こと座ベータ星

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こと座β星
データ
元期 J2000
星座 こと座
赤経 18h 50m 04.8s
赤緯 +33° 21′ 46″
視等級 (V) 3.52 (3.4 – 4.3)
特徴
スペクトル分類 B7 Ve / A8 Vp
色指数 (B-V) −0.56
色指数 (U-B) 0.00
変光星 こと座β型
アストロメトリー
視線速度 (Rv) −19.2 km/s
固有運動 (μ) 赤経: 1.10 ミリ秒/
赤緯: −4.46 ミリ秒/年
年周視差 (π) 3.70 ± ± 0.52 ミリ秒
距離 約900 光年
(約270 パーセク
絶対等級 (MV) −3.91
詳細
質量 2 / 12 M
半径 19 / 15 R
光度 2,500 / 230 L
表面温度 13,000 / 8,000 K
他の名称
こと座10番星, BD+33°3223, HD 174638, HIP 92420, HR 7106, SAO 67451, AAVSO 1846+33, FK5 705
Template (ノート 解説) 天体PJ

こと座β星は、こと座の恒星。バイエル符号は Beta Lyrae(略称 β Lyr)。太陽系から882光年離れたところにある連星である。

名称[編集]

固有名シェリアクの由来は、アラビア語الشلياقSheliak)で、亀、または琴を意味する。琴はもともと亀の甲羅に弦を張って作ったことから。こと座γ星も、同じく亀を意味する。ギリシャ神話の琴の名手、オルペウスの竪琴にちなんだものである。

物理的性質[編集]

この星は、青色矮星スペクトル分類B7V)と白色の主系列星(A8V)からなる連星である。2つの星は非常に近い位置にあり、お互いの星が重力で引き合うことによって、星の形が楕円に引き伸ばされている。

この連星系には3つめの星が存在し、45.7秒離れている。スペクトル分類はB7Vで、眼視等級は7.2。こちらは双眼鏡で容易に分離することができる。伴星の光度は太陽の80倍。4.34日の周期を持つ分光連星である。また、さらに別の伴星β星Fも存在し、眼視等級は9.9等級で、86秒離れている。光度は太陽の7倍あると考えられている。

こと座β型変光星[編集]

近接連星の公転によって生ずる変光を光度曲線とともに示す。

こと座β型変光星は、食変光星の一種であり、その呼称はこの星に由来している。このタイプの変光星では、星が楕円形に引き伸ばされているため、アルゴル型食変光星のように急激な変光が起こることはなく、徐々に変光していく。また、回転周期にあわせて、規則的に変光することも特徴である。星が近接しているため、一方の光球からガスがもう一方に流れ込む。

こと座β星はこのタイプの変光星の典型例であり、およそ300km/sで、高熱のガスなどが流れ込んでいる。物質の流出により、大きいほうの星は質量を失っていく。こと座β星の場合、1万3000Kの星が、8000Kの星の周りを回っていると考えられている。

こと座β星の変光は、暗い場所であれば、肉眼で容易に見つけることができるため、1784年に、イギリス人のアマチュア天文家のジョン・グッドリックにより変光星として発見された。アルゴルと違い、近接していて分離が難しいため、変光原因の解明までには容易ではなかった。

こと座β星は、12.9075日の周期で、+3.4等級から+4.6等級の間で変光する。2つの星が非常に近接しているため、光学望遠鏡では分離することはできない。

電波星[編集]

伴星からガスが流入する様子を表した図。降着円盤が形成され、電磁波が放射されている。

こと座β星は、アメリカ国立電波天文台のR. M. Hjellming と C. M. Wadeによって、1971年に電波星であることが分かった。星の間での物質移動が原因であると考えられる [1] [2]

連星系の一方から流出したガスは、主星の周りに降着円盤を形成している。降着円盤にたまったガスはやがて主星へと落ち、その時に電磁波が放射される。電磁波は、降着円盤の回転面に対して90度で放射されている [3]。A型星である伴星は、太陽質量の3倍程度で、ロシュ・ローブを満たしており、ガスを主星に奪われている。伴星は毎年、太陽質量の 2×10−5 倍の質量を失い続けている。B型星の主星は、太陽質量の13倍程度である[4]



脚注・出典[編集]

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