スプリングフィールドM1861

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スプリングフィールドM1861
Springfield 1861.jpg
スプリングフィールドM1861
スプリングフィールドM1861
種類 前装式ライフル銃
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
設計・製造 スプリングフィールド兵器廠
年代 19世紀中ごろ
仕様
口径 58口径(14.732mm)
銃身長 40インチ(1m)
使用弾薬 .58口径ミニエー弾
装弾数 1発
作動方式 パーカッションロック
全長 1.4m
重量 4100g
発射速度 2、3発/分
最大射程 820~910m
有効射程 91~370m
歴史
設計年 1861年
製造期間 1860年~1872年
配備期間 1861年~1872年
配備先 アメリカ連合国北軍
関連戦争・紛争 南北戦争
製造数 ~100万挺
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スプリングフィールドM1861南北戦争中にアメリカ陸軍(北軍)及び海兵隊が使用したミニエー形式のライフル・マスケットである。製造場所であるマサチューセッツ州スプリングフィールドにちなんで、「スプリングフィールド」と一般に呼ばれている[1]。南北戦争中に、北軍で最も多く使用された小銃であり、その射程、正確さ、および信頼性から好まれた。

概要[編集]

以前のモデルであるM1855との特筆すべき差は、M1861ではメイナード・テープ式雷管(Maynard tape primer)の使用を取りやめたことである(自動巻き取り型のテープ式雷管は悪天候時の信頼性に欠け、製造に時間・コストがかかった)。さらにM1855と異なり、M1861では2バンド型(銃身と銃床を2個のバンドで固定する)は採用されなかった。

M1861は、持ち上げ式のリーフ式照門を採用した。2つのリーフがあり、片方は300ヤードに、もう片方は500ヤードに調整されており、両方を下げた場合は100ヤードに調整された。南軍が用いたイギリス製の1857年型エンフィールド銃は、ラダー式照門を使用しており、100ヤードから400ヤードまで、100ヤード刻みに調整でき、さらに照門を持ち上げると500ヤード以上に調整できた。エンフィールドの方が細かく照準を合わせることができるが、スプリングフィールドの単純な照門はより丈夫で、また製造コストも安かった。エンフィールドの照門は900ヤード(後のモデルではそれ以上)まで設定されており、500ヤードまでしかないスプリングフィールドより長かったが、実際の戦場では600ヤード以上離れた目標に命中させることは、どちらの銃を用いても運以外のものではなかった。照門の構造は違ったが、その他の点では2つの銃は類似しており、有効射程も似たようなものであった。

M1861のコストは、スプリングフィールド造兵廠で製造された場合は$20であった。需要が多かったため、民間の契約20業者も製造を担当した。M1861の製造業者で最も著名なのはコルト社で、いくつかの自社独自のマイナーチェンジモデルも製造し、「コルト・スペシャル」ライフル・マスケットと呼ばれた。変更点としては、銃身固定バンド、新型の撃鉄、新設計のボルスターがある。これらの変更は造兵廠でも採用され、スプリングフィールドM1863に取り入れられた。

M1861は三角型のスパイク型銃剣が装着できた。

訓練された兵ならば、500ヤードの距離である程度狙いをつけても、1分間に3発程度の発射が可能であったが、戦場での射撃距離はしばしばこれより短かった[1]

歴史[編集]

南北戦争開始時点では、M1861の供給は十分でなかった(多くの部隊はM1842滑腔マスケットやM1816を雷管式に改造したものを装備していた。どちらも69口径であった)。第一次ブルランの戦いの時点では、M1861はまだ供給されていなかったと思われる。しかしながら、時間の経過に伴い、より多くの連隊がM1861を受け取り、特に東部戦線に優先して供給された。スプリングフィールド造兵廠及び20の契約企業により100万丁以上のM1861が製造された[1]

M1861は米国で大量生産された最初のライフル・マスケットで(南北戦争前に少数生産されたライフルとしては、M1855、M1841ミシシッピ・ライフル、ハーパース・フェリーM1803がある)、その設計における大きな前進であった。しかし、南北戦争におけるM1861の役割は過大評価されているとする意見もある。熟練した狙撃兵が使用した場合はともかく、徴兵されたばかりで十分な射撃訓練(命中率より発射速度を上げることが優先された)を受けていない兵士が使用した場合には、命中率は高くはなかった。遠距離での正確性の欠如を補うため、南北戦争での銃撃戦は比較的近距離で、一斉射撃戦法で行われることが多かった。また58口径ミニエー弾は虹型の軌跡で飛翔するため、十分な訓練を受けていない兵士が撃った銃弾は、敵兵の頭上へそれた。これは特に戦争初期に発生しており、これを見越して兵士は下方を狙うように指示された。

現在[編集]

現在でも、南北戦争の愛好者やコレクターの間では、M1861はその正確性、信頼性と歴史的背景のため人気がある。実物は高価なため、Pedersoli、Armi Sport、Euro Arms等が、手頃な価格のレプリカを製造している。

脚注[編集]

  1. ^ a b c Brown P.401 [1]

参考資料[編集]

  • Earl J. Coates and Dean S. Thomas, An Introduction to Civil War Small Arms, Thomas Publications (PA); 1 edition (May 1990). ISBN 978-0939631254
  • Ian V. Hogg, Weapons of the Civil War, Chartwell Books (July 1995). ISBN 978-0785804307
  • Jerold E. Brown, Historical Dictionary of the U.S. Army, Greenwood Pub Group (2000/12/30). ISBN 978-0313293221

関連項目[編集]

外部リンク[編集]