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「バイコンタ」の版間の差分

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{{生物分類表
| 名称 = バイコンタ
| 画像 = [[File:Aulacanthas_01.jpg|240px]]
| 画像キャプション = 放散虫の一種
| 色 = khaki
| ドメイン = [[真核生物]] [[:w:Eulkaryote|Eukaryota]]
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[[Image:Cladogram chloroplast supergroups.svg|thumb|right|250px|バイコンタ・ユニコンタの[[系統樹]]]]
[[Image:Cladogram chloroplast supergroups.svg|thumb|right|250px|バイコンタ・ユニコンタの[[系統樹]]]]


'''バイコンタ'''(Bikonta; [[ギリシャ語]] ''bi-'' '2' + ''kontos'' '鞭毛'、[[英語]]: Bikont, Bikonta)は、遊走細胞が2本[[鞭毛]]を持つことで特徴付けられる[[真核生物]]の大分類群である。全ての[[陸上植物]]および[[藻類]]と、多くの[[原生生物]]が含まれる。鞭毛の本数以外にも、[[ジヒドロ葉酸レダクターゼ]](dihydrofolate reductase; DHFR)と[[チミジル酸シンターゼ]](thymidylate synthase; TS)の[[遺伝子]]が融合している(DHFR-TS融合型)という共通の特徴を持つ
'''バイコンタ'''(Bikonta: [[ギリシャ語]] ''bi-'' '2' + ''kontos'' '鞭毛'、[[英語]]: Bikont, Bikonta)は、遊走細胞が2本[[鞭毛]]を持つことで特徴付けられる[[真核生物]]の大分類群である<ref name="pmid16829542">{{cite journal |author=Burki F, Pawlowski J |title=Monophyly of Rhizaria and multigene phylogeny of unicellular bikonts |journal=Mol. Biol. Evol. |volume=23 |issue=10 |pages=1922–30 |year=2006 |month=October |pmid=16829542 |doi=10.1093/molbev/msl055 |url=http://mbe.oxfordjournals.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=16829542}}</ref>
全ての[[陸上植物]]および[[藻類]]と、多くの[[原生生物]]が含まれる。鞭毛の本数以外にも、[[ジヒドロ葉酸レダクターゼ]](dihydrofolate reductase; DHFR)と[[チミジル酸シンターゼ]](thymidylate synthase; TS)の[[遺伝子]]が融合している(DHFR-TS融合型)という共通の特徴を持つ<ref>{{cite journal | author=[[トーマス・キャバリエ=スミス|Thomas Cavalier-Smith]] | title=Protist phylogeny and the high-level classification of Protozoa | journal=European Journal of Protistology | year=2006 | volume=39 | issue=4 |pages=338–348 | doi=10.1078/0932-4739-00002}}</ref>。


これに対して、遊走細胞が1本鞭毛しか持たない生物群は[[ユニコンタ]](''uni-'' '1')と呼ばれ、[[アメーボゾア]]と[[オピストコンタ]](後方鞭毛生物)が含まれる。例えば[[精子]]が1本鞭毛である[[ヒト]]はユニコンタである。また、バイコンタとアメーボゾアを併せてアンテロコンタ(Anterokonta; ''antero-'' '前方', 前方鞭毛生物)とし、オピストコンタと対比させる場合もある。ただし、バイコンタ、ユニコンタとも、退化により鞭毛を持たないものなど例外も多い。
これに対して、遊走細胞が1本鞭毛しか持たない生物群は[[ユニコンタ]](''uni-'' '1')と呼ばれ、[[アメーボゾア]]と[[オピストコンタ]](後方鞭毛生物)が含まれる。例えば[[精子]]が1本鞭毛である[[ヒト]]はユニコンタである。また、バイコンタとアメーボゾアを併せてアンテロコンタ(Anterokonta; ''antero-'' '前方', 前方鞭毛生物)とし、オピストコンタと対比させる場合もある。ただし、バイコンタ、ユニコンタとも、退化により鞭毛を持たないものなど例外も多い。


バイコンタの下位分類には[[アーケプラスチダ]]([[緑色植物]]・[[紅色植物]]・[[灰色植物]])、[[ストラメノパイル]]、[[アルベオラータ]]、[[ハプト植物]]、[[クリプト植物]]、[[リザリア]]([[ケルコゾア]]・[[有孔虫]]・[[放散虫]])、[[エクスカバータ]]などがある。オピストコンタの下位分類には[[後生動物]]、[[真菌]]などが含まれる。
バイコンタの下位分類には[[アーケプラスチダ]]([[緑色植物]]・[[紅色植物]]・[[灰色植物]])、[[ストラメノパイル]]、[[アルベオラータ]]、[[ハプト植物]]、[[クリプト植物]]、[[リザリア]]([[ケルコゾア]]・[[有孔虫]]・[[放散虫]])、[[エクスカバータ]]などがある<ref>{{cite journal|author=Burki F, Shalchian-Tabrizi K, Minge M, Skjæveland Å, Nikolaev SI, et al.|year=2007|title=Phylogenomics Reshuffles the Eukaryotic Supergroups|journal=PLoS ONE |volume=2|issue=8: e790|doi=10.1371/journal.pone.0000790|pages=e790|pmid=17726520|pmc=1949142}}</ref>
オピストコンタの下位分類には[[後生動物]]、[[真菌]]などが含まれる。


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バイコンタ説以前には、クラウン生物群説などがあった。真核生物の進化史上で、爆発的多様化があったとして、そこで生まれた一群をクラウン生物群としてまとめたわけである。しかし、系統解析が進むにつれ、クラウン以外の生物は次々とクラウン内の生物であることが判明していき、ついには、クラウン以外の真核生物はいなくなってしまった。<br>
バイコンタ説以前には、クラウン生物群説などがあった。真核生物の進化史上で、爆発的多様化があったとして、そこで生まれた一群をクラウン生物群としてまとめたわけである。しかし、系統解析が進むにつれ、クラウン以外の生物は次々とクラウン内の生物であることが判明していき、ついには、クラウン以外の真核生物はいなくなってしまった。<br>
つまり、爆発的多様化は真核生物が発生したとほとんど同時に起こったのであって、真核生物の分類の難しさをも物語っているとも言える。-->
つまり、爆発的多様化は真核生物が発生したとほとんど同時に起こったのであって、真核生物の分類の難しさをも物語っているとも言える。-->

== 脚注及び参考文献 ==
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* {{cite journal |author=Stechmann A, Cavalier-Smith T |title=The root of the eukaryote tree pinpointed |journal=Curr. Biol. |volume=13 |issue=17 |pages=R665–6 |year=2003 |month=September |pmid=12956967 |doi= 10.1016/S0960-9822(03)00602-X|url=http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S096098220300602X}}
* [http://tolweb.org/Eukaryotes/3 Tree of Life Eukaryotes]
* {{cite journal | author = Cavalier-Smith Thomas | year = 2004 | title = Only six kingdoms of life | journal = Proc. R. Soc. Lond. B | volume = 271 | pages = 1251–1262 | doi = 10.1098/rspb.2004.2705 | url = http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1691724/pdf/15306349.pdf }}


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2011年4月3日 (日) 03:35時点における版

バイコンタ
放散虫の一種
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
階級なし : バイコンタ Bikonta
下位分類
バイコンタ・ユニコンタの系統樹

バイコンタ(Bikonta: ギリシャ語 bi- '2' + kontos '鞭毛'、英語: Bikont, Bikonta)は、遊走細胞が2本鞭毛を持つことで特徴付けられる真核生物の大分類群である[1]。 全ての陸上植物および藻類と、多くの原生生物が含まれる。鞭毛の本数以外にも、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase; DHFR)とチミジル酸シンターゼ(thymidylate synthase; TS)の遺伝子が融合している(DHFR-TS融合型)という共通の特徴を持つ[2]

これに対して、遊走細胞が1本鞭毛しか持たない生物群はユニコンタuni- '1')と呼ばれ、アメーボゾアオピストコンタ(後方鞭毛生物)が含まれる。例えば精子が1本鞭毛であるヒトはユニコンタである。また、バイコンタとアメーボゾアを併せてアンテロコンタ(Anterokonta; antero- '前方', 前方鞭毛生物)とし、オピストコンタと対比させる場合もある。ただし、バイコンタ、ユニコンタとも、退化により鞭毛を持たないものなど例外も多い。

バイコンタの下位分類にはアーケプラスチダ緑色植物紅色植物灰色植物)、ストラメノパイルアルベオラータハプト植物クリプト植物リザリアケルコゾア有孔虫放散虫)、エクスカバータなどがある[3]。 オピストコンタの下位分類には後生動物真菌などが含まれる。


脚注及び参考文献

  1. ^ Burki F, Pawlowski J (October 2006). “Monophyly of Rhizaria and multigene phylogeny of unicellular bikonts”. Mol. Biol. Evol. 23 (10): 1922–30. doi:10.1093/molbev/msl055. PMID 16829542. http://mbe.oxfordjournals.org/cgi/pmidlookup?view=long&pmid=16829542. 
  2. ^ Thomas Cavalier-Smith (2006). “Protist phylogeny and the high-level classification of Protozoa”. European Journal of Protistology 39 (4): 338–348. doi:10.1078/0932-4739-00002. 
  3. ^ Burki F, Shalchian-Tabrizi K, Minge M, Skjæveland Å, Nikolaev SI, et al. (2007). “Phylogenomics Reshuffles the Eukaryotic Supergroups”. PLoS ONE 2 (8: e790): e790. doi:10.1371/journal.pone.0000790. PMC 1949142. PMID 17726520. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1949142/.