テレビ幼稚園

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テレビ幼稚園』は、ラジオ東京テレビ(後のTBS)が1958年から放送していた番組である[1]。ラジオ東京がテレビの早朝放送を開始すると同時に新設した幼児番組で[2]、放送時間は月曜から土曜の午前8時台[4]、名古屋ではCBC、大阪ではABCなど系列局でも放送された[5]。番組名は何度か変更されており、『こばとテレビ幼稚園』[6][7]や『ぽっことぴっきいテレビ幼稚園』[8]といった名称が使用されたこともある。

なお、関西テレビが1958年から1960年まで放送していた『テレビ幼稚園』は同局制作による別の番組である[9]

概要[編集]

1956年(昭和31年)、講談社は『たのしい一年生』を創刊し、翌年以降、『たのしい二年生』から『たのしい六年生』まで、学年誌を順次創刊した。1957年(昭和32年)には日本テレビが開始間もない早朝枠に新設した[10]テレビのおばちゃま』の番組提供を行い、『たのしい一年生』の宣伝に活用した[11][12]。講談社の動きに対し『小学一年生』など競合誌を刊行していた小学館は、既刊誌の内容強化や判型変更、幼児誌の新設を行って対抗[13]、小学館と関係の深い集英社もこれに呼応し、1958年(昭和33年)に幼児誌『女子幼稚園こばと』(後に『こばと幼稚園』に改題)を創刊した。両社は日本テレビに続いて1958年(昭和33年)より早朝放送を開始したラジオ東京テレビの番組に提供、雑誌と連動した企画を行った[14]。この番組が『テレビ幼稚園』である。

番組は歌や遊戯など実際の幼稚園を模した内容で[1]、局近隣の幼稚園から専用バスで動員された園児も出演した[15]。『こばと』掲載の「こりすのぽっこちゃん」も人形劇として登場、「ぽっこちゃん」のキャラクター商品も発売された[14][16]

脚注[編集]

  1. ^ a b 『TBS50年史』添付DVDに収録された「テレビ幼稚園」の解説文による。このDVDは番組名の微細な変更毎に別番組として扱っており、1958年から放送された『テレビ幼稚園』は1959年3月までの放送であったとしているほか、『TBS50年史』資料編に掲載されている番組表の記載とも食い違いがある。
  2. ^ 『TBS50年史』106ページ。
  3. ^ 竹内博(編集)『証言構成 OHの肖像 大伴昌司とその時代』飛鳥新社、1988年、71-73ページ。ISBN 4-87031-053-8
  4. ^ 『TBS50年史』資料編136, 138, 140, 142ページ掲載の番組表による。元TBSプロデューサーの春日紀衛は、7時20分からの放送だったと述べている[3]
  5. ^ 『幼稚園えほん「こばと」』第3巻第11号(夏休み増刊ぽっこちゃん号)、集英社、1960年8月、60ページ。※奥付には「第3巻第10号」と書かれているが、表紙の表記を示した。
  6. ^ 『TBS50年史』資料編136ページ。
  7. ^ 『読売新聞』昭和36年(1961年)2月15日付朝刊9面広告。
  8. ^ 『TBS50年史』添付DVD。
  9. ^ 関西テレビ放送株式会社総務局社史編集室編集『関西テレビ放送10年史』関西テレビ放送、1968年、161ページおよび制作番組総目録 3ページ。
  10. ^ 「NTV 朝の番組に「テレビ幼稚園」 〝おばちゃま〟が子守役 きょうから 忙しいママの手助け」『読売新聞』昭和32年2月4日付朝刊5面。
  11. ^ 講談社社史編纂委員会編集『クロニック講談社の90年』講談社、2001年、298ページ。
  12. ^ 講談社社史編纂室編纂『年表・資料 講談社の100年』講談社、2010年、72ページ。
  13. ^ 『小学館五十年史年表』小学館社史調査委員会、1975年、54-56ページ。
  14. ^ a b 「〝こりすのぽっこちゃん〟がテレビで人気に」『集英社70年の歴史』社史編纂室編集、集英社、1997年、62ページ。および同書掲載年表313, 314, 319ページ。
  15. ^ 「チィチィパッパの大さわぎ 早朝番組「テレビ幼稚園」」『娯楽よみうり』第4巻第7号、読売新聞社、1958年2月、19ページ。
  16. ^ 泉麻人『シェーの時代――「おそ松くん」と昭和こども社会』文藝春秋〈文春新書642〉、2008年、22ページ。ISBN 978-4-16-660642-9

参考文献[編集]

  • 『TBS50年史』東京放送、2002年。