ストローマン

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ストローマン: straw man)は、議論において対抗する者の意見を正しく引用しなかったり、歪められた内容に基づいて反論するという誤った論法、あるいはその歪められた架空の意見そのものを指す。藁人形論法ともいう。語源は仕立て上げられた架空の存在を藁人形に見立てたことからである。

概説[編集]

相手の意見の一部を誤解してみせたり、正しく引用することなく歪める、または一部のみを取り上げて誇大に解釈すれば、その意見に反論することは容易になる。この場合、第三者からみれば一見すると反論が妥当であるように思われるため、人々を説得する際に有効なテクニックとして用いられることがある。これは論法としては論点のすり替えにあたる誤謬であり、無意識でおこなっていれば論証上の誤り(非形式的誤謬)となるが、意図的におこなっていればそれは詭弁である。しばしば、感情に訴える論法チェリー・ピッキングのような他の誤りとともに用いられる。相手の発言を元の文脈を無視して引用し、本来の意味とは異なる印象を与えるよう提示することをクオート・マイニングと呼ぶが、クオート・マイニングに基づいて批判すればこれもストローマンの一種である。

マスメディアにおいても、対抗意見を充分に取材せず、独自に解釈した反論を両論併記などの形で用いることは故意でないにしろストローマンに繋がるものである。しかし実際には、こうした手法はしばしば報道に取り入れられている。

手順[編集]

  1. 相手が示した意見を歪め、あるいは一部のみを取り出して解釈し、それを相手が発言したかのように言い返す。
  2. さらに発言を引用する形で一見では否定しがたい自論を作り出し、自らの発言の正当性を補強する。
  3. 相手の意見に同調する不完全な擁護意見を持ち出し、充分な主張・再反論がされたようにみせかける。
  4. 発言の中から一見関係ありそうな問題や考え方を取り出し、さも相手側の意見はこれを象徴するものとして非難する。

簡単な例[編集]

  • A氏「私は子どもが道路で遊ぶのは危険だと思う。」
  • B氏「そうは思わない。なぜなら子どもが外で遊ぶのは良いことだからだ。A氏は子どもを一日中家に閉じ込めておけというが、果たしてそれは正しい子育てなのだろうか。」
    • 「道路」としか言及していないことに対し暗黙的に「道路=外」だと思わせ、さらに「危険だと思うなら家に閉じ込めておけ」という言外の要素を過剰に拡大して解釈している。
  • X氏「私は雨の日が嫌いだ。」
  • Y氏「もし雨が降らなかったら干ばつで農作物は枯れ、ダムは枯渇し我々はみな餓死することになるが、それでもX氏は雨など無くなったほうが良いと言うのであろうか。」
    • X氏の一私人としての感想を現実問題として解釈し、さらに「嫌いならば無くなったほうが良い」という言外の要素を過剰に拡大して解釈している。

参考文献[編集]

  • Pirie, Madsen (2007). How to Win Every Argument: The Use and Abuse of Logic. UK: Continuum International Publishing Group. ISBN 978-0-8264-9894-6. 

関連項目[編集]