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あっぱたん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
あっぱたん
Vaanathaippola
監督 ヴィクラマン英語版
脚本 ヴィクラマン
製作 V・ラヴィチャンドラン英語版
出演者 ヴィジャヤカーント
ミーナ
プラブデーヴァー英語版
J・リヴィングストン英語版
カウサリヤー英語版
アンジュ・アラヴィンド英語版
音楽 S・A・ラージクマール英語版
撮影 アーサー・A・ウィルソン英語版
編集 V・ジャイシャンカル
製作会社 オスカル・フィルム
配給 インドの旗 オスカル・フィルム
公開 インドの旗 2000年1月14日[1]
上映時間 166分
製作国 インドの旗 インド
言語 タミル語
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あっぱたん』(Vaanathaippola)は、2000年インドタミル語ファミリードラマ映画。監督・脚本はヴィクラマン英語版が務め、ヴィジャヤカーントミーナプラブデーヴァー英語版J・リヴィングストン英語版カウサリヤー英語版アンジュ・アラヴィンド英語版が出演している。

2000年1月14日に公開され、連続上映日数250日間を記録するヒット作となった[2][3]。また、主演を務めたヴィジャヤカーントも高い評価を受け[4]、作品自体も高く評価されて国家映画賞 健全な娯楽を提供する大衆映画賞を受賞している。

ストーリー[編集]

ヴェライサーミは祖母と3人の弟と暮らしていた。彼は結婚を控えていたが、彼女が結婚後にヴェライサーミの弟たちをホステル送りにしようと考えていることを知り婚約を破棄してしまう。彼は弟たちを育て、彼らはヴェライサーミに親愛の情を抱くようになった。弟の一人ムトゥはホテルの料理人として働いており、彼が資産家の娘ガウリに恋していることを知ったヴェライサーミは2人の仲を取り持つために奔走する。ある事情から、ムトゥはガウリの屋敷で働くことになるが、彼女からは相手にされず無礼な態度をとられてしまうが、ムトゥが幼馴染みだと知ったガウリは態度を改め、ムトゥの謙虚な性格に惹かれて恋人となり、後に2人は結婚することになった。

もう一人の弟シャンムガンは警察官として働いており、ヴェライサーミの友人の娘スマティと結婚した。結婚当初、スマティはヴェライサーミに対して失礼な態度をとることが多く、シャンムガンは態度を改めるように求めていたが、彼女は父親や周囲の人たちから「不幸をもたらす女」と扱われていたことを明かし、失礼な態度をとっていたのはトラブルに巻き込むことを避けるためだったことが判明する。真相を知ったヴェライサーミはスマティを慰め、彼女に自信を取り戻させる。

末弟セルヴァクマールは医師をしており、ナンディニという女性と交際していた。ヴェライサーミもナンディニに好印象を抱いていたが、彼女の父親はヴェライサーミと対立するダルマリンガムであり、さらに彼女の姉は、かつてヴェライサーミが婚約を破棄した女性だったことが判明する。事実を知ったダルマリンガムは2人の結婚に反対するが、ヴェライサーミは「2人が結婚した後は村を出て行く」と約束し、ダルマリンガムに2人の結婚を認めさせる。しかし、財産目当ての結婚を目論んでいたナンディニの従兄弟によって彼女が誘拐され、事態を知ったヴェライサーミは従兄弟の手から彼女を救い出す。ナンディニを救い出したヴェライサーミは村に帰郷し、家族との再会を果たす。

キャスト[編集]

製作[編集]

企画[編集]

1999年に映画配給を手掛けるV・ラヴィチャンドラン英語版ヴィクラマン英語版に対し、『Poove Unakkaga』『Surya Vamsam』風味の新作映画の脚本執筆を依頼し、ヴィクラマンの構想を聞いたラヴィチャンドランはヴィジャヤカーントを主演に迎えて製作を始めるように勧めた[5]。彼はプロデューサーを務めたが撮影現場には顔を出さず、代わりに映画のプロモーション活動に専念した[6]

ヒロインのガウリ役にはミーナが起用され、警察官のシャンムガン役にはナポレオンが検討されたものの、彼が辞退したためJ・リヴィングストン英語版が起用された[7]。また、ナンディニ役にはシムラン英語版が検討されたが、彼女が辞退したしたためカウサリヤー英語版が起用された。

音楽[編集]

サウンドトラックの作曲はS・A・ラージクマール英語版、作詞はラー・ラヴィシャンカル、パー・ヴィジャイ英語版ヴィヴェーカー英語版ナ・ムトゥクマール英語版が手掛けている。観客からは好意的な評価を得ており[8]G・ダナンジャヤン英語版は著書『Pride of Tamil Cinema: 1931–2013』の中で、サウンドトラックが『あっぱたん』の成功に大きく貢献したと記している[5]。収録曲のうち「Engal Veetil Ella Naalum」はヒンディー語映画Daag: The Fire』の楽曲「Dil Deewana」、『Sirf Tum』の楽曲「Pehli Pehli Baar Mohabbat Ki Hai」を参考にしている[9]

トラックリスト
#タイトル作詞作曲・編曲歌手
1.「Kadhal Vennila」ラー・ラヴィシャンカル ハリハラン英語版
2.「Engal Veetil Ella Naalum」ナ・ムトゥクマール英語版パー・ヴィジャイ英語版 S・P・バーラスブラマニアムスジャータ・モーハン英語版アルンモジ英語版
3.「Kadhal Vennila」ラー・ラヴィシャンカル P・ジャヤチャンドラン英語版
4.「Nathiye Nayil Nathiye」パー・ヴィジャイ スクウィンダル・シン英語版アヌラーダ・シュリラーム英語版
5.「Rojappu Maalaiyile」パー・ヴィジャイ K・S・チトラ英語版マノー英語版
6.「Thavaniye Ennai Mayakiriye」ヴィヴェーカー英語版 S・P・バーラスブラマニアム、スワルナラータ英語版
7.「Vaanil Vennila (female version to "Kadhal Vennila")」ラー・ラヴィシャンカル スジャータ・モーハン
8.「Mainave Mainave」ヴィヴェーカー ウンニ・メーナン英語版、K・S・チトラ

評価[編集]

批評[編集]

『あっぱたん』は批評家から好意的な評価を得ており[10]、『ザ・ヒンドゥー英語版』は「ヴィジャヤカーントのコメディ演技は素晴らしく、ラメーシュ・カンナーにもコメディアンとしての優れた素質が感じられる。祖母役のS・N・ラクシュミーは陽気な演技で映画全体に活気を与え、プラブデーヴァーとカウサリヤーのコンビはエネルギッシュで活力ある演技を見せてくれた。しかし、感傷や兄弟愛といった要素は、ある段階を過ぎると真実とは思えないようなレベルに達し、それによって観客への訴求力を失ってしまう」と批評している[11]。『アーナンダ・ヴィカタン英語版』は「この映画は、誰もが悩むことなく団結して生きるべきというテーマを強調しているが、欠点として悪役がおらず、そのため物語が進むにつれ、観客の関心を維持することに苦しめられている」と批評し[12]、『ニュー・ストレーツ・タイムズ』は「この映画は家族ドラマ、特に兄弟愛が好きな観客の心をつかむことだろう」と批評している[13]。また、『スクリーン英語版』のアイヤッパ・プラサードは「巧みな脚本と物語で知られるヴィクラマンは、またしても観客の琴線に触れるファミリー・エンターテインメントを作り出し、二役を演じるヴィジャヤカーントの素晴らしさを存分に引き出してくれた」と批評している[14]

受賞・ノミネート[編集]

映画賞 授賞式 部門 対象 結果 出典
第48回フィルムフェア賞 南インド映画部門英語版 2001年4月7日 作品賞英語版 『あっぱたん』 ノミネート
監督賞英語版 ヴィクラマン
第48回国家映画賞英語版 2001年12月12日 健全な娯楽を提供する大衆映画賞 『あっぱたん』 受賞 [15]
タミル・ナードゥ州映画賞 2004年9月30日 第1位作品賞英語版 [12][16]
監督賞英語版 ヴィクラマン

リメイク[編集]

『あっぱたん』は各言語でリメイクされており、テルグ語映画ではラージャシェーカル英語版主演の『Maa Annayya』、カンナダ語映画ではヴィシュヌヴァルダン主演の『Yajamana』が製作され[17][18]、このうち『Yajamana』は興行的な成功を収めた[5]

出典[編集]

  1. ^ Dhananjayan 2014, p. 381.
  2. ^ Prasad, Ayyappa. “Drop in releases”. Screen. オリジナルの2009年10月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091005153554/http://www.screenindia.com/old/20010119/renews.htm 2022年1月11日閲覧。 
  3. ^ “Hits and misses of the year that was”. The Hindu. (2001年1月19日). オリジナルの2013年10月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20131001180529/http://hindu.com/2001/01/19/stories/09190224.htm 2012年8月25日閲覧。 
  4. ^ rediff.com, Movies: Gossip from the southern film industry”. Rediff.com (2000年6月21日). 2012年8月25日閲覧。
  5. ^ a b c Dhananjayan 2014, p. 382.
  6. ^ Coming Attractions”. Screen. 2008年5月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月22日閲覧。
  7. ^ Dinakaran”. www.dinakaran.com. 2004年6月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月12日閲覧。
  8. ^ Viveka about his second song (Thavaniye Enna)”. Behindwoods (2020年9月25日). 2023年6月3日閲覧。
  9. ^ Patrick, Sylvian [@Sylvianism] (2023年10月15日). "Engal Veetil (2000) is a photocopy of Dil Deewana (Daag, 1999). But Dil Deewana shares the charanam with Pehli Pehli (Siri Tum, 1999)". X(旧Twitter)より2024年5月22日閲覧
  10. ^ VANATHAIPPOL”. chennaionline.com. 2001年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年9月12日閲覧。
  11. ^ “Film Review:Vaanathai Pola. The Hindu. (2000年1月21日). オリジナルの2013年7月9日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130709045037/http://www.hindu.com/thehindu/2000/01/21/stories/09210223.htm 2012年8月25日閲覧。 
  12. ^ a b Dhananjayan 2014, p. 383.
  13. ^ Vijiyan, K. N. (2000年1月29日). “A brother's sacrifice”. New Straits Times: pp. 46. https://news.google.com/newspapers?nid=x8G803Bi31IC&dat=20000129&printsec=frontpage&hl=en 2024年5月22日閲覧。 
  14. ^ Prasad, Ayyappa. “Vanathepol | Vijaykant at his best in dual role”. Screen. 2008年9月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月22日閲覧。
  15. ^ 48th National Film Awards”. Directorate of Film Festivals. 2012年10月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年7月30日閲覧。
  16. ^ Tamil Nadu announces film awards for three years”. IndiaGlitz (2004年10月1日). 2004年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年8月25日閲覧。
  17. ^ Maa Annayya review: Maa Annayya (Telugu) Movie Review — fullhyd.com”. fullhyderabad.com. 2015年9月12日閲覧。
  18. ^ Yajamana — Review”. vishnuvardhan.com. 2015年9月12日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]