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「襟鞭毛虫」の版間の差分

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| 画像キャプション = ''Monosiga brevicollis''
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| 名称 = 襟鞭毛虫
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| 和名 = 襟鞭毛虫
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| 英名 = choanoflagellate
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}}


'''襟鞭毛虫'''(えりべんもうちゅう、choanoflagellate)は小さな単[[鞭毛]]の[[鞭毛虫]]で、[[単細胞生物]]の中では我々[[動物]]などの[[後生動物]]に最も近いとされる。名前の「choano-」は[[ギリシア語]]で襟(''choanos'')を意味する。およそ50[[属 (分類学)|属]]150[[種 (分類学)|種]]ほどが記載されている。
'''襟鞭毛虫'''(えりべんもうちゅう、{{sname|Choanomonada}})は小さな単[[鞭毛]]の[[鞭毛虫]]で、[[単細胞生物]]の中では我々[[動物]]などの[[後生動物]]に最も近いとされる。

名前の「choano-」は[[ギリシア語]]で襟({{en|choanos}}) を意味する。{{sname|Choanozoa}}(襟鞭毛動物・襟鞭毛虫動物とも訳す)・{{sname|Choanoflagellatea}} と同じ群であるが、{{sname|Choanozoa}} は歴史的には、現在の[[イクチオスポレア]]など雑多な群を含んだ。

およそ50[[属 (分類学)|属]]150[[種 (分類学)|種]]ほどが記載されている。


== 細胞構造 ==
== 細胞構造 ==
[[Image:Codonosiga botrytis.jpg|left|120px|thumb|固着性の襟鞭毛虫<br />''Codonosiga botrytis'']]
[[Image:Codonosiga botrytis.jpg|left|120px|thumb|固着性の襟鞭毛虫<br />''Codonosiga botrytis'']]

=== 襟・鞭毛 ===
=== 襟・鞭毛 ===


襟鞭毛虫は小さな鞭毛虫で、体長が10&mu;mを超える事は稀である。本の鞭毛を持っており、その基部を[[微絨毛]](tentacles、あるいは microvilli)が環状に取り囲んで'''襟'''(collar)と呼ばれる構造を形成している。鞭毛は水流を起こして[[バクテリア]]などの餌粒子を集め、これを襟が捕捉する事で摂食を行う。[[固着性]]の種は鞭毛の反対側に柄を持ち、基物に付着したまま摂食を行い生活する。
襟鞭毛虫は小さな鞭毛虫で、体長が10μmを超える事は稀である。1本の鞭毛を持っており、その基部を[[微絨毛]]({{en|tentacles}} あるいは {{en|microvilli}})が環状に取り囲んで'''襟''' ({{en|collar}}) と呼ばれる構造を形成している。鞭毛は水流を起こして[[バクテリア]]などの餌粒子を集め、これを襟が捕捉する事で摂食を行う。[[固着性]]の種は鞭毛の反対側に柄を持ち、基物に付着したまま摂食を行い生活する。


餌粒子の捕食だけでなく、自由遊泳性の種では鞭毛は細胞の遊泳にも用いられる。この時鞭毛は[[ヒト]]の[[精子]]と同様に細胞の後方に向けられる。これは、他の大部分の鞭毛虫が鞭毛を進行方向に伸ばすのとは対照的であり、襟鞭毛虫が後生動物に近縁である根拠の一つになっている。襟鞭毛虫も古くは二本鞭毛であったと考えられているが、二本目の鞭毛は現在では退化しており、[[基底小体]]の痕跡が残るのみである。
餌粒子の捕食だけでなく、自由遊泳性の種では鞭毛は細胞の遊泳にも用いられる。この時鞭毛は[[ヒト]]の[[精子]]と同様に細胞の後方に向けられる。これは、他の大部分の鞭毛虫が鞭毛を進行方向に伸ばすのとは対照的であり、襟鞭毛虫が後生動物に近縁である根拠の一つになっている。襟鞭毛虫も古くは二本鞭毛であったと考えられているが、二本目の鞭毛は現在では退化しており、[[基底小体]]の痕跡が残るのみである。
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=== ロリカ ===
=== ロリカ ===
多くの襟鞭毛虫は籠状の殻であるロリカ(lorica)を形成する。ロリカは淡水種では有機質のみ、海産種では有機質に加えて[[ケイ酸]]質である。特に薄い膜質のロリカはテカ(theca)と呼んで区別する場合もある。
多くの襟鞭毛虫は籠状の殻であるロリカ ({{en|lorica}}) を形成する。ロリカは淡水種では有機質のみ、海産種では有機質に加えて[[ケイ酸]]質である。特に薄い膜質のロリカはテカ ({{en|theca}}) と呼んで区別する場合もある。


珪酸質のロリカは複雑な籠のような形態をしており、針状の珪酸パーツが縦横に組み合わされて形成されている。パーツの接合点は[[セメント質]]により接着されている。ロリカの構造は襟鞭毛虫の分類上重要な形質であるが、[[光学顕微鏡]]で形態を識別するのは難しく、[[同定]]に際しては[[電子顕微鏡]]が用いられる。
珪酸質のロリカは複雑な籠のような形態をしており、針状の珪酸パーツが縦横に組み合わされて形成されている。パーツの接合点は[[セメント質]]により接着されている。ロリカの構造は襟鞭毛虫の分類上重要な形質であるが、[[光学顕微鏡]]で形態を識別するのは難しく、[[同定]]に際しては[[電子顕微鏡]]が用いられる。


=== ===
=== 葉緑体欠如 ===
[[葉緑体]]を持つ襟鞭毛虫は発見されておらず、その痕跡器官や葉緑体[[デオキシリボ核酸|DNA]] なども見つかっていない。全ての襟鞭毛虫は、餌粒子を捕食して生活する[[従属栄養]]性である。
[[葉緑体]]を持つ襟鞭毛虫は発見されておらず、その痕跡器官や葉緑体[[デオキシリボ核酸|DNA]] なども見つかっていない。全ての襟鞭毛虫は、餌粒子を捕食して生活する[[従属栄養]]性である。


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[[多細胞生物]]である[[海綿]]動物に存在する[[襟細胞]](choanocytes)は、襟鞭毛虫に似た構造の細胞である。襟細胞は[[扁形動物]]など他の[[動物]]にもしばしば見られる事から、群体性の襟鞭毛虫が多細胞動物の起源であると考える説もある。襟細胞の他にも、珪酸の代謝経路や[[収縮胞]]の使われ方などにも後生動物との共通点が見出されている。
[[多細胞生物]]である[[海綿]]動物に存在する[[襟細胞]](choanocytes)は、襟鞭毛虫に似た構造の細胞である。襟細胞は[[扁形動物]]など他の[[動物]]にもしばしば見られる事から、群体性の襟鞭毛虫が多細胞動物の起源であると考える説もある。襟細胞の他にも、珪酸の代謝経路や[[収縮胞]]の使われ方などにも後生動物との共通点が見出されている。


''Proterospongia'' 属や ''Sphaeroeca volvox'' の巨大なコロニー(300~500&mu;mに達する)では、コロニー内の細胞形態に分化が見られる。表層付近の細胞が鞭毛や明瞭な襟を持つのに対し、群体の中央付近の細胞は球形で襟や鞭毛、ロリカが発達しない。このような細胞形態の変化が、多細胞生物における細胞の分業体制の起源となったとする意見もある。
{{snamei||Proterospongia}} 属や {{snamei|Sphaeroeca volvox}} の巨大なコロニー(300~500μmに達する)では、コロニー内の細胞形態に分化が見られる。表層付近の細胞が鞭毛や明瞭な襟を持つのに対し、群体の中央付近の細胞は球形で襟や鞭毛、ロリカが発達しない。このような細胞形態の変化が、多細胞生物における細胞の分業体制の起源となったとする意見もある。


== 生態・分布 ==
== 生態・分布 ==
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上位分類群は後生動物と同様に[[オピストコンタ]]で、これは分子系統解析において強力に支持される区分である。このグループ共通の形態形質として、鞭毛を進行方向に対して後方へ向けて遊泳する点が挙げられる。この特徴はオピストコンタという分類群名の由来にもなっている(Opisthokonta; ギリシア語 ''opistho-'' '後方' + ''kontos'' '鞭毛')。
上位分類群は後生動物と同様に[[オピストコンタ]]で、これは分子系統解析において強力に支持される区分である。このグループ共通の形態形質として、鞭毛を進行方向に対して後方へ向けて遊泳する点が挙げられる。この特徴はオピストコンタという分類群名の由来にもなっている(Opisthokonta; ギリシア語 ''opistho-'' '後方' + ''kontos'' '鞭毛')。


オピストコンタ内部の分類は未だ定まらない部分が大きいが、襟鞭毛虫は他の少数の[[原生生物]]と共に[[コアノゾア]]([[:en:Choanozoa|Choanozoa]]、Cavalier-Smith 1981)あるいは[[コアノモナダ]](Choanomonada、Kent 1880)に含める意見優勢である。さららの内部で[[目 (分類学)|目]]レベルの扱い(襟鞭毛虫目、Choanoflagellida)受け場合が多いがここでは特階級を特定せず、襟鞭毛虫類としてまとめる。
オピストコンタ内部の系統がまだ定まらなかった時代、襟鞭毛虫は他の少数の[[原生生物]]と共に襟鞭毛虫門 {{sname|Choanozoa}} あるいは {{sname|Choanomonada}} に含められていた、系統関係ない群は除外さ、現在、{{sname|Choanomonada}}・{{sname|Choanozoa}}・{{sname|Choanoflagellatea}} 全て同じ群(襟鞭毛虫意味す。かつてはさらにその下に襟鞭毛虫目 {{sname|Choanoflagellida}} を設けこともあった


現在は2目3科に分けられる<ref name="Nitsche">{{cite | journal=J. Eukaryot. Microbiol. | year=2011 | volume=58 | issue=5 | pages=452–62 | doi=10.1111/j.1550-7408.2011.00572.x | title=Higher level taxonomy and molecular phylogenetics of the Choanoflagellatea | last=Nitsche | first=F. | last2=Carr | first2=M. | last3=Arndt | first3=H. | last4=Leadbeater | first4=B.S. }}</ref><ref name="Adl">{{cite | journal=J. Eukaryot. Microbiol. | volume=59 | issue=5 | year=2012 | pages=429–493 | title=The Revised Classification of Eukaryotes | first=Sina M. | last=Adl | last2=''et al.'' | url=http://www.paru.cas.cz/docs/documents/93-Adl-JEM-2012.pdf }}</ref><ref name="Wylezich">{{cite | title=Ecologically relevant choanoflagellates collected from hypoxic water masses of the Baltic Sea have untypical mitochondrial cristae | first=Claudia | last=Wylezich | first2=Sergey A | last2=Karpov | last3=''et al.'' | journal=BMC Microbiology | year=2012 | volume=12 | pages=271 | doi=10.1186/1471-2180-12-271 }}</ref><ref name="JAMSTEC">[http://www.godac.jamstec.go.jp/bismal/j/view/9024005 BISMaL: 襟鞭毛虫綱] - [[JAMSTEC]]</ref>。それらが含む属は以下のとおり<ref name="Adl"/><ref name="Wylezich"/><ref name="JAMSTEC"/>:
;Family Acanthoecidae アカンソエカ科

:海産のグループ。ロリカは有機質+珪酸質。
* {{sname|Craspedida}}
:*''Acanthoeca''、''Diaphanoeca''、''Pleurasiga''、''Stephanoeca'' など。
;Family Salpingoecidae サルピンゴエカ科(カラエリヒゲムシ科)
** [[サルピンゴエカ科]](カラエリヒゲムシ科){{sname||Salpingoecidae}}
*** {{snamei|Choanoeca}}
:淡水を中心に分布。ロリカは有機質だが光学顕微鏡で観察できる。
*** [[コドノクラディウム]] {{snamei|Codonocladium}}
:*''Chanoeca''、''Diploeca''、''Pachysoeca''、''Salpingoeca ''(''S. amphoroideum'' カラエリヒゲムシなど。
*** [[コドシガ]] {{snamei|Codosiga}} (= {{snamei|Codonosiga}}) - 細胞は柄を持ち、固着性の群体を形成する。
;Family Codonosigidae コドノシガ科
*** [[デスマレラ]] {{snamei|Desmarella}} (= {{snamei|Codonodesmus}} = {{snamei|Kentrosiga}}) - 一列に繋がった遊泳性の群体を形成する。
:淡水を中心に分布。ロリカは有機質で非常に薄く、通常の光学顕微鏡では見えない。位相差系や微分干渉系を備えた顕微鏡では一部観察可能。ロリカを持たない属もある。
:*''Monosiga'' 単細胞遊泳性。
*** [[モノシガ]] {{snamei|Monosiga}} - 単細胞遊泳性。
:*''Codosiga '' :細胞は柄を持ち固着性の群体を形成する。
*** [[プロテロスポンギア]] {{snamei||Proterospongia}} - 平板状、杯状球状など様々な形態の群体を形成する。
*** [[サルピンゴエカ]] {{snamei|Salpingoeca}} - {{snamei|S. amphoroideum}} カラエリヒゲムシ など。
:*''Desmarella '' 一列に繋がった遊泳性の群体を形成する。
** {{snamei|[[incertae sedis]]}} ? - {{snamei|Astrosiga}}、{{snamei|Aulomonas}}、{{snamei|Cladospongia}}、{{snamei|Codonosigopsis}}、{{snamei|Dicraspedella}}、{{snamei|Diploeca}}、{{snamei|Diplosiga}}、{{snamei|Diplosigopsis}}、{{snamei|Kentia}}、{{snamei|Lagenoeca}}、{{snamei|Pachysoeca}}、{{snamei|Salpingorhiza}}、{{snamei|Sphaeroeca}}、{{snamei|Stelexomonas}}、{{snamei|Stylochromonas}}
:*''Proterospongia'' 属 :平板状、杯状、球状など様々な形態の群体を形成する。
* [[アカントエカ目]] {{sname|Acanthoecida}}
:*''Sphaeroeca'' 属 :球状、あるいは塊状の遊泳性の群体を形成する。
** [[アカントエカ科]] {{sname||Acanthoecidae}}
*** [[アカントエカ]] {{snamei|Acanthoeca}}
*** [[ポリオエカ]] {{snamei|Polyoeca}}
*** [[サビレア]] {{snamei|Savillea}}
** {{sname|Stephanoecidae}}
*** [[アカントコルビス]] {{snamei|Acanthocorbis}}
*** [[アモエノスコパ]] {{snamei|Amoenoscopa}}
*** [[ビコスタ]] {{snamei|Bicosta}}
*** [[カリアカンタ]] {{snamei|Calliacantha}}
*** [[カンピロアカンタ]] {{snamei|Campyloacantha}}
*** [[コスモエカ]] {{snamei|Cosmoeca}}
*** [[クリノリナ]] {{snamei|Crinolina}}
*** [[クルキスピナ]] {{snamei|Crucispina}}
*** [[ディアパノエカ]] {{snamei|Diaphanoeca}}
*** {{snamei|Didymoeca}}
*** [[ナンノエカ]] {{snamei|Nannoeca}}
*** [[パルビコルビクラ]] {{snamei|Parvicorbicula}}
*** [[プラティプレウラ]] {{snamei|Platypleura}}
*** [[プレウラシガ]] {{snamei|Pleurasiga}}
*** [[ポリフィブラ]] {{snamei|Polyfibula}}
*** [[サロエカ]] {{snamei|Saroeca}}
*** [[ステパナカンタ]] {{snamei|Stephanacantha}}
*** [[ステパノエカ]] {{snamei|Stephanoeca}}
*** [[シンデトピルム]] {{snamei|Syndetophyllum}}
** {{snamei|incertae sedis}} ? - {{snamei|Apheloecion}}、{{snamei|Calotheca}}、{{snamei|Campanoeca}}、{{snamei|Conion}}、{{snamei|Helgoeca}}、{{snamei|Kakoeca}}、{{snamei|Monocosta}}、{{snamei|Saepicula}}、{{snamei|Spinoeca}}、{{snamei|Spiraloecion}}

かつては、形態から、次のような3科に分類されていた<ref>[http://protist.i.hosei.ac.jp/taxonomy/zoomastigophora/choanoflagellida.html 原生生物情報サーバ: 襟鞭毛虫目 Choanoflagellida] - [[総合研究大学院大学]]</ref>。これらは(名前が同じ科を含め)、現在の3科と対応していない:

* サルピンゴエカ科(カラエリヒゲムシ科){{sname||Salpingoecidae}} - 淡水を中心に分布。ロリカは有機質だが光学顕微鏡で観察できる。{{snamei|Chanoeca}}、{{snamei|Salpingoeca}}、{{snamei|Pachysoeca}}、{{snamei|Diploeca}}。
* アカンソエカ科 {{sname|Acanthoecidae}} - 海産のグループ。ロリカは有機質+珪酸質。{{snamei|Bicosta}}、{{snamei|Calliacantha}}、{{snamei|Crinolina}}、{{snamei|Diaphanoeca}}、{{snamei|Acanthoeca}}、{{snamei|Acanthoecopsis}}、{{snamei|Savillea}}、{{snamei|Diplotheca}}、{{snamei|Parvicorbicula}}、{{snamei|Pleurasiga}}、{{snamei|Stephanoeca}}、{{snamei|Saepicula}}。
* コドノシガ科 {{sname||Codonosigidae}} - 淡水を中心に分布。ロリカは有機質で非常に薄く、通常の光学顕微鏡では見えない。位相差系や微分干渉系を備えた顕微鏡では一部観察可能。ロリカを持たない属もある。{{snamei|Monosiga}}、{{snamei|Codosiga}}、{{snamei|Codonocladium}}、{{snamei|Desmarella}}、{{snamei|Astrosiga}}、{{snamei|Sphaeroeca}}、{{snamei|Proterospongia}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
69行目: 111行目:
* [[繊毛]]
* [[繊毛]]
* [[海綿]]
* [[海綿]]

== 出典 ==
{{Reflist}}


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2013年5月}}

* Lee JJ, Leedale GF, Bradbury P. (2000) The Illustrated Guide to The Protozoa, 2nd. vol. I pp. 14-38. Society of Protozoologists, Lawrence, Kansas. ISBN 1-891276-22-0
* Lee JJ, Leedale GF, Bradbury P. (2000) The Illustrated Guide to The Protozoa, 2nd. vol. I pp. 14-38. Society of Protozoologists, Lawrence, Kansas. ISBN 1-891276-22-0
* Hausmann K, Hulsmann N, Radek R. (2003) Protistology 3rd. E. Schweizerbart'sche Verlagsbuchhandlung, Stuttgart. ISBN 3-510-65208-8
* Hausmann K, Hulsmann N, Radek R. (2003) Protistology 3rd. E. Schweizerbart'sche Verlagsbuchhandlung, Stuttgart. ISBN 3-510-65208-8
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* [http://mcb.berkeley.edu/labs/king/blast/ CHOANOBASE] 襟鞭毛虫(''Monosiga''、''Proterospongia'')の [[相補的DNA#EST|EST]]検索。
* [http://mcb.berkeley.edu/labs/king/blast/ CHOANOBASE] 襟鞭毛虫(''Monosiga''、''Proterospongia'')の [[相補的DNA#EST|EST]]検索。


[[Category:原生生物|えりへんもうちゆう]]
{{デフォルトソート:えりへんもうちゆう}}
[[Category:オピストコンタ]]
[[Category:原生生物]]

2013年6月1日 (土) 16:21時点における版

襟鞭毛虫
Monosiga brevicollis
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
階級なし : オピストコンタ Opisthokonta
階級なし : ホロゾア Holozoa
階級なし : フィロゾア Filozoa
階級なし : 襟鞭毛虫 Choanomonada
: 襟鞭毛虫門 Choanozoa
: 襟鞭毛虫綱 Choanoflagellatea
学名
Choanomonada Kent1880
Choanozoa Cavalier-Smith, 1981
Choanoflagellatea Kent1880
和名
襟鞭毛虫
英名
choanoflagellate

襟鞭毛虫(えりべんもうちゅう、Choanomonada)は小さな単鞭毛鞭毛虫で、単細胞生物の中では我々動物などの後生動物に最も近いとされる。

名前の「choano-」はギリシア語で襟(choanos) を意味する。Choanozoa(襟鞭毛動物・襟鞭毛虫動物とも訳す)・Choanoflagellatea と同じ群であるが、Choanozoa は歴史的には、現在のイクチオスポレアなど雑多な群を含んだ。

およそ50150ほどが記載されている。

細胞構造

固着性の襟鞭毛虫
Codonosiga botrytis

襟・鞭毛

襟鞭毛虫は小さな鞭毛虫で、体長が10μmを超える事は稀である。1本の鞭毛を持っており、その基部を微絨毛tentacles あるいは microvilli)が環状に取り囲んで (collar) と呼ばれる構造を形成している。鞭毛は水流を起こしてバクテリアなどの餌粒子を集め、これを襟が捕捉する事で摂食を行う。固着性の種は鞭毛の反対側に柄を持ち、基物に付着したまま摂食を行い生活する。

餌粒子の捕食だけでなく、自由遊泳性の種では鞭毛は細胞の遊泳にも用いられる。この時鞭毛はヒト精子と同様に細胞の後方に向けられる。これは、他の大部分の鞭毛虫が鞭毛を進行方向に伸ばすのとは対照的であり、襟鞭毛虫が後生動物に近縁である根拠の一つになっている。襟鞭毛虫も古くは二本鞭毛であったと考えられているが、二本目の鞭毛は現在では退化しており、基底小体の痕跡が残るのみである。

襟鞭毛虫の模式図。鞭毛を囲む濃い紺色の部分が襟。

ロリカ

多くの襟鞭毛虫は籠状の殻であるロリカ (lorica) を形成する。ロリカは淡水種では有機質のみ、海産種では有機質に加えてケイ酸質である。特に薄い膜質のロリカはテカ (theca) と呼んで区別する場合もある。

珪酸質のロリカは複雑な籠のような形態をしており、針状の珪酸パーツが縦横に組み合わされて形成されている。パーツの接合点はセメント質により接着されている。ロリカの構造は襟鞭毛虫の分類上重要な形質であるが、光学顕微鏡で形態を識別するのは難しく、同定に際しては電子顕微鏡が用いられる。

葉緑体の欠如

葉緑体を持つ襟鞭毛虫は発見されておらず、その痕跡器官や葉緑体DNA なども見つかっていない。全ての襟鞭毛虫は、餌粒子を捕食して生活する従属栄養性である。

進化的意義

多細胞生物である海綿動物に存在する襟細胞(choanocytes)は、襟鞭毛虫に似た構造の細胞である。襟細胞は扁形動物など他の動物にもしばしば見られる事から、群体性の襟鞭毛虫が多細胞動物の起源であると考える説もある。襟細胞の他にも、珪酸の代謝経路や収縮胞の使われ方などにも後生動物との共通点が見出されている。

Proterospongia 属や Sphaeroeca volvox の巨大なコロニー(300~500μmに達する)では、コロニー内の細胞形態に分化が見られる。表層付近の細胞が鞭毛や明瞭な襟を持つのに対し、群体の中央付近の細胞は球形で襟や鞭毛、ロリカが発達しない。このような細胞形態の変化が、多細胞生物における細胞の分業体制の起源となったとする意見もある。

生態・分布

淡水域、海水域共に広く分布するが、細胞のサイズが小さい、色素体を持っていない、ブルームを形成しない、などの理由から人目に触れる機会は少ない。また、毒素を産生する種や、寄生性・病原性の種などは知られていない。

襟鞭毛虫は全て従属栄養性である為、海洋においては有光層以深にも分布する。特に脆弱なロリカを持つ種は、物理的撹乱の激しい表層付近よりも、環境の安定した深海を好む傾向にある。

分類

上位分類群は後生動物と同様にオピストコンタで、これは分子系統解析において強力に支持される区分である。このグループ共通の形態形質として、鞭毛を進行方向に対して後方へ向けて遊泳する点が挙げられる。この特徴はオピストコンタという分類群名の由来にもなっている(Opisthokonta; ギリシア語 opistho- '後方' + kontos '鞭毛')。

オピストコンタ内部の系統がまだ定まらなかった時代、襟鞭毛虫は他の少数の原生生物と共に襟鞭毛虫門 Choanozoa あるいは Choanomonada に含められていたが、系統関係にない群は除外され、現在、ChoanomonadaChoanozoaChoanoflagellatea は全て同じ群(襟鞭毛虫)を意味する。かつては、さらにその下に襟鞭毛虫目 Choanoflagellida を設けることもあった。

現在は2目3科に分けられる[1][2][3][4]。それらが含む属は以下のとおり[2][3][4]:

かつては、形態から、次のような3科に分類されていた[5]。これらは(名前が同じ科を含め)、現在の3科と対応していない:

  • サルピンゴエカ科(カラエリヒゲムシ科)Salpingoecidae - 淡水を中心に分布。ロリカは有機質だが光学顕微鏡で観察できる。ChanoecaSalpingoecaPachysoecaDiploeca
  • アカンソエカ科 Acanthoecidae - 海産のグループ。ロリカは有機質+珪酸質。BicostaCalliacanthaCrinolinaDiaphanoecaAcanthoecaAcanthoecopsisSavilleaDiplothecaParvicorbiculaPleurasigaStephanoecaSaepicula
  • コドノシガ科 Codonosigidae - 淡水を中心に分布。ロリカは有機質で非常に薄く、通常の光学顕微鏡では見えない。位相差系や微分干渉系を備えた顕微鏡では一部観察可能。ロリカを持たない属もある。MonosigaCodosigaCodonocladiumDesmarellaAstrosigaSphaeroecaProterospongia

関連項目

出典

  1. ^ Nitsche, F.; Carr, M.; Arndt, H.; Leadbeater, B.S. (2011), “Higher level taxonomy and molecular phylogenetics of the Choanoflagellatea”, J. Eukaryot. Microbiol. 58 (5): 452–62, doi:10.1111/j.1550-7408.2011.00572.x 
  2. ^ a b Adl, Sina M.; et al. (2012), “The Revised Classification of Eukaryotes”, J. Eukaryot. Microbiol. 59 (5): 429–493, http://www.paru.cas.cz/docs/documents/93-Adl-JEM-2012.pdf 
  3. ^ a b Wylezich, Claudia; Karpov, Sergey A; et al. (2012), “Ecologically relevant choanoflagellates collected from hypoxic water masses of the Baltic Sea have untypical mitochondrial cristae”, BMC Microbiology 12: 271, doi:10.1186/1471-2180-12-271 
  4. ^ a b BISMaL: 襟鞭毛虫綱 - JAMSTEC
  5. ^ 原生生物情報サーバ: 襟鞭毛虫目 Choanoflagellida - 総合研究大学院大学

参考文献

  • Lee JJ, Leedale GF, Bradbury P. (2000) The Illustrated Guide to The Protozoa, 2nd. vol. I pp. 14-38. Society of Protozoologists, Lawrence, Kansas. ISBN 1-891276-22-0
  • Hausmann K, Hulsmann N, Radek R. (2003) Protistology 3rd. E. Schweizerbart'sche Verlagsbuchhandlung, Stuttgart. ISBN 3-510-65208-8
  • Adl et al. (2005). “The New Higher Level Classification of Eukaryotes with Emphasis on the Taxonomy of Protists”. J Eukaryot Microbiol 52 (5): 399-451.  PMID 16248873

外部リンク