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「壊死性筋膜炎」の版間の差分

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'''壊死性筋膜炎'''（えしせいきんまくえん）とは、[[皮下脂肪]]組織と固有[[筋膜]]の間にある浅層筋膜の細菌性炎症で組織壊死を引き起こす嫌気性菌が原因の感染症のひとつ。発症は緩やかであるが急速に進行し重篤な状態となり致死率は高い。中高年の四肢や陰部に好発する<ref name=derm-hokudai>{{PDFlink|[http://www.derm-hokudai.jp/jp/shinryo/pdf/24-05.pdf 壊死性筋膜炎 necrotizing fasciitis] あたらしい皮膚科学}} 北海道大学 大学院医学研究科皮膚科学教室</ref>。人食いバクテリアとも呼ばれることがある<ref>岡本正則、松田智、中村功 ほか、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/chubu/52/6/52_6_1377/_article/-char/ja/ 劇症型A群溶連菌感染症を呈した化膿性膝関節炎の1例] 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 Vol.52 (2009) No.6 P.1377-1378, {{DOI|10.11359/chubu.2012.169}}</ref>。
壊死性筋膜炎とは、皮膚よりも深い浅在性筋膜に広範囲な最近感染を起こし、組織壊死を引き起こす感染症。
糖尿病や易感染傾向の人に起こりやすい。
死亡率は30〜40%とも言われ、人喰いバクテリアという別名もある。


== 解説 ==
== 解説 ==
[[基礎疾患]]が無くても生じ、原因菌の[[経口]]摂取<ref>古木春美、水足久美子、前川嘉洋 ほか、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/dermatol/102/7/102_847/_article/-char/ja/ 経口感染が考えられた，Aeromonas sobriaによる壊死性筋膜炎の死亡例] 日本皮膚科学会雑誌 Vol.102 (1992) No.7 p.847-, {{DOI|10.14924/dermatol.102.847}}</ref>や何から外傷（[[肛門]]周囲膿瘍<ref name=jjsa.59.837>角崎秀文、岡村孝、鳥屋城男 ほか、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/ringe1998/59/3/59_3_837/_article/-char/ja/ 肛門周囲膿瘍に続発した壊死性筋膜炎の1例] 日本臨床外科学会雑誌 Vol.59 (1998) No.3 P.837-840, {{DOI|10.3919/jjsa.59.837}}</ref>、[[歯周炎]]、親知らず周囲炎、抜歯後感染、咽頭周囲炎など）からの細菌侵入が原因となる<ref name=yamaoka>山岡稔、[http://id.nii.ac.jp/1070/00000796/ 壊死性筋膜炎] 松本歯科大学学会 松本歯学22(3), p.233-244, 1996-12-31</ref>。また、前駆疾患として[[耳下腺炎]]、下顎智歯の歯根膜炎由来の歯槽膿瘍、頬粘膜の咬傷、下顎小臼歯の根管治療、下顎智歯の抜歯、口腔底の腺様嚢胞癌の切除術、下顎エナメル上皮腫の下顎骨切除術が原因となったとする報告がある<ref name=yamaoka />。早期診断が重要で急速に悪化するため[[播種性血管内凝固症候群]]、[[多臓器不全]]に進展し死亡する例も多い。
* 原因菌 黄色ブドウ球菌、溶血性レンサ球菌、大腸菌、嫌気性菌など
* 感染経路
** 経皮的...外傷や褥瘡、手術などからの感染
** 血行的...敗血症や咽頭からの溶連菌感染など


== 原因菌 ==
* ガス壊疽とは？
常在菌が原因となることもあり[[黄色ブドウ球菌]]、溶血性[[レンサ球菌]]、[[大腸菌]]<ref name=jjsa.59.837 />、無芽胞嫌気性菌など様々であるが特定されると、原因菌名を冠した名称で呼ばれる事もある。
ガス生産性の感染症で、病変部位にガスを発生させる。症状の特徴しては押すと泡を潰したようなプツプツと音を生じたり(捻髪音:ネンパツオン)、雪をつかむような感触(握雪感:アクセツカン)といったものがある。
* 溶血性レンサ球菌 - 劇症型A群溶血性連鎖球菌感染症<ref>谷 哲郎1), 行方 雅人1), 岩名 大樹 ほか、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/chubu/58/3/58_527/_article/-char/ja/ A群溶連菌による壊死性筋膜炎の1例] 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 Vol.58 (2015) No.3 p.527-528, {{DOI|10.11359/chubu.2015.527}}</ref>
* [[アエロモナス属|エロモナス属]](''Aeromonas'') - ''Aeromonas'' 壊死性軟部組織感染症
* ビブリオ・バルニフィカス (''Vibrio vulnificus'')<ref>川崎啓介、長野博志、大塚和俊 ほか、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/chubu/48/5/48_5_827/_article/-char/ja/ 水害により発生したVibrio vulnificusによる下腿壊死性筋膜炎の1例] 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 Vol.48 (2005) No.5 P.827-828, {{DOI|10.11359/chubu.2005.827}}</ref> - [[ビブリオ・バルニフィカス#感染症|ビブリオ・バルニフィカス感染症]]
* [[ウェルシュ菌]]など - [[壊疽]]


; 症状
== 症状 ==
真皮全層に浮腫が著明で紫斑、水疱や血疱、陥凹性壊死、潰瘍、激痛を伴う浮腫性腫脹、発赤腫脹と発熱などの全身症状を呈する。初期には、[[蜂窩織炎]]に類似した症状を呈し、鑑別が困難なことがある<ref>永松正代、綾部忍、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jlspm/7/1/7_69/_article/-char/ja/ 下肢壊死性筋膜炎の検討－蜂窩織炎との鑑別は難しい－] 日本下肢救済・足病学会誌 Vol.7 (2015) No.1 p.69-76, {{DOI|10.7792/jlspm.7.69}}</ref><ref name=derm-hokudai />。
疼痛、浮腫性腫脹、発赤


== 診断 ==
* 進行すると、紫斑、水疱、変色、壊死、高熱、関節痛、筋肉痛、腎不全、DIC、意識障害、多臓器不全など
抗菌薬投与前の細菌検査、白血球増多、炎症反応上昇（CRP高値）、肝機能障害、凝固系異常など。MRI、CT画像検査による筋膜の病変、ガス像の有無。


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== 治療 ==
; 検査
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* 外科的[[デブリードマン]]、抗菌薬大量投与、対症療法、ショック症状への対応
* 血液 炎症反応上昇
* 画像検査 筋膜の病変、ガス像の有無


== 脚注 ==
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; 治療
{{Reflist|2}}
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* 外科的デブリードマン、抗菌薬投与、対症療法、ショックの対応

== 関連項目 ==
* [[トキシックショック様症候群]]
* [[蜂窩織炎]]
* [[敗血症]]

== 外部リンク ==
* 石川耕資、南本俊之、一村公人 ほか、「[https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsswc/5/1/5_22/_article/-char/ja/ 壊死性筋膜炎と重症蜂窩織炎の鑑別診断における LRINEC score の有用性の検討]」 創傷 Vol.5 (2014) No.1 p.22-26, {{DOI|10.11310/jsswc.5.22}}
* 大澤郁介、伊藤英人、天野貴文 ほか、[https://www.jstage.jst.go.jp/article/chubu/55/1/55_1_169/_article/-char/ja/ 壊死性筋膜炎の治療法の検討] 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 Vol. 55 (2012) No. 1 P 169-170, {{DOI|10.11359/chubu.2012.169}}
* [http://merckmanuals.jp/home/皮膚の病気/細菌による皮膚感染症/皮膚の壊死性感染症.html 皮膚の壊死性感染症] メルクマニュアル 家庭版


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2016年12月28日 (水) 09:14時点における版

壊死性筋膜炎（えしせいきんまくえん）とは、皮下脂肪組織と固有筋膜の間にある浅層筋膜の細菌性炎症で組織壊死を引き起こす嫌気性菌が原因の感染症のひとつ。発症は緩やかであるが急速に進行し重篤な状態となり致死率は高い。中高年の四肢や陰部に好発する[1]。人食いバクテリアとも呼ばれることがある[2]。

解説

基礎疾患が無くても生じ、原因菌の経口摂取[3]や何から外傷（肛門周囲膿瘍[4]、歯周炎、親知らず周囲炎、抜歯後感染、咽頭周囲炎など）からの細菌侵入が原因となる[5]。また、前駆疾患として耳下腺炎、下顎智歯の歯根膜炎由来の歯槽膿瘍、頬粘膜の咬傷、下顎小臼歯の根管治療、下顎智歯の抜歯、口腔底の腺様嚢胞癌の切除術、下顎エナメル上皮腫の下顎骨切除術が原因となったとする報告がある[5]。早期診断が重要で急速に悪化するため播種性血管内凝固症候群、多臓器不全に進展し死亡する例も多い。

原因菌

常在菌が原因となることもあり黄色ブドウ球菌、溶血性レンサ球菌、大腸菌[4]、無芽胞嫌気性菌など様々であるが特定されると、原因菌名を冠した名称で呼ばれる事もある。

症状

真皮全層に浮腫が著明で紫斑、水疱や血疱、陥凹性壊死、潰瘍、激痛を伴う浮腫性腫脹、発赤腫脹と発熱などの全身症状を呈する。初期には、蜂窩織炎に類似した症状を呈し、鑑別が困難なことがある[8][1]。

診断

抗菌薬投与前の細菌検査、白血球増多、炎症反応上昇（CRP高値）、肝機能障害、凝固系異常など。MRI、CT画像検査による筋膜の病変、ガス像の有無。

治療

脚注

  1. ^ a b 壊死性筋膜炎 necrotizing fasciitis あたらしい皮膚科学 (PDF) 北海道大学 大学院医学研究科皮膚科学教室
  2. ^ 岡本正則、松田智、中村功 ほか、劇症型A群溶連菌感染症を呈した化膿性膝関節炎の1例 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 Vol.52 (2009) No.6 P.1377-1378, doi:10.11359/chubu.2012.169
  3. ^ 古木春美、水足久美子、前川嘉洋 ほか、経口感染が考えられた，Aeromonas sobriaによる壊死性筋膜炎の死亡例 日本皮膚科学会雑誌 Vol.102 (1992) No.7 p.847-, doi:10.14924/dermatol.102.847
  4. ^ a b 角崎秀文、岡村孝、鳥屋城男 ほか、肛門周囲膿瘍に続発した壊死性筋膜炎の1例 日本臨床外科学会雑誌 Vol.59 (1998) No.3 P.837-840, doi:10.3919/jjsa.59.837
  5. ^ a b 山岡稔、壊死性筋膜炎 松本歯科大学学会 松本歯学22(3), p.233-244, 1996-12-31
  6. ^ 谷 哲郎1), 行方 雅人1), 岩名 大樹 ほか、A群溶連菌による壊死性筋膜炎の1例 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 Vol.58 (2015) No.3 p.527-528, doi:10.11359/chubu.2015.527
  7. ^ 川崎啓介、長野博志、大塚和俊 ほか、水害により発生したVibrio vulnificusによる下腿壊死性筋膜炎の1例 中部日本整形外科災害外科学会雑誌 Vol.48 (2005) No.5 P.827-828, doi:10.11359/chubu.2005.827
  8. ^ 永松正代、綾部忍、下肢壊死性筋膜炎の検討－蜂窩織炎との鑑別は難しい－ 日本下肢救済・足病学会誌 Vol.7 (2015) No.1 p.69-76, doi:10.7792/jlspm.7.69

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外部リンク

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