イギリス陸軍の編成

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イギリス陸軍の編成(イギリスりくぐんのへんせい)では、イギリス陸軍の編成について触れる。

作戦機関[編集]

地上部隊司令部(Headquarters Land Forces)[編集]

地上部隊最高司令官(Commander-in-Chief Land Forces)によって指揮される、イギリス陸軍の最上級作戦司令部。旧称Headquaters Land Command。吸収される予定だった人事・訓練・法務・憲兵を担当する陸軍副総監部(Adjutant General's Corps)が結局別組織として残ったため、名称以外に特に変更された機能・権限はない。

野戦軍(Field Army)[編集]

イギリス陸軍の定義で言う「配備可能な」部隊、つまり再編成なしで即座に実戦投入可能な部隊は基本的に野戦軍に所属する。野戦軍は実戦部隊を管理する組織ではあるが、野戦軍司令部そのものが作戦指揮を執ることは無い。

  • 野戦軍司令部
    • 第1師団(装甲師団 ドイツ駐留)
      • 師団直轄部隊
      • 第4機械化旅団
      • 第7装甲旅団
      • 第20装甲旅団
    • 第3師団(機械化師団 イギリス本土駐留)
      • 師団直轄部隊
      • 第1機械化旅団
      • 第12機械化旅団
      • 第19軽歩兵旅団
      • 第52歩兵旅団(旅団に所属しない軽歩兵大隊の管理部隊で基本的に作戦の指揮を執らない。エジンバラ城の警衛任務も担当)
    • 第6師団(海外派遣のための司令部組織で固有の部隊を持たない。最終的にはイラク派遣部隊の陸軍司令部組織を吸収予定)
    • 戦域部隊司令部(支援部隊を統括する)
      • 第1通信旅団(NATO欧州連合軍即応部隊(ARRC/旧イギリス第1軍団)の通信部隊)
      • 第2通信旅団(大規模自然災害等の非常事態における有線・無線・コンピュータネットワーク等の国家レベル通信手段の復旧および確保)
      • 第11通信旅団(戦域レベル支援のための戦域内通信・衛星通信・電子戦)
      • 第1軍事情報旅団(軍事情報の収集と保護、通訳・語学スペシャリストの運用、心理戦)
      • 第2衛生旅団(野戦病院の運用)
      • 第8工兵旅団(戦域レベル支援のための工兵部隊)
        • 第12工兵グループ(ジェット戦闘機を運用可能な仮設飛行場の設置と運営)
        • 第29工兵グループ(爆発物処理)
        • 第170工兵グループ(海外作戦のための仮設地上部隊基地の設営と運用)
      • 第1砲兵旅団(戦域レベル火力支援のための砲兵部隊。砲兵観測大隊・UAV・MLRSを運用)
      • 統合防空本部(地対空ミサイルの運用)
      • 第101補給旅団(第3師団の補給支援)
      • 第102補給旅団(第1師団の補給支援)
      • 第104補給旅団(NATO欧州連合軍即応部隊(ARRC/旧イギリス第1軍団)の補給支援)
    • 地上戦センター(諸兵科連合部隊の戦技開発・訓練)
    • 第11旅団(アフガニスタン派遣部隊のための臨時編成部隊で師団には所属しない。作戦終了時に解隊予定)

地域軍(Regional Forces)[編集]

国防義勇軍を中心に非戦闘的な部隊は地域軍に所属する。

  • 地域軍本部
    • 第2師団(スコットランド・北アイルランド・北イングランドを担当)
      • 第15旅団(北東イングランド担当)
      • 北アイルランド司令部兼第38旅団(北アイルランドにおける治安作戦(オペレーション・バナー)終結にともない大幅に縮小の上、北アイランド司令部と統合された。三軍合同部隊ではあるが陸軍単独の指揮下にある)
      • 第42旅団(北西イングランド担当)
      • 第51旅団(スコットランド担当)
    • 第4師団(南イングランド担当)
    • 第5師団(中部イングランド・ウェールズ担当)
    • ロンドン管区(大ロンドンおよびロンドンにおける儀仗任務担当)
    • 駐独英軍支援部隊(ドイツ駐留の陸海空軍部隊の支援、ドイツ政府・地元自治体等への連絡と協力)
    • 陸軍訓練募兵師団(各種訓練募兵組織の統括・支援)

統合ヘリコプターコマンド(Joint Helicopter Command)[編集]

兵科[編集]

イギリス陸軍は、騎兵歩兵砲兵等の兵科によって構成される。以下はその概略である。

騎兵[編集]

騎兵は、王室騎兵隊(Household Cavalry)に所属する近衛騎兵連隊及び王立装甲軍団(Royal Armoured Corps)に所属する重騎兵連隊・軽騎兵連隊・王立戦車連隊によって構成される。兵科の名称自体は騎兵となっているが、これは歴史的呼称を現代に引き継いでいるだけであり、重騎兵・軽騎兵といった区分を含めて実際上の意味はほとんどない。後述の近衛騎兵を除いては実際に乗馬を任務とすることはなく、戦車・装甲偵察・NBC防護及びそれらの訓練を任務としている。

イギリス陸軍の騎兵連隊本部、4個程度の戦闘中隊及び各種支援部隊で構成されており、実質的には大隊編制である。

近衛騎兵連隊に関してはやや特殊な編制を採っており、王室騎兵隊に所属する管理上の2個連隊であるライフガーズ(Life Guard)とブルーズ・アンド・ロイヤルズから、各々2個中隊を抽出して計4個中隊で構成する王室騎兵連隊(戦闘部隊)と、各1個中隊を抽出して計2個中隊で構成する王室騎兵乗馬連隊(儀仗部隊)を再構成することとなっている。

わざわざ2個連隊から2個連隊を再構成せず、最初から1個連隊を儀仗任務にあて、残る1個連隊を戦闘任務に充てた方が管理効率の観点からは明らかに効率的ではあるが、そうした場合どちらかの連隊の儀仗兵としての伝統が失われてしまうため、それを回避するため、このようなやや複雑な編制となっている。またこのことには女王エリザベス2世本人の直接の意向があったと言われている。

なお、王室騎兵隊は格式の上では王立装甲軍団と同格であるため、ライフガーズ連隊とブルーズ・アンド・ロイヤルズ連隊は形式上は王立装甲軍団には所属しないこととなっている。ただし実質的には一まとめのものとして扱われており、そのため通常は王室騎兵隊および王立装甲軍団という形で併記される。またこの際は必ず王室騎兵隊が王立装甲軍団よりも先に記述されることとなっている。

現在の編制[編集]

歩兵[編集]

湾岸戦争時、塹壕で訓練中のスタッフォードシャー連隊第1大隊C中隊(第1装甲師団)の兵士たち

歩兵は、近衛師団(Guard Division)に所属する近衛歩兵(Foot Guard)と、キングス師団(King's Dvision)・スコットランド師団(Scottish Division)・プリンス・オブ・ウェールズ師団(Prince of Wales' Division)・クィーンズ師団(Queen's Division)・軽歩兵師団(Light Division)に所属する戦列歩兵(Line Infantry)、およびそのいずれにも所属しない特殊部隊・治安部隊などから構成されている。なお、ここでいう師団は主に新兵の募集や基礎訓練等に責任を負う管理組織であって、戦闘組織としての師団とはまったくことなることに注意する必要がある。

イギリス陸軍の歩兵連隊は、特殊部隊を除いては連隊本部及び1個から最大5個(非現役部隊を含めれば7個)の歩兵大隊によって構成される。特殊部隊以外の歩兵連隊は完全な管理部隊で戦闘の指揮をおこなわない。そのため歩兵大隊が旅団に組み込まれる場合は、連隊ではなく旅団の指揮を受けることとなる。

なお、近衛歩兵の5個連隊に関してはすべて連隊のもとに1個大隊のみを置く編制だが、グレナディアガーズ(Grenadier Guards)・コールドストリームガーズ(Coldstream Guards)・スコッツガーズ(Scots Guards)の3個連隊に関してはこのほかに増強近衛中隊(Guards Incremental Companies)という通年で儀仗任務をおこなう中隊を各1個中隊保有している。

イギリス陸軍の近衛歩兵と戦列歩兵はアームズ・プロット・システム(Arms Plot System)という独特の制度を採用しており、各大隊(連隊ではない)は、装甲歩兵(ウォーリア歩兵戦闘車を使用)・機械化歩兵サクソン装甲兵員輸送車を使用)・軽歩兵・空中強襲・パブリックデューティー(ロンドンにおける儀仗任務)の各任務を2年から6年の期間でローテーションすることとなっている。この制度は非効率であるためか、現在進行中の2008年を目処とする陸軍の再編成が完了した後は制度自体が廃止され、各大隊はローテーションされない一貫した任務に就くこととなっている。

現在の編制[編集]

イギリス歩兵連隊の募兵地域区分。

砲兵[編集]

砲兵は、王立砲兵連隊(Royal Artillery Regiment)に所属する王立騎馬砲兵(Royal Horse Artillery)の各連隊、および第x王立砲兵連隊と番号を付して呼ばれるその他の砲兵連隊によって構成される。王立砲兵連隊は現役連隊のみでも16個連隊、非現役部隊を含めれば22個連隊もの部隊を抱える軍団規模の組織であるにもかかわらず、その名称は現在に至るまで相変わらず「連隊」のままである。

イギリスの砲兵連隊は、本部並びに3個から4個の射撃中隊及び各種支援部隊から構成されており、歩兵連隊のような大隊組織を持たない。そのためその名称は連隊ではあるが、実質的には大隊規模の組織である。

各連隊は、本土防衛・防空・全般支援(MLRSを使用)・近接支援(AS90/155mm自走砲を使用)・近接支援(L118/105mm軽榴弾砲を使用)・観測および目標捕捉・訓練の各任務に当たっている。各連隊の任務は歩兵大隊とは異なり、固定されている。

なお、王立騎馬砲兵・国王中隊(King's Troop Royal Horse Artillery)は有事の際「本土防衛」任務に就くが、平時はほぼ完全な儀仗部隊であり、式典などでQF 13ポンド砲(完全に式典用の砲であり、現代戦における兵器としての価値はまったくない)を礼砲として撃つこと及び国葬の際棺を載せた台車を牽くこと任務としている。また、何らかの理由で前述の王室騎兵乗馬連隊がロンドンに不在の場合、その交代部隊として騎兵として儀仗任務に就くこともある。

現在の編制[編集]

工兵[編集]

通信[編集]

陸軍航空[編集]

牧師[編集]

兵站[編集]

医療[編集]

陸軍医療部(Army Medical Services)

電子・機械技術[編集]

人事給与・訓練教育・法務・憲兵[編集]

情報[編集]

軍楽隊[編集]

国防義勇軍[編集]

国防義勇軍(Territorial Army(TA))(予備役部隊)

参考資料[編集]

外部リンク[編集]