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2019年5月15日 (水) 16:56時点における版

バンシー

バンシーbansheebean sidhe)は、アイルランドおよびスコットランドに伝わる女の妖精であり、家人の死を予告すると言われている。

バンシーの泣き声が聞こえた家では近いうちに死者が出るとされるが、全ての死が近い人間の家にでも現れるというわけではなく、純粋なケルトゲール系の家族のもとにしか来ないともいわれる。複数のバンシーが泣いた場合は、死者は勇敢な人物か聖なる人物であった証とされる。 アイルランドやスコットランドの旧家には、その家固有のバンシーがいて、たとえ故郷を遠く離れて暮らしている者にも、故郷にいる家族の死を伝える。

アイルランド地方に伝わる一説では、バンシーは長い黒髪で緑色の服に灰色のマントを着た女性の姿をしているとされるが、泣き声が聞こえる時は、その姿は見えないという。 その泣き声は、ありとあらゆる叫び声(人間以外も含める)を合わせたような凄まじいもので、どんなに熟睡している者でも飛び起きるほどである。 また、バンシーの目はこれから死ぬ者のために泣くので燃えるような赤色をしているという。

妖精が自身と交わった相手に加護を与える例として、バンシーの乳房を吸った人間は望みを叶えられると語られている。

バンシーとは、ケルト語の「フェアリーの女('ban'は女、'shee'は妖精)」という意味の言葉からきており、ベン・シーベン・ニーア等々の別名がある。 ゲール語(古代アイルランド語)では「嘆きの妖精('ban'は泣く、'shee'は妖精もしくは女性)」以外にも「泣き女」という直訳もなされる

伝承の分布・類似例

バンシーの民話はアイルランドからスコットランドにかけて伝承されており、その姿形や振る舞いなどは多様性に富んでいる。また、移民などによって一部はアメリカにも伝わったようである(詳細については参考文献を参照)。

アイルランドとスコットランド高原地方では「浅瀬の濯ぎ女」という名でも知られている。 彼女は出産のために早く死んだ女の霊であるとされ、血に染まった男の経帷子を洗うことによってその男の死を予告するという(伝承ではケルト神話の英雄ク・ホリンの死を予言したともいわれている)。 第2次世界大戦中のドイツ空軍のロンドン空襲に際しての空襲警報のサイレンを「バンシーの叫び」と呼んだ[1]

影響を与えた作品

ナルニア国物語の白い魔女のモデルであると言われている。また、ハリー・ポッターとアズカバンの囚人ではまね妖怪ボガートが変身する生徒の恐怖の対象として登場した(原作のみ)。山岸凉子漫画『バンシー』では、不遇な女性の生霊として描かれた。

一部のファンタジーゲームではアンデッドとして扱われている。

参考文献

  • ローズマリ・エレン・グィリー『妖怪と精霊の辞典』、青土社、1995年8月。
  • Évelyne Sorlin, Cris de vie, cris de mort : les fées du destin dans les pays celtiques., Helsinki : Suomalainen Tiedeakatemia, 1991。

脚注

  1. ^ ウインストン・チャーチル『第二次大戦回顧録』第7巻 昭和25年 毎日新聞社 p.61