。--Igitur 2010年4月6日 (火) 12:22 (UTC)[返信]

詳細な検証ありがとうございました。Rosa Bonheur The Artist's biographyのp.271に「1894 Rosa is promoted to the rank of Officer of the Legion of Honor. She is the first woman ever to obtain this rank.」とあり、これを私がよくわかっていないままamazonの紹介文など、Web上の情報源と混合して書いてしまったのが原因ですね。混乱させて申し訳ありません。
さて、記述についてですが現在の出典に倣うなら、「レジオンドヌール勲章のオフィシエを女性としてはじめて受けた人物」とするか、「レジオンドヌール勲章を女性芸術家としてはじめて受けた人物」とするのが適切では無いかと思います。フランス語版からの翻訳に伴って書き換えて頂いても構いません。--R.Lucy 2010年4月8日 (木) 12:17 (UTC)[返信]
ありがとうございます、なるべく元の記述を活かしつつ翻訳追加を実施してみました。レジオンドヌール受勲の際はウジェニー皇后が直々にアトリエまで渡しに来たりなどかなりの出来事だったみたいですね。今回は予備知識なしでの翻訳なのでどこが間違っているか分かりません(し、私の訳文は日本語としての品質自体が低いです)ので、点検・修正・加筆など頂ければ幸いです。
今回の件とは関係ありませんが、仏語版には1845年にローザがサロン・ド・パリで3等のメダルを獲得したとあり、Klumpkeにも記述があるのですが[8]サロン・ド・パリの記事では「1849年からはメダルも授与された」となっており、どちらかに何らかの誤りがあるようです。難しいものですね……--Igitur 2010年4月15日 (木) 15:23 (UTC)[返信]