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「ウロビリノーゲン」の版間の差分

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ウロビリノーゲンは、[[腸内微生物]]の活動によって腸内でビリルビンが還元されて生成される。ウロビリノーゲンの一部は、腸から体内へ吸収され、[[腎臓]]を経て尿から排泄される。この循環を腸肝ウロビリノーゲンサイクルと呼ぶ。ウロビリノーゲンは酸化されると、尿の黄色のもとである[[ウロビリン]]に変化する。
ウロビリノーゲンは、[[腸内微生物]]の活動によって腸内でビリルビンが還元されて生成される。ウロビリノーゲンの一部は、腸から体内へ吸収され、[[腎臓]]を経て尿から排泄される。この循環を腸肝ウロビリノーゲンサイクルと呼ぶ。ウロビリノーゲンは酸化されると、尿の黄色のもとである[[ウロビリン]]に変化する。


ウロビリノーゲンは、[[抗酸化作用]]を有し、[[DPPH]]ラジカル除去作用は他の[[抗酸化物質]]([[ビタミンE]]、[[ビリルビン]]及び[[β-カロチン]])よりも高い値を示した<ref>http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902172619022847</ref><ref>http://www.jstage.jst.go.jp/article/jos/55/4/55_191/_article</ref>。
ウロビリノーゲンは、[[抗酸化作用]]を有し、[[DPPH]]ラジカル除去作用は他の[[抗酸化物質]]([[ビタミンE]]、[[ビリルビン]]及び[[β-カロチン]])よりも高い値を示した中村宜司、佐藤克行、秋葉光雄「胆汁色素代謝物ウロビリノーゲンの抗酸化作用」中村宜司 『日本農芸化学会誌』2001年3月5日、75巻、144ページ。{{JGLOBAL ID|200902172619022847}}<ref>{{Cite journal|author=NAKAMURATakashi |author2=SATOKatsuyuki |author3=AKIBAMitsuo |author4=OHNISHIMasao |title=Urobilinogen, as a Bile Pigment Metabolite, Has an Antioxidant Function |date=2006 |publisher=日本油化学会 |journal=Journal of Oleo Science |volume=55 |number=4 |naid=130000055572 |doi=10.5650/jos.55.191 |pages=191-197 |ref=harv}}</ref>。


腸内に残った大半のウロビリノーゲンは、その両端のピロール環が還元されて[[ステルコビリノーゲン]]となり、ステルコビリノーゲンが酸化されて、大便の特有の色のもとである茶色の[[ステルコビリン]]になる<ref>[http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:B6BoFHKzqbcJ:square.umin.ac.jp/aoki530t/prorogu_daigaku/cyoubunshi8.htm+&cd=1&hl=ja&ct=clnk&gl=jp 総説 生体内における分子認識]</ref>。
腸内に残った大半のウロビリノーゲンは、その両端のピロール環が還元されて[[ステルコビリノーゲン]]となり、ステルコビリノーゲンが酸化されて、大便の特有の色のもとである茶色の[[ステルコビリン]]になる<ref>青木好雄 竹村哲雄[http://square.umin.ac.jp/aoki530t/prorogu_daigaku/cyoubunshi7.htm 総説 生体内における分子認識]</ref>{{信頼性要検証|date=2012年10月}}


[[ヘム]]の分解によってビリルビンの量が増えると、腸内でウロビリノーゲンの量が増える。
[[ヘム]]の分解によってビリルビンの量が増えると、腸内でウロビリノーゲンの量が増える。

2012年10月24日 (水) 22:48時点における版

ウロビリノーゲン
識別情報
CAS登録番号 14684-37-8
PubChem 26818
MeSH Urobilinogen
特性
化学式 C33H44N4O6
モル質量 592.726
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ウロビリノーゲン(Urobilinogen)は、ヘムの分解によって生成するビリルビン還元によって生成される無色の代謝物である。

概要

ウロビリノーゲンは、腸内微生物の活動によって腸内でビリルビンが還元されて生成される。ウロビリノーゲンの一部は、腸から体内へ吸収され、腎臓を経て尿から排泄される。この循環を腸肝ウロビリノーゲンサイクルと呼ぶ。ウロビリノーゲンは酸化されると、尿の黄色のもとであるウロビリンに変化する。

ウロビリノーゲンは、抗酸化作用を有し、DPPHラジカル除去作用は他の抗酸化物質ビタミンEビリルビン及びβ-カロチン)よりも高い値を示した中村宜司、佐藤克行、秋葉光雄「胆汁色素代謝物ウロビリノーゲンの抗酸化作用」中村宜司 『日本農芸化学会誌』2001年3月5日、75巻、144ページ。ウロビリノーゲン - J-GLOBAL[1]

腸内に残った大半のウロビリノーゲンは、その両端のピロール環が還元されてステルコビリノーゲンとなり、ステルコビリノーゲンが酸化されて、大便の特有の色のもとである茶色のステルコビリンになる[2][信頼性要検証]

ヘムの分解によってビリルビンの量が増えると、腸内でウロビリノーゲンの量が増える。

例えば、急性肝炎のような肝臓病の場合、腸肝ウロビリノーゲンサイクルが抑制される。胆道閉塞ではウロビリノーゲンに変化する抱合型ビリルビンが通常よりも少ない量しか腸内に到達しなくなる。再吸収や排泄にまわされるウロビリノーゲンが限られることで、尿で認められるウロビリンの量は低くなる。体内の大量の水溶性の抱合型ビリルビンは、腎臓から排泄される回路に入る。胆道閉塞の際に尿の色が極端に濃くなり大便の色が薄くなるのはこのメカニズムによるものである。

低濃度尿ウロビリノーゲンは、重度の閉塞性黄疸腸内細菌叢まで消滅させる広範わたる抗生物質による治療で引き起こされる(腸内でのビリルビンの経路の障害または腸内でのウロビリノーゲン合成の失敗)。低濃度尿ウロビリノーゲンは、先天的酵素による黄疸高ビリルビン血症)や塩酸アンモニウムやアスコルビン酸などの尿を酸性にする薬剤によっても引き起こされる。

高濃度尿ウロビリノーゲンは、溶血性貧血(過剰な赤血球の破壊)、肝臓の酷使、ウロビリノーゲン産生、再吸収の増加、巨大血腫、肝臓機能の低下、肝炎、肝臓薬剤障害、肝硬変などによって引き起こされる。[3][4]

ウロビリノーゲンの尿検査の参考基準値

検査結果参考基準値
測定項目 下限値 上限値 単位
ウロビリノーゲン 0.2[5] 1.0 [5] Ehrlich units
or mg/dL

脚注

  1. ^ NAKAMURATakashi; SATOKatsuyuki; AKIBAMitsuo; OHNISHIMasao (2006). “Urobilinogen, as a Bile Pigment Metabolite, Has an Antioxidant Function”. Journal of Oleo Science (日本油化学会) 55 (4): 191-197. doi:10.5650/jos.55.191. NAID 130000055572. 
  2. ^ 青木好雄 竹村哲雄総説 生体内における分子認識
  3. ^ Urobilinogen”. Family Health Information. 2008年3月30日閲覧。
  4. ^ Urobilinogen in urine”. Home test kist. 2008年3月30日閲覧。
  5. ^ a b Normal Reference Range Table from The University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas. Used in Interactive Case Study Companion to Pathologic basis of disease.

関連項目

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