ゴクスタ墳丘

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ゴクスタ墳丘(2008年)

ゴクスタ墳丘(ゴクスタふんきゅう、ノルウェー語: Gokstadhaugen)は、ノルウェーヴェストフォル県サンデフィヨルドのゴクスタ農場に所在する、大きな墳丘墓である。王の墳丘Kongshaugen)とも呼ばれ、9世紀のゴクスタ船が発見された場所である[1][2][3]

歴史[編集]

1929年の落成式典で設置された石碑
ゴクスタで発見されたスカンディナヴィアの船(『Popular Science Monthly』19巻、82頁、1881年)
『王の墳丘』(スミソニアン協会理事会の年次報告書、1891年)

この墳丘は、1880年にニコライ・ニコライセン英語版によって発掘された。ゴクスタ船は890年頃に建造され、10年ほど後に墳丘に埋められたとみられる。主にオーク材が使われ、全長23.8メートル(78フィート)、幅は5.2メートル(17フィート)。16組のがあり、最高速度は12ノットと推定される[4]。現在、この船はオスロのヴァイキング船博物館に所蔵されている[5]

船とともに葬られていたのは、黒髪のハーフダン英語版の異母兄弟・ゲイルスタッド・エルフのオラフ王英語版(小王)であると長く信じられてきた[6][7]。しかし近年の発見により、従来の説の信憑性に疑問が生じ、埋葬されていた有力者が誰であるのかははっきりしない[8][9]

2年間の修復作業の後、1929年7月に墳丘は献納された。墳丘の周囲には小さな石塀が築かれ、塀に沿って樺の木が植えられた。7月20日に落成式典が行われ、2,000-3,000人の観客が集まった。ホーコン7世の他、教会担当大臣、ノルウェー文化遺産局英語版ヴェストフォル県の首長なども出席した[10][11]。7月28日に催された公式な落成式典でも、ホーコン7世はスピーチを行った[12]

ゴクスタ墳丘は、ノルウェーで最も素晴らしい考古学的発見のひとつであると評されている[9]。2014年1月、ノルウェー政府は世界遺産への登録をユネスコに申請した[13][14]

発掘[編集]

1880年の発掘調査の様子
案内板の長さはゴクスタ船を象徴する23.5メートル[7]

1880年の調査では、墳丘は直径50メートル(164フィート)、高さ5メートル(16.4フィート)と測定された[15]ヴァイキング時代の水位はかなり高く、海面は現在より4メートル近く高い位置であった。そのため、海の近くに埋められたと推定される。墓からはゲーム盤、釣り針、馬具(鉛、鉄、金メッキされた青銅のもの)、64個の盾、調理用具、6台のベッド、そりなど、そしてもちろん小さな船も3隻発見された。またクジャク2羽、オオタカ2羽、イヌ8匹、ウマ12頭も発見されている[5][16]

墓室は何層もの樺の皮で覆われており、屋根の丸太の間からは、金糸を織り込んだ絹の遺物が考古学者によって発見された。これらは、内壁を装飾する豪華なタペストリーだったのかもしれない[16]

年輪年代学により、船は西暦885年から892年の間に建造されことが証明されている。墓室は西暦895年から903年に作られたものとされる[17]

埋葬されていた指導者は身長181-183cmで、40歳前後で戦死したとみられている[18]

ゴクスタ船は1879年に発見され、1880年4月から6月にかけてニコライ・ニコライセンによって発掘された[19]。1928年6月16日、墳丘の発掘調査は終了し、指導者の指関節は墓室のサルコファガスに戻された。2007年、サルコファガスは考古学者によって運び出され、現在はオスロ大学で保管されている[20]

脚注[編集]

  1. ^ Holskjær, Lars (2017). Kamper uten tall. Forlagshuset i Vestfold. p. 200. ISBN 9788293407294 
  2. ^ Hjardar, Kim and Vegard Vike (2016). Vikings at War. Casemate Publishers & Book Distributors, LLC. pp. 140, 147. ISBN 9781612004549 
  3. ^ Emma Boff-MEN (2017年6月19日). “Sandefjord - where is it, how to get there, and where to stay - Manchester Evening News” (ノルウェー語). 2018年7月3日閲覧。
  4. ^ Hjardar, Kim; Vegard Vike (2016). Vikings at War. Casemate Publishers & Book Distributors, LLC. p. 147. ISBN 9781612004549 
  5. ^ a b Gjerseth, Simen (2016). Nye Sandefjord. Liv forlag. p. 277. ISBN 9788283301137 
  6. ^ Børresen, Svein E (2004). Vestfoldboka: en reise i kultur og natur. Skagerrak forl. p. 46. ISBN 9788292284070 
  7. ^ a b Tore, Sandberg; Cato Arveschoug (2001). Sandefjord zoomet inn av fotograf Tore Sandberg. C. Arveschoug and Magne Helland. p. 40. ISBN 9788299616706 
  8. ^ The Gokstad mound” (英語). www.visitnorway.com (2021年7月15日). 2022年4月閲覧。
  9. ^ a b Tollnes, Ivar; Olaf Akselsen (1994). Sandefjord: Den lille storbyen. Sandefjords blad. p. 103. ISBN 9788299070447 
  10. ^ Møller, Vilhelm (1980). Sandar: Bind II. Grend og gård 1850-1970. Sandefjord kommune. pp. 129-130. https://urn.nb.no/URN:NBN:no-nb_digibok_2013091738014 2021年8月30日閲覧。 
  11. ^ Olstad, Finn (1997). Sandefjords historie. B.2: En vanlig småby?. Sandefjord kommune. p. 412. ISBN 8299059585 
  12. ^ Hoffstad, Arne (1983). Sandefjords historie - sett gjennem Sandefjords Blads spalter 1861-1983. Bind I 1861-1940. Sandefjords blad og trykkeri. p. 434. ISBN 8299070414 
  13. ^ Unesco utsetter behandling av vikingarv” (ノルウェー語). tb.no (2011年12月19日). 2018年4月19日閲覧。
  14. ^ Vil ha Oseberghaugen på UNESCOs verdensarvliste” (ノルウェー語). NRK (2017年5月19日). 2018年4月19日閲覧。
  15. ^ Gokstadfunnet” (ノルウェー語). Store norske leksikon (2018年3月19日). 2018年4月19日閲覧。
  16. ^ a b The Gokstad grave - Museum of Cultural History” (英語). www.khm.uio.no (2016年7月7日). 2018年4月19日閲覧。
  17. ^ Gokstadskipet - Kulturhistorisk museum” (ノルウェー語). www.khm.uio.no (2012年11月1日). 2014年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月19日閲覧。
  18. ^ Michael - Skjelettet fra Gokstadskipet – ny vurdering av et gammelt funn”. www.dnms.no. 2018年4月19日閲覧。
  19. ^ Da Gokstadskipet ble funnet - Kulturhistorisk museum” (ノルウェー語). www.khm.uio.no (2012年11月1日). 2014年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月19日閲覧。
  20. ^ Utstillingen Levd liv” (PDF) (ノルウェー語). 2015年11月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月19日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]