カレッジタウン

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カレッジタウン
大和田橋から西向きに望むカレッジタウン(画面右寄り)
カレッジタウンの位置(多摩地域内)
カレッジタウン
情報
用途 集合住宅
構造形式 鉄骨鉄筋コンクリート造
階数 地上10階地下3階(1棟、2棟)
地上5階地下1階(3棟)
竣工 1987年11月25日
所在地 192-0045
東京都八王子市大和田町6-1-12
座標 北緯35度39分48秒 東経139度20分48秒 / 北緯35.66333度 東経139.34667度 / 35.66333; 139.34667 (カレッジタウン)座標: 北緯35度39分48秒 東経139度20分48秒 / 北緯35.66333度 東経139.34667度 / 35.66333; 139.34667 (カレッジタウン)
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カレッジタウン[1]、ないし、カレッジタウン八王子(カレッジタウンはちおうじ)[2]は、東京都八王子市大和田町にある[1]バブル期1988年に開業した、豪華で大規模な学生マンション[2]

当初は、ワンルームから2K[2]、面積にしておよそ17 平方メートルから27平方メートルの625室で開業し、施設内にはレストラン、レンタルショップ、アルバイト紹介所[3]、クリーニング店、ビジネススクールなどが備えられていた[2]。1号棟と2号棟は地上10階、地下3階建て、3号棟は地上5階、地下1階建てで[1]、いずれの棟も中庭をもち平面図にすると「8」ないし「∞」が連なる形をしているが、これは「学生の可能性を表現した」ものとされる[2][3]2017年時点では、3棟のべ723戸があり、ランドリールーム、レストラン、学習室、図書室、防音室などが共用施設として備えられている[1]

沿革[編集]

総工費200億円といわれ[3]1987年11月25日に竣工したカレッジタウンは[1]、不動産会社ライベックスが、所有権を小口に分割して販売し、購入額の年5%ほどのリース料を保証するという「オーナーズシステム」と称する仕組みで運営していた[4]。3棟の建物は、当時はA棟、B棟、C棟と称されており、1992年の時点では、A棟の一部が研修用宿泊施設となっており、残りの部分にのべ625戸のワンルームがあったとされる[5]

1992年4月にライベックスが破綻すると、オーナーたちへのリース料の支払いが停止し、また、入居者から集金されていた公共料金の預かり金も管理会社が流用して失われ、電話、水道、電気、ガスの供給停止が予告される事態が生じた[4]。オーナーたちは自主管理を目指して管理組合を結成したが[5]、ライベックスに融資していたと称し[6]、管理権を引き継いだと主張するカレッジ・タウン社との間で対立が起き[5]、10月には部屋の明け渡しなどを求める訴訟が提起され[7]、対立の中で管理会社がオーナー側に料金を支払っていた学生の部屋の電話を止めるといった事態も生じた[8][9]。こうした状況の中で、入居者の退去が続き、建物は「ゴーストタウンのようになった」という[6]

一連の裁判では、1994年11月にC棟についてオーナー側勝訴の判決が出た[10]。以降、オーナー側は一連の裁判に勝訴して管理会社の不法占拠を排除し、ようやく1997年に入居募集を再開した[6]2000年には、新カレッジタウン管理組合法人によって、この間の経緯をまとめた書籍『カレッジタウン八王子 不動産金融商品の神話と現実―「夢」をとりもどした人たちの記録』が刊行された[6][11]。管理組合結成から10周年となった2002年の時点までに、入居率約95%と高い水準を回復した[12]2003年には新カレッジタウン管理組合を母体として、NPO法人マンション・留学生・わいわいコムネット八王子が設立され、マンションに関する相談にあたったり、地域交流行事などに取り組んでいる[13]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 会社概要 管理組織概要”. カレッジタウン入居者サポートセンター. 2017年2月17日閲覧。
  2. ^ a b c d e 室野井隆博 (1988年4月23日). “[NEWSグラフィティ]リゾート感覚のホテルと学生マンション”. 読売新聞・東京夕刊: p. 1. "十九の大学、短大、約七万五千人の学生が集まる八王子市に今月初めオープンした学生マンション「カレッジタウン八王子」。... カレッジタウンを空から見ると、無限大の記号「∞」に見える。学生の可能性を表現したとか。ワンルームタイプから2Kタイプまで百二十五室。バス、トイレ、電話付き、冷暖房完備で、家賃は管理費を含め五万九千円から十万円。クリーニング店、レンタルショップ、ビジネススクールからアルバイト紹介所まで備える、いたれり尽くせりの豪華さである。"  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  3. ^ a b c “学生マンションほどすてきな商売はない 東京・八王子(写88)”. 朝日新聞・夕刊: p. 1  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  4. ^ a b “オーナーズシステム会社倒産のツケ 3000人のリース料 十数億円が未払いに”. 読売新聞・東京朝刊: p. 31. (1992年5月14日). "ホテルやマンションの所有権の小口販売で急成長し、先月末に事実上倒産した不動産業「ライベックス」(本社・東京、千葉隆社長)から物件を買った全国のオーナー約三千人に、昨年十月からリース料が支払われていないことが十三日わかった。... オーナーたちは、自主運営を目指し管理組合を結成し始めた。... 所有権の小口販売はオーナーズシステムと呼ばれ、ライベックスは昭和五十五年にこの事業を開始した。ホテルやマンションの所有権を一口五百万円前後に分割して販売、管理は関連会社に委託し、所有者には、購入額の五%前後のリース料を毎年保証する仕組みだ。... カレッジタウンでは、入居者の学生らから預かった電話、水道、電気、ガスの公共料金約四千万円を管理会社が流用。八王子市水道部、NTT、東京電力、東京ガスの四者が、十四日までに払い込み計画を示さないと、供給をストップすると通告している。"  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  5. ^ a b c “[ニュース発掘]オーナーズシステムのトラブル続出 会社倒産で滞るリース料”. 読売新聞・東京夕刊: p. 3. (1992年8月19日). "東京都八王子市のマンション兼ホテル「カレッジタウン八王子」では、昨年秋以降、リース料(配当)が滞り、オーナーの多くが結束して管理権の明け渡しを要求している。... 今春から学生らの家賃を自分たちへ直接振り込ませるようになったが、事態を複雑化させたのが、「ライベックスから管理権を引き継いだ」として、五月に設立された管理運営会社「カレッジ・タウン社」(佐々木隆治社長)との対立。オーナー側は「タウン社と管理契約は結んでいない」と自主管理を主張する。... 〈カレッジタウン八王子〉研修用ホテル二百七十室を含むA棟と、B、C棟の計三棟(五~十階)に学生用ワンルームマンションが計六百二十五室あり、スポーツクラブ、レストラン、会議室などを備える。"  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  6. ^ a b c d “不動産に甘い話なし 八王子のマンション所有者ら、被害体験本を出版”. 読売新聞・東京朝刊・多摩: p. 32. (2000年9月27日). "間もなく倒産した開発会社に融資していたという管理会社の社員が、管理運営権を主張して建物に居座ってしまった。「不法占拠だ」とする所有者側は反発したが、管理会社側は、水道や電気などの管理室を占拠し、電話も使えなくした。このため退去者が相次ぎ、建物はゴーストタウンのようになった。... 立ち退きと損害賠償を求めた裁判で勝訴し、ようやく不法占拠者を排除。所有者の出費で荒れ果てていた建物を整備し、九七年に入居募集を再開した。"  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  7. ^ “不動産会社「ライベックス」など相手にマンション明け渡し求め提訴/オーナー”. 読売新聞・東京朝刊: p. 30. (1992年10月15日)  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  8. ^ “カレッジタウン八王子 管理会社が女子50室の電話ストップ オーナー側へ対抗”. 読売新聞・東京夕刊: p. 18. (1992年10月31日)  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  9. ^ “管理会社、97室の電話止める 東京・八王子のカレッジタウン”. 朝日新聞・東京朝刊. (1992年12月11日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  10. ^ “カレッジタウン八王子の部屋明け渡し訴訟 オーナー側が勝訴 会社の占有権なし”. 読売新聞・東京朝刊: p. 30. (1994年11月29日)  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  11. ^ 不動産金融商品の神話と現実 : カレッジタウン八王子 : 「夢」をとりもどした人たちの記録 新カレッジタウン管理組合法人 著,鳥生忠佑 監修”. 国立国会図書館. 2017年2月17日閲覧。
  12. ^ “活気再び 八王子のマンション自主管理組合 法人設立10周年”. 読売新聞・東京朝刊・多摩: p. 34. (2002年6月24日)  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  13. ^ “「カレッジタウン八王子」自主管理組合 NPO設立、マンション相談承り”. 読売新聞・東京朝刊・多摩: p. 32. (2003年1月15日)  - ヨミダス歴史館にて閲覧

関連文献[編集]

  • 新カレッジタウン管理組合法人 著(鳥生忠佑 監修)『不動産金融商品の神話と現実:カレッジタウン八王子:「夢」をとりもどした人たちの記録』恵友社、2000年
  • 「新カレッジタウン管理組合法人」設立一五周年記念本編集委員会『生きているカレッジタウン』新カレッジタウン管理組合法人、2009年

外部リンク[編集]