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==GTP の利用形態==
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生合成反応では [[RNA]] 合成やその他ヌクレオチドの合成に用いられる。そのほかに[[多糖]]の生合成では中間産物である「GDP糖」(GDP-グルコース、GDP-マンノースなど)の合成に用いられる。また動物の[[クエン酸回路]]ではスクシニル CoA 合成のエネルギー源、オキサロ酢酸からホスホエノールピルビン酸の合成でのリン酸供与体として機能する。
生合成反応では [[リボ核酸|RNA]] 合成やその他ヌクレオチドの合成に用いられる。そのほかに[[多糖]]の生合成では中間産物である「GDP糖」(GDP-グルコース、GDP-マンノースなど)の合成に用いられる。また動物の[[クエン酸回路]]ではスクシニル CoA 合成のエネルギー源、オキサロ酢酸からホスホエノールピルビン酸の合成でのリン酸供与体として機能する。


GTP 結合蛋白質としては次のようなものが知られる。これらは各機能の1サイクルごとに GTP 1分子と結合し、GDP に加水分解したのち解離する。
GTP 結合蛋白質としては次のようなものが知られる。これらは各機能の1サイクルごとに GTP 1分子と結合し、GDP に加水分解したのち解離する。

2006年10月14日 (土) 12:31時点における版

GTPの構造式

グアノシン三リン酸(グアノシンさんリンさん、guanosine triphosphate)は生物体内に存在するヌクレオチドである。正式名はグアノシン-5'-三リン酸、普通は略称 GTP で呼ばれる。分子量 523.18。

グアノシン二リン酸 (GDP) からアデノシン三リン酸 (ATP) のリン酸を受容して生合成される。類似した構造を持つ ATP が生物体内で高エネルギーリン酸結合のエネルギーを利用して、様々な生合成や輸送、運動などの反応に用いられるのに対し、GTP は主として細胞内シグナル伝達蛋白質の機能の調節に用いられる。

GTP の利用形態

生合成反応では RNA 合成やその他ヌクレオチドの合成に用いられる。そのほかに多糖の生合成では中間産物である「GDP糖」(GDP-グルコース、GDP-マンノースなど)の合成に用いられる。また動物のクエン酸回路ではスクシニル CoA 合成のエネルギー源、オキサロ酢酸からホスホエノールピルビン酸の合成でのリン酸供与体として機能する。

GTP 結合蛋白質としては次のようなものが知られる。これらは各機能の1サイクルごとに GTP 1分子と結合し、GDP に加水分解したのち解離する。

  • 蛋白質翻訳で働くいくつかの因子: 翻訳開始因子、翻訳伸長因子(アミノアシル tRNA のリボソームへの結合、ペプチジル tRNA の転座)、翻訳終結因子(真核生物)。
  • チューブリン: GTP 結合型が重合して微小管を形成する。GDP に加水分解すると脱重合する。
  • 7TM受容体からのシグナル伝達に関わるG蛋白質: GTP を結合した状態が活性型で下流にシグナルを伝達する。
  • 低分子 GTP 結合蛋白質: Rasがん遺伝子)蛋白質など、シグナル伝達や細胞機能の調節に働く。G蛋白質と同様に GTP を結合した状態が活性型として働く。
  • グアニル酸シクラーゼ: これもシグナル伝達に関与する蛋白質である。GTP からサイクリックGMP (cGMP) を合成し、cGMP はセカンドメッセンジャーの一種として機能する。グアニル酸シクラーゼには心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体(膜結合型)や、一酸化窒素によって活性化されるもの(可溶型)が知られている。シルデナフィル(商品名バイアグラ)や発毛剤ミノキシジル(商品名リアップ)は cGMP の分解を抑制する作用がある。