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PLエキス(ピーエルエキスとは、ダイオウウラボシ(ウラボシ目 ウラボシ科 ポリポディウム属、学名:''Phlebodium aureum''、別名''Polypodium leucotomos'')より抽出されたエキスのこと。
PLエキス(ピーエルエキス、PL extract)とは、{{仮リンク|ダイオウウラボシ|en|Phlebodium aureum}}(学名 {{snamei||Phlebodium aureum}}、別名 ''Polypodium leucotomos'')の抽出成分。原料しての商品名は'''フェーンブロック''' (Fernblock)


==原料 ==
==原料 ==
原料に使用されているダイオウウラボシ(''Polypodium leucotomos'')は[[ホンジュラス]]原産のシダの一種。<br />古代[[マヤ人]]は、血液クレンジング剤として飲んでいたといわれる。ホンジュラスでは今なお民間療法として使用されている植物
原料に使用されているダイオウウラボシ(ウラボシ目[[ウラボシ科]]ポリポディウム属)は[[ホンジュラス|ホンジュラス共和国]]原産のシダの一種。古代[[マヤ人]]は、血液クレンジング剤として飲んでいたといわれる。ホンジュラスでは今なお民間療法として使用されている。


== 概要 ==
== 概要 ==
[[ハーバード大学医学大学院|ハーバード・メディカル・スクール]]における光防御分野の第一人者トーマス·B·フィッツパトリック(皮膚科医)により、15年間以上にわたり臨床研究が行なわれた。
[[ハーバード大学医学大学院]]における光防御分野の第一人者トーマス·B·フィッツパトリック(皮膚科医)により、{{いつ|date=2019年6月}}15年間以上にわたり臨床研究が行なわれた。


経口投与によって[[紫外線]]防御効果、抗炎症作用、脳細胞を保護し記憶力の改善や、[[認知症|痴呆]]、[[アルツハイマー病|アルツハイマー]]と言った精神疾患に対し、又、自己免疫疾患(過剰な免疫細胞の調節による)の治療や、[[気管支喘息|喘息]]、心臓病等の治療薬としても使用されている。
経口投与によって[[紫外線]]防御効果、抗炎症作用、脳細胞を保護し記憶力の改善や、[[認知症|痴呆]]、[[アルツハイマー病|アルツハイマー]]と言った精神疾患に対し、又、自己免疫疾患(過剰な免疫細胞の調節による)の治療や、[[気管支喘息|喘息]]、心臓病等の治療薬としても使用されている。


== 紫外線に対する効果 ==
== 紫外線に対する効果 ==
PLエキスは[[紫外線]]防御に対し、抗酸化作用、免疫防御作用、細胞DNA保護作用、皮膚構造の保存の4つ効果があるといわれている。
PLエキスは[[紫外線]]防御に対し、抗酸化作用、免疫防御作用、細胞DNA保護作用、皮膚構造の保存の4つ効果があるといわれている。


=== 抗酸化作用===
=== 抗酸化作用===
紫外線皮膚癌や日光弾性線維等の疾患の原因となROS([[活性酸素]]や[[ラジカル (化学)|フリーラジカル]](スーパーオキシドアニオン O2-、ヒドロキシラジカル OH-、一重項酸素 1O2、過酸化水素 H2O2等)を発生させる。
紫外線 (UV) が皮膚に生じさせ反応として炎症反応が起こり、[[活性酸素]] (ROS) や[[ラジカル (化学)|フリーラジカル]](スーパーオキシドアニオン O<sub>2</sub><sup>-</sup>、ヒドロキシラジカル OH、一重項酸素 <sup>1</sup>O<sub>2</sub>、過酸化水素 H<sub>2</sub>O<sub>2</sub>)を発生させる<ref name="r1"/>。[[光老化|日光弾性症]]<ref name="新皮膚科">「[https://www.derm-hokudai.jp/textbook/text_18.html 18章 真皮、皮下脂肪組織の疾患]」『あたらしい皮膚科学 第2版』2011年。317頁。</ref>や皮膚癌の原因となる<ref name="pmid19445782">{{Cite journal |author=Manríquez JJ, Majerson Gringberg D, Nicklas Diaz C. |title=Wrinkles |journal=BMJ clinical evidence |volume=2008 |date=2008-12 |pmid=19445782 |pmc=2907965 |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/19445782/ }}</ref>


PLエキスは強力な抗酸化作用を持ち、UV照射によって起こるフリーラジカルやROSの発生を抑制する。''in vitro''で、活性酸素、脂質過酸化反応の発生に関与する光酸化ストレスに対して抗酸化作用が認められた。<ref name="r1">Gonzalez S, Pathak MA, Photodermatol Photoimmunol Photomed, 1996 Apr;12(2):45-56.</ref><ref name= "r2">Gomes AJ, Lunardi CN, Gonzalez S, Tedesco AC, Braz J Med Biol Res, 2001 Nov;34(11):1487-94.</ref>
PLエキスは抗酸化作用を持ち、UV照射によって起こるフリーラジカルやROSの発生を抑制する。試験管研究、活性酸素、脂質過酸化反応の発生に関与する光酸化ストレスに対して抗酸化作用が認められ<ref name="r1">{{Cite journal |author=González S, Pathak MA |title=Inhibition of ultraviolet-induced formation of reactive oxygen species, lipid peroxidation, erythema and skin photosensitization by polypodium leucotomos |journal=Photodermatology, photoimmunology & photomedicine |volume=12 |issue=2 |pages=45–56 |date=1996-4 |pmid=8897589 |doi=10.1111/j.1600-0781.1996.tb00175.x }}</ref>、スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシラジカル、一重項酸素を阻害し、過酸化水素への阻害は有意ではなかった<ref name= "r2">{{Cite journal |author=Gomes AJ, Lunardi CN, Gonzalez S, Tedesco AC |title=The antioxidant action of Polypodium leucotomos extract and kojic acid: reactions with reactive oxygen species |journal=Brazilian journal of medical and biological research=Revista brasileira de pesquisas medicas e biologicas |volume=34 |issue=11 |pages=1487–1494 |date=2001-11 |doi=10.1590/s0100-879x2001001100018 |pmid=11668361 |url=https://doi.org/10.1590/S0100-879X2001001100018 }}</ref>


また、PLエキスは無毛ラットモデルでUVB/UVA照射によって誘発されるグルタチオン酸化を阻害しランゲルハンス細胞の枯渇を予防したなどの研究結果がある。<ref name="r3">Mulero M, Rodriguez-Yanes E, Nogues MR, Giralt M, Romeu M, Gonzalez S, Mallol J./ Exp Dermatol 2008 17;653-658</ref>
無毛ラットに経口投与したPLエキスは、UVB・UVA照射によって誘発されるグルタチオン酸化を阻害しランゲルハンス細胞の枯渇を抑制した<ref name="r3">{{Cite journal |author=Mulero M, Rodríguez-Yanes E, Nogués MR et al |title=Polypodium leucotomos extract inhibits glutathione oxidation and prevents Langerhans cell depletion induced by UVB/UVA radiation in a hairless rat model |journal=Experimental dermatology |volume=17 |issue=8 |pages=653–658 |date=2008-8 |doi=10.1111/j.1600-0625.2007.00684.x |pmid=18312382 }}</ref>


PLエキスは試験管研究で、UVAを照射したヒトの線維芽細胞の生存率を未処理よりも向上させた<ref name="r4">{{Cite journal |author=Alonso-Lebrero JL, Domínguez-Jiménez C, Tejedor R et al |title=Photoprotective properties of a hydrophilic extract of the fern Polypodium leucotomos on human skin cells |journal=Journal of photochemistry and photobiology. B, Biology |volume=70 |issue=1 |pages=31–37 |date=2003-4 |pmid=12745244 |doi=10.1016/S1011-1344(03)00051-4 |}}</ref>。人間の皮膚に塗布しUVB(紫外線B波)による紅斑、UVAによる有毒反応を阻害した<ref name="r1"/>。
その他、PLエキスはヒト皮膚細胞に対する光防御特性がある<ref name="r4">Alonso-Lebrero JL, Dominguez-Jimenez C, Tejedor R, Brieva A, Pivel JP J Photochem Photobiol B 2003 Apr;70(1):31-7.</ref>、紫外線誘発性の活性酸素種形成、脂質過酸化、紅斑及び皮膚光感作阻害する等の様々な研究が発表されている。<ref name="r1"/>


=== 免疫防御作用 ===
=== 免疫防御作用 ===
紫外線を浴びるとランゲルハンス細胞の死及び非活性化や抗原を伴わないリンパ腺へのランゲルハンス細胞の遊走による免疫抑制が起こる。PLエキスは経口投与72時間後にPLエキスを投与しなかった場合と比較して、表皮1mm<sup>2</sup>当たりのランゲルハンス細胞保存数が多かった。さらに、PLエキスの投与をしない状態ではランゲルハンス細胞は大きさが増大し樹状形態が失われていたのに対して、PLエキス投与後の皮膚では、ランゲルハンス細胞の大きさ及び樹状突起の形が保たれていた。<ref name="r5">Middelkamp M, Pathak MA, Fitzpatrick TB, J Am Acad Dermatol, 2004 Dec;51(6):910-8.</ref><ref name="r6">Gonzalez S, Pathak MA, Fitzpatrick TB, Photodermatol Photoimmunol Photomed, 1997 Feb-Apr;13(1-2):50-60.</ref>
紫外線を浴びるとランゲルハンス細胞の死滅や非活性化や抗原を伴わないリンパ腺へのランゲルハンス細胞の遊走による免疫抑制が起こる。


所為規模な9人の被験者で、PLエキスは経口投与24時間後に無投与と比較して、表皮1mm<sup>2</sup>あたりのランゲルハンス細胞の保存数が多い傾向があった(有意ではない)<!--紅斑が少なかったが被験者も少ないのでそのことへ言及せず--><ref name="r5">{{Cite journal |author=Middelkamp-Hup MA1, Pathak MA, Parrado C, Goukassian D et al |title=Oral Polypodium leucotomos extract decreases ultraviolet-induced damage of human skin |journal=Journal of the American Academy of Dermatology |volume=51 |issue=6 |pages=910–918 |date=2004-12 |doi=10.1016/j.jaad.2004.06.027 |pmid=15583582 }}</ref>。<!--要旨に確認できず未検証 さらに、PLエキスの投与をしない状態ではランゲルハンス細胞は大きさが増大し樹状形態が失われていたのに対して、PLエキス投与後の皮膚では、ランゲルハンス細胞の大きさ及び樹状突起の形が保たれていた。-->21名で外用および経口摂取では、無投与と比較してランゲルハンス細胞を光防御した<ref name="r6">{{Cite journal |author=González S, Pathak MA, Cuevas J et al |title=Topical or oral administration with an extract of Polypodium leucotomos prevents acute sunburn and psoralen-induced phototoxic reactions as well as depletion of Langerhans cells in human skin |journal=Photodermatology, photoimmunology & photomedicine |volume=13 |issue=1-2 |pages=50–60 |date=1997 |month=February-April |pmid=9361129 |doi=10.1111/j.1600-0781.1997.tb00108.x }}</ref>。10名で48-72時間後に経口のPLエキスでは未投与よりも光毒性が低く、日焼け細胞が少なく、ランゲハルス細胞は保存され、4か月後に色素沈着も少なかった<ref name="pmid14699363">{{Cite journal |author=Middelkamp-Hup MA, Pathak MA, Parrado C |title=Orally administered Polypodium leucotomos extract decreases psoralen-UVA-induced phototoxicity, pigmentation, and damage of human skin |journal=Journal of the American Academy of Dermatology |volume=50 |issue=1 |pages=41–49 |date=2004-1 |doi=10.1016/S0190 |pmid=14699363 }}</ref>。
PLエキスはUVAおよびUVBの光誘発によるトランスウロカニン酸(t-UCA)の光異化性を抑制するという特性もある。つまり、皮膚免疫監視に直接関与する皮膚細胞と内因性分子の保護ができることが示唆されている。<ref name="r7">Capote R, et al, J Photochem Photobiol: Biology, 2006 Mar 1;82(3):173-9. Epub 2006 Jan 4.</ref>


PLエキスは、試験管研究でUVAおよびUVBの光誘発によるトランスウロカニン酸(t-UCA)の光異化性を抑制するという特性もある。つまり、皮膚免疫監視に直接関与する皮膚細胞と内因性分子の保護ができることが示唆されている。<ref name="r7">{{Cite journal |author=Capote R, Alonso-Lebrero JL, García F |title=Polypodium leucotomos extract inhibits trans-urocanic acid photoisomerization and photodecomposition |journal=Journal of photochemistry and photobiology. B, Biology |volume=82 |issue=3 |pages=173–179 |date=2006-3 |doi=10.1016/j.jphotobiol.2005.11.005 |pmid=16388959 }}</ref>
また、無毛ラットモデルにおいてはUVB/UVA照射によって誘発されるグルタチオン酸化を阻害し、ランゲルハンス細胞の枯渇を予防するという研究結果や<ref name="r3"/>、太陽光の模擬照射においてはTNF-α及びiNOSの発現、転写活性化並びに[[アポトーシス]]を阻害するとの研究結果もある。<ref name="r8">Janczyk A, Garcia-Lopez MA, Fernandez-Penas P, Alonso-Lebrero JL, Benedicto I, Lopez-Cabrera M, Gonzalez S Exp Dermatol 2007 Oct;16(10):823-9.</ref>

<!--既出  また、無毛ラットモデルにおいてはUVB/UVA照射によって誘発されるグルタチオン酸化を阻害し、ランゲルハンス細胞の枯渇を予防するという研究結果や<ref name="r3"/>、-->
試験管研究で、疑似太陽光の照射においてTNF-α(腫瘍壊死因子)とこれから誘導される誘導型一酸化窒素シンターゼ (iNOS) を抑制し、転写活性化並びに[[アポトーシス]]を阻害することで細胞生存率が上昇した<ref name="r8">{{Cite journal |author=Jańczyk A, Garcia-Lopez MA, Fernandez-Peñas P et al |title=A Polypodium leucotomos extract inhibits solar-simulated radiation-induced TNF-alpha and iNOS expression, transcriptional activation and apoptosis |journal=Experimental dermatology |volume=16 |issue=10 |pages=823–829 |date=2007-10 |doi=10.1111/j.1600-0625.2007.00603.x |pmid=17845214 }}</ref>。


=== 細胞DNA保護作用 ===
=== 細胞DNA保護作用 ===
紫外線は[[デオキシリボ核酸|DNA]]の損傷ももたらす。紫外線は2本のDNA鎖の融合(チミンダイマー)やDNA鎖の1本を切断(鎖切断)し、蛋白質による鎖の結合(タンパク質の架橋)をもたらす。DNA損傷は、チミンダイマーと日焼け細胞の増加によって検出ができる。そして、チミンダイマーには変異原性があり、発癌の原因となる。PLエキスは紫外線照射によって生じる日焼け細胞数とチミンダイマー数を減少させ、DNA損傷を減少する効果がある。24時間経過時点の表皮1 mm<sup>2</sup>当たりの日焼け細胞数は、PLエキスを投与しないときに比べ、有意に少なく(p = 0.03)<ref name="r5"/>また、チミンダイマー量においても有意に少なかった(p < 0.001)。さらに、Xpc+/-マウスに対してUVによって誘発されるCOX-2発現量を減少させ、UVによって誘発される光産物の除去を促進するという研究結果がある。つまり、PLエキスの経口投与によって皮膚癌などの皮膚損傷を予防できる可能性があることを示唆している。
紫外線は[[デオキシリボ核酸|DNA]]の損傷ももたらす。紫外線は2本のDNA鎖の融合(チミンダイマー)やDNA鎖の1本を切断(鎖切断)し、蛋白質による鎖の結合(タンパク質の架橋)をもたらす。DNA損傷は、チミンダイマーと日焼け細胞の増加によって検出ができる。そして、チミンダイマーには変異原性があり、発癌の原因となる。
PLエキスは紫外線照射によって生じる日焼け細胞数とチミンダイマー数を減少させ、DNA損傷を減少する効果がある。
<!--情報の合成にあたる  24時間経過時点の表皮1 mm<sup>2</sup>当たりの日焼け細胞数は、PLエキスを投与しないときに比べ、有意に少なく(p = 0.03)<ref name="r5"/>--><!--出典がない  また、チミンダイマー量においても有意に少なかった(p < 0.001)。さらに、Xpc+/-マウスに対してUVによって誘発されるCOX-2発現量を減少させ、UVによって誘発される光産物の除去を促進するという研究結果がある。つまり、PLエキスの経口投与によって皮膚癌などの皮膚損傷を予防できる可能性があることを示唆している。-->


=== 皮膚構造の保存 ===
=== 皮膚構造の保存 ===
紫外線を暴露し続けると[[光老化]]と呼ばれる皮膚の肥厚、弾力の喪失、しわやたるみといった状態に陥る。光老化は、線維芽細胞への直接的な損傷とMMP([[マトリックスメタロプロテアーゼ]])産生増加によって引き起こされる。PLエキスはこの光老化であるUV照射によって誘発される線維芽細胞の変化、すなわちFアクチンに基づく細胞骨格構造の破壊、チューブリン細胞骨格の癒合を減少し、UV照射によって誘発されるMMP産生を抑制する。<ref name="r9">Alonso-Lebrero JL et al, J Photochem Photobiol Biology, 2003.</ref><ref name="r10">Philips N, Conte J, Chen YJ, Natrajan P, aw M, Keller T, Givant J, Tuason M, Dula L, Leonardi D, Gonzalez S.Arch Dermatol Res 2009 Aug;301(7):487-95. doi: 10.1007/s00403-009-0950-x. Epub 2009 Apr 17.</ref>
紫外線を暴露し続けると[[光老化]]と呼ばれる皮膚の肥厚、弾力の喪失、しわやたるみといった状態に陥る。光老化は、線維芽細胞への直接的な損傷とMMP([[マトリックスメタロプロテアーゼ]])産生増加によって引き起こされる。


また、皮膚線維芽細胞、紫外線照射線維芽細胞及びメラノーマ細胞におけるマトリックスメタロプロテアーゼと阻害物質(線維性コラーゲン、形質転換成長因子β)を調節することができるといわれている。<ref name="r10"/>
PLエキスは試験管研究でUV照射によって誘発されるヒトの線維芽細胞の変化、すなわちFアクチンに基づく細胞骨格構造の破壊、チューブリン細胞骨格の癒合を減少する<ref name="r9">内容も検証できr4と同一の出典かと Alonso-Lebrero JL et al, J Photochem Photobiol Biology, 2003.</ref>。またUV照射によって誘発されるMMPの産生を抑制する<ref name="r10">{{Cite journal |author=Philips N, Conte J, Chen YJ |title=Beneficial regulation of matrixmetalloproteinases and their inhibitors, fibrillar collagens and transforming growth factor-beta by Polypodium leucotomos, directly or in dermal fibroblasts, ultraviolet radiated fibroblasts, and melanoma cells |journal=Archives of dermatological research |volume=301 |issue=7 |pages=487–495 |date=2009-8 |doi=10.1007/s00403-009-0950-x |pmid=19373483 }}</ref>。また、皮膚線維芽細胞、紫外線照射線維芽細胞及びメラノーマ細胞におけるマトリックスメタロプロテアーゼと阻害物質(線維性コラーゲン、形質転換成長因子β)を調節することができるといわれている。<ref name="r10"/>


=== その他の効果 ===
=== その他の効果 ===
UVA は、既存のメラニンの酸化により、即時型色素沈着(IPD、2~4時間)を引き起こし、 UVB は、[[メラニン細胞]]の活性化、新たなメラニンの産生促進、メラニンの角化細胞への移動促進により、遅延型色素沈着(24~72時間)を引き起こす。PLエキスはこの紫外線によってもたらされる赤斑の抑制についても研究がなされている。PLエキスはUVBによって誘発されるヒト皮膚紅斑反応を効果的に防御し抑制し、<ref name="r1"/>太陽光の模擬照射によるTNF-α及びiNOSの発現、転写活性化並びにアポトーシスを阻害する。<ref name="r8"/>
UVA は、既存のメラニンの酸化により、即時型色素沈着(IPD、2~4時間)を引き起こし、 UVB は、[[メラニン細胞]]の活性化、新たなメラニンの産生促進、メラニンの角化細胞への移動促進により、遅延型色素沈着(24~72時間)を引き起こす。


<!--既出  PLエキスはこの紫外線によってもたらされる赤斑の抑制についても研究がなされている。PLエキスはUVBによって誘発されるヒト皮膚紅斑反応を効果的に防御し抑制し、<ref name="r1"/>-->
さらに、紫外線誘発性の活性酸素種形成、脂質過酸化、紅斑及び皮膚光感作阻害することもわかっている。<ref name ="r11">Brieva A, Guerreo A, Pivel JP, Inflammopharmacol, 2002)(Reyes E, Jaen P, de las Heras E, J Derm Sci, 2006)</ref>
<!--既出   太陽光の模擬照射によるTNF-α及びiNOSの発現、転写活性化並びにアポトーシスを阻害する。<ref name="r8"/>-->

さらに、紫外線誘発性の活性酸素種形成、脂質過酸化、紅斑及び皮膚光感作阻害することもわかっている。<ref name ="r11">Brieva A, Guerreo A, Pivel JP, Inflammopharmacol, 2002</ref><ref name="pmid16423508">{{Cite journal |author=Reyes E, Jaén P, de las Heras E et al |title=Systemic immunomodulatory effects of Polypodium leucotomos as an adjuvant to PUVA therapy in generalized vitiligo: A pilot study |journal=Journal of dermatological science |volume=41 |issue=3 |pages=213–216 |date=2006-3 |doi=10.1016/j.jdermsci.2005.12.006 |pmid=16423508 }}</ref>

また、色素性皮膚障害である白斑は表皮のメラニン細胞減少によって生じる乳白色の脱色素斑(無色斑)を特徴であるが、白斑のメラニン細胞減少は、自己免疫プロセスもしくはフリーラジカルやROSの増加、又は内因性抗酸化防御の減弱による酸化ストレスであるとするもの推察されており、PLエキスは免疫調節作用と抗酸化作用を持つことから、T細胞活性化に対する免疫調節作用があり、メラニン細胞に対する自己反応性T細胞の増殖を阻害又は減少させることが示唆されるため白斑の治療にも効果が期待されている<ref name="r11"/>


また、色素性皮膚障害である白斑は表皮のメラニン細胞減少によって生じる乳白色の脱色素斑(無色斑)を特徴であるが、白斑のメラニン細胞減少は、自己免疫プロセスもしくはフリーラジカルやROSの増加、又は内因性抗酸化防御の減弱による酸化ストレスであるとするもの推察されており、PLエキスは免疫調節作用と抗酸化作用を持つことから、T細胞活性化に対する免疫調節作用があり、メラニン細胞に対する自己反応性T細胞の増殖を阻害又は減少させることが示唆されるため白斑の治療にも効果が期待されている<ref name="r11"/><br />
このようなことから日焼け止めサプリにも配送されている。
このようなことから日焼け止めサプリにも配送されている。

海外の代表的な物はHeliocare ヘリオケア(IFC): スペイン製の日焼け止めサプリメント。(原材料名Fernblock®)<ref name="r12">IFC Group 公式HP http://www.ifcgroup.net/</ref><br />
*海外の代表的な物はHeliocare ヘリオケア(IFC): スペイン製の日焼け止めサプリメント。<ref>IFC Group 公式HP http://www.ifcgroup.net/</ref>
日本製で有名なものはノーブ(noUV)<ref name="r13">noUV 公式HP http://www.nouv.jp/</ref>がある。
*日本製で有名なものはノーブ(noUV)<ref>noUV 公式HP http://www.nouv.jp/</ref>がある。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2019年6月27日 (木) 09:05時点における版

PLエキス(ピーエルエキス、PL extract)とは、ダイオウウラボシ英語版(学名 Phlebodium aureum、別名 Polypodium leucotomos)の抽出成分。原料としての商品名はフェーンブロック (Fernblock)。

原料

原料に使用されているダイオウウラボシ(ウラボシ目ウラボシ科ポリポディウム属)はホンジュラス共和国原産のシダの一種。古代マヤ人は、血液クレンジング剤として飲んでいたといわれる。ホンジュラスでは今なお民間療法として使用されている。

概要

ハーバード大学医学大学院における光防御分野の第一人者トーマス·B·フィッツパトリック(皮膚科医)により、[いつ?]15年間以上にわたり臨床研究が行なわれた。

経口投与によって紫外線防御効果、抗炎症作用、脳細胞を保護し記憶力の改善や、痴呆アルツハイマーと言った精神疾患に対し、又、自己免疫疾患(過剰な免疫細胞の調節による)の治療や、喘息、心臓病等の治療薬としても使用されている。

紫外線に対する効果

PLエキスは紫外線防御に対し、抗酸化作用、免疫防御作用、細胞DNA保護作用、皮膚構造の保存の4つ効果があるといわれている。

抗酸化作用

紫外線 (UV) が皮膚に生じさせる反応として炎症反応が起こり、活性酸素 (ROS) やフリーラジカル(スーパーオキシドアニオン O2-、ヒドロキシラジカル OH、一重項酸素 1O2、過酸化水素 H2O2)を発生させる[1]日光弾性症[2]や皮膚癌の原因となる[3]

PLエキスは抗酸化作用を持ち、UV照射によって起こるフリーラジカルやROSの発生を抑制する。試験管研究では、活性酸素、脂質過酸化反応の発生に関与する光酸化ストレスに対して抗酸化作用が認められ[1]、スーパーオキシドアニオン、ヒドロキシラジカル、一重項酸素を阻害し、過酸化水素への阻害は有意ではなかった[4]

無毛ラットに経口投与したPLエキスは、UVB・UVA照射によって誘発されるグルタチオン酸化を阻害し、ランゲルハンス細胞の枯渇を抑制した[5]

PLエキスは試験管研究で、UVAを照射したヒトの線維芽細胞の生存率を未処理よりも向上させた[6]。人間の皮膚に塗布しUVB(紫外線B波)による紅斑、UVAによる有毒反応を阻害した[1]

免疫防御作用

紫外線を浴びるとランゲルハンス細胞の死滅や非活性化や、抗原を伴わないリンパ腺へのランゲルハンス細胞の遊走による免疫抑制が起こる。

所為規模な9人の被験者で、PLエキスは経口投与24時間後に無投与と比較して、表皮1mm2あたりのランゲルハンス細胞の保存数が多い傾向があった(有意ではない)[7]。21名で外用および経口摂取では、無投与と比較してランゲルハンス細胞を光防御した[8]。10名で48-72時間後に経口のPLエキスでは未投与よりも光毒性が低く、日焼け細胞が少なく、ランゲハルス細胞は保存され、4か月後に色素沈着も少なかった[9]

PLエキスは、試験管研究でUVAおよびUVBの光誘発によるトランスウロカニン酸(t-UCA)の光異化性を抑制するという特性もある。つまり、皮膚免疫監視に直接関与する皮膚細胞と内因性分子の保護ができることが示唆されている。[10]

試験管研究で、疑似太陽光の照射においてTNF-α(腫瘍壊死因子)とこれから誘導される誘導型一酸化窒素シンターゼ (iNOS) を抑制し、転写活性化並びにアポトーシスを阻害することで細胞生存率が上昇した[11]

細胞DNA保護作用

紫外線はDNAの損傷ももたらす。紫外線は2本のDNA鎖の融合(チミンダイマー)やDNA鎖の1本を切断(鎖切断)し、蛋白質による鎖の結合(タンパク質の架橋)をもたらす。DNA損傷は、チミンダイマーと日焼け細胞の増加によって検出ができる。そして、チミンダイマーには変異原性があり、発癌の原因となる。

PLエキスは紫外線照射によって生じる日焼け細胞数とチミンダイマー数を減少させ、DNA損傷を減少する効果がある。


皮膚構造の保存

紫外線を暴露し続けると光老化と呼ばれる皮膚の肥厚、弾力の喪失、しわやたるみといった状態に陥る。光老化は、線維芽細胞への直接的な損傷とMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生増加によって引き起こされる。

PLエキスは試験管研究でUV照射によって誘発されるヒトの線維芽細胞の変化、すなわちFアクチンに基づく細胞骨格構造の破壊、チューブリン細胞骨格の癒合を減少する[12]。またUV照射によって誘発されるMMPの産生を抑制する[13]。また、皮膚線維芽細胞、紫外線照射線維芽細胞及びメラノーマ細胞におけるマトリックスメタロプロテアーゼと阻害物質(線維性コラーゲン、形質転換成長因子β)を調節することができるといわれている。[13]

その他の効果

UVA は、既存のメラニンの酸化により、即時型色素沈着(IPD、2~4時間)を引き起こし、 UVB は、メラニン細胞の活性化、新たなメラニンの産生促進、メラニンの角化細胞への移動促進により、遅延型色素沈着(24~72時間)を引き起こす。


さらに、紫外線誘発性の活性酸素種形成、脂質過酸化、紅斑及び皮膚光感作阻害することもわかっている。[14][15]

また、色素性皮膚障害である白斑は表皮のメラニン細胞減少によって生じる乳白色の脱色素斑(無色斑)を特徴であるが、白斑のメラニン細胞減少は、自己免疫プロセスもしくはフリーラジカルやROSの増加、又は内因性抗酸化防御の減弱による酸化ストレスであるとするもの推察されており、PLエキスは免疫調節作用と抗酸化作用を持つことから、T細胞活性化に対する免疫調節作用があり、メラニン細胞に対する自己反応性T細胞の増殖を阻害又は減少させることが示唆されるため白斑の治療にも効果が期待されている[14]

このようなことから日焼け止めサプリにも配送されている。

  • 海外の代表的な物はHeliocare ヘリオケア(IFC): スペイン製の日焼け止めサプリメント。[16]
  • 日本製で有名なものはノーブ(noUV)[17]がある。

脚注

  1. ^ a b c González S, Pathak MA (1996-4). “Inhibition of ultraviolet-induced formation of reactive oxygen species, lipid peroxidation, erythema and skin photosensitization by polypodium leucotomos”. Photodermatology, photoimmunology & photomedicine 12 (2): 45–56. doi:10.1111/j.1600-0781.1996.tb00175.x. PMID 8897589. 
  2. ^ 18章 真皮、皮下脂肪組織の疾患」『あたらしい皮膚科学 第2版』2011年。317頁。
  3. ^ Manríquez JJ, Majerson Gringberg D, Nicklas Diaz C. (2008-12). “Wrinkles”. BMJ clinical evidence 2008. PMC 2907965. PMID 19445782. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/pmid/19445782/. 
  4. ^ Gomes AJ, Lunardi CN, Gonzalez S, Tedesco AC (2001-11). “The antioxidant action of Polypodium leucotomos extract and kojic acid: reactions with reactive oxygen species”. Brazilian journal of medical and biological research=Revista brasileira de pesquisas medicas e biologicas 34 (11): 1487–1494. doi:10.1590/s0100-879x2001001100018. PMID 11668361. https://doi.org/10.1590/S0100-879X2001001100018. 
  5. ^ Mulero M, Rodríguez-Yanes E, Nogués MR et al (2008-8). “Polypodium leucotomos extract inhibits glutathione oxidation and prevents Langerhans cell depletion induced by UVB/UVA radiation in a hairless rat model”. Experimental dermatology 17 (8): 653–658. doi:10.1111/j.1600-0625.2007.00684.x. PMID 18312382. 
  6. ^ Alonso-Lebrero JL, Domínguez-Jiménez C, Tejedor R et al (2003-4). “Photoprotective properties of a hydrophilic extract of the fern Polypodium leucotomos on human skin cells”. Journal of photochemistry and photobiology. B, Biology 70 (1): 31–37. doi:10.1016/S1011-1344(03)00051-4. PMID 12745244. 
  7. ^ Middelkamp-Hup MA1, Pathak MA, Parrado C, Goukassian D et al (2004-12). “Oral Polypodium leucotomos extract decreases ultraviolet-induced damage of human skin”. Journal of the American Academy of Dermatology 51 (6): 910–918. doi:10.1016/j.jaad.2004.06.027. PMID 15583582. 
  8. ^ González S, Pathak MA, Cuevas J et al (1997). “Topical or oral administration with an extract of Polypodium leucotomos prevents acute sunburn and psoralen-induced phototoxic reactions as well as depletion of Langerhans cells in human skin”. Photodermatology, photoimmunology & photomedicine 13 (1-2): 50–60. doi:10.1111/j.1600-0781.1997.tb00108.x. PMID 9361129. 
  9. ^ Middelkamp-Hup MA, Pathak MA, Parrado C (2004-1). “Orally administered Polypodium leucotomos extract decreases psoralen-UVA-induced phototoxicity, pigmentation, and damage of human skin”. Journal of the American Academy of Dermatology 50 (1): 41–49. doi:10.1016/S0190. PMID 14699363. 
  10. ^ Capote R, Alonso-Lebrero JL, García F (2006-3). “Polypodium leucotomos extract inhibits trans-urocanic acid photoisomerization and photodecomposition”. Journal of photochemistry and photobiology. B, Biology 82 (3): 173–179. doi:10.1016/j.jphotobiol.2005.11.005. PMID 16388959. 
  11. ^ Jańczyk A, Garcia-Lopez MA, Fernandez-Peñas P et al (2007-10). “A Polypodium leucotomos extract inhibits solar-simulated radiation-induced TNF-alpha and iNOS expression, transcriptional activation and apoptosis”. Experimental dermatology 16 (10): 823–829. doi:10.1111/j.1600-0625.2007.00603.x. PMID 17845214. 
  12. ^ 内容も検証できr4と同一の出典かと Alonso-Lebrero JL et al, J Photochem Photobiol Biology, 2003.
  13. ^ a b Philips N, Conte J, Chen YJ (2009-8). “Beneficial regulation of matrixmetalloproteinases and their inhibitors, fibrillar collagens and transforming growth factor-beta by Polypodium leucotomos, directly or in dermal fibroblasts, ultraviolet radiated fibroblasts, and melanoma cells”. Archives of dermatological research 301 (7): 487–495. doi:10.1007/s00403-009-0950-x. PMID 19373483. 
  14. ^ a b Brieva A, Guerreo A, Pivel JP, Inflammopharmacol, 2002
  15. ^ Reyes E, Jaén P, de las Heras E et al (2006-3). “Systemic immunomodulatory effects of Polypodium leucotomos as an adjuvant to PUVA therapy in generalized vitiligo: A pilot study”. Journal of dermatological science 41 (3): 213–216. doi:10.1016/j.jdermsci.2005.12.006. PMID 16423508. 
  16. ^ IFC Group 公式HP http://www.ifcgroup.net/
  17. ^ noUV 公式HP http://www.nouv.jp/