カンツォーナ (メニン)

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カンツォーナCanzona)は、ピーター・メニンが作曲した吹奏楽曲

楽曲[編集]

1951年ゴールドマン・バンドの設立者であるエドウィン・フランコ・ゴールドマン英語版によって、作曲家連盟(League of Composers)を通して作曲を委嘱され、同年に出版された。メニンの唯一の吹奏楽作品であり、同じ委嘱シリーズによって他にもヴァージル・トムソンウォルター・ピストンハワード・ハンソンなどが初めて吹奏楽のために筆を執っている[1]

題名の「カンツォーナ」は、ジョヴァンニ・ガブリエーリなどに代表される16世紀から17世紀にかけての器楽曲の形式に由来しており、各セクションを対比的に扱う書法にその意識が現れている[2]。前年に作曲された交響曲第5番の終楽章に似た、対位法的で力強く、リズミックな書法で作曲されている[3][4]。作曲当時は吹奏楽のためのレパートリーが大きく発展している時期であり、この作品もその一つに属し、重要な作品として演奏が続けられている[1]

アレグロ・デチーゾ、4/4拍子。演奏時間は約5分。冒頭近くに現れる主題と、中盤で"dolce"の指示で提示される主題の二つを中心に展開していく[1]。冒頭のコラールをはじめとする三和音の連続による楽想は、形式の区切りや経過句として繰り返し用いられる[5]

注釈[編集]

  1. ^ a b c Kopetz, Barry E. "Canzona - Peter Mennin" Teaching Music through Performance in Band, vol.1 (2nd ed.) GIA Publications, 2010. p.603.
  2. ^ "Program Note (PDF) " (United States Marine Band, 2019) - 2020年1月10日閲覧。
  3. ^ 『200CD 吹奏楽 名曲・名演 魅惑のブラバン』(立風書房、1999)p.92.
  4. ^ Kopetz, p.604.
  5. ^ Kopetz, pp.602, 612-613

外部リンク[編集]