「比表面積」の版間の差分

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'''比表面積'''(ひひょうめんせき、specific surface)は、ある物体について単位質量あたりの表面積を求めの。
'''比表面積'''ひひょうめんせき、specific surface)とは、ある物体について単位[[質量]]あたりの[[表面積]]まは単位[[体積]]あたり表面積のことである。[[界面]]に関する学問、[[界面化学]]や[[コロイド化学]]、あるいは[[触媒化学]]などで主に使われる指標である

場合によっては単位体積あたりの表面積を求めたものをさすこともある。

ある物体について、分母に質量、分子に表面積をとると求まる。[[界面]]に関する学問、[[界面化学]]や[[コロイド化学]]、あるいは[[触媒化学]]などで主に使われる指標である。


[[触媒]]などの、表面の活性が重要となるものにおいては表面の多さがその活性と直結する。そして[[質量]]や[[体積]]はその物体を購入するコスト、あるいはその物体が占める空間に関連している。このため比表面積は大きいほうが触媒としての機能がよい。しかし、比表面積が大きいことはその物体が系内で不安定であることも意味し、どういった状態を意図するかによってこの指標に対する評価は変わる。
[[触媒]]などの、表面の活性が重要となるものにおいては表面の多さがその活性と直結する。そして[[質量]]や[[体積]]はその物体を購入するコスト、あるいはその物体が占める空間に関連している。このため比表面積は大きいほうが触媒としての機能がよい。しかし、比表面積が大きいことはその物体が系内で不安定であることも意味し、どういった状態を意図するかによってこの指標に対する評価は変わる。


== 概要 ==
== 概要 ==
ある物体の体積を<math>V</math>、密度を<math>\rho</math>、表面積を<math>S</math>とすると、質量あたりの比表面積<math>S_m</math>は、
ある物体の体積を''V'' [[密度]]&rho;、表面積を''S'' とすると、単位質量あたりの比表面積''S''{{sub|m}}は、
:<math>S_\mathrm{m} = \frac{S}{\rho V}</math>
であらわされる。単位体積あたりの表面積''S''{{sub|v}} は、
:<math>S_\mathrm{v} = \frac{S}{V}</math>
となる。式から明らかなとおり、[[無次元数]]ではなく、''S''{{sub|m}} は[面積/質量]の、''S''{{sub|v}} は[長さ{{sup|-1}}]の[[次元#物理量の次元|次元]]を持つ。学問分野や業種によって比表面積という言葉がどちらの単位をさすのかが異なり、注意が必要である。


傾向として、同じ形状の物体であれば、代表長さに[[反比例]]し、サイズが小さいほど比表面積は増す。
<math>
S_m = \frac{S}{\rho V}
</math>

であらわされる。単位体積あたりの表面積をさす場合は、

<math>
S_v = \frac{S}{V}
</math>

となる。式から明らかなとおり、無次元数ではない。
学問分野や業種によって比表面積という言葉がどちらの単位をさすのかが異なり、注意が必要である。

傾向として、同じ形状の物体であれば、サイズが小さいほど比表面積は増す。


== 例 : 球体の比表面積 ==
== 例 : 球体の比表面積 ==
球体の体積は、直径を<math>D</math>として、
球体の体積''V'' は、直径を''D'' として、
:<math>V = \frac{4}{3} \pi \left(\frac{D}{2}\right)^3</math>

であり表面積''S'' は、
<math>
V = \frac{4}{3} \pi (D/2)^3
:<math>S = 4 \pi \left(\frac{D}{2}\right)^2</math>
であるから、球体の比表面積は
</math>
:<math>S_\mathrm{m}= \frac{6}{\rho D}</math>

:<math>S_\mathrm{v}= \frac{6}{D}</math>
であり表面積は、
となる。球体については比表面積は径に反比例する。

<math>
S = 4 \pi (D/2)^2
</math>

であるから、これらを定義式に代入して、球体の比表面積は

<math>
S_v = \frac{6}{D \rho}
</math>

となる。球体については比表面積は径に反比例する。

この他にも、相似な物体については代表長さに反比例する。


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==

2012年9月16日 (日) 12:14時点における版

比表面積(ひひょうめんせき、specific surface)とは、ある物体について単位質量あたりの表面積または単位体積あたりの表面積のことである。界面に関する学問、界面化学コロイド化学、あるいは触媒化学などで主に使われる指標である。

触媒などの、表面の活性が重要となるものにおいては表面の多さがその活性と直結する。そして質量体積はその物体を購入するコスト、あるいはその物体が占める空間に関連している。このため比表面積は大きいほうが触媒としての機能がよい。しかし、比表面積が大きいことはその物体が系内で不安定であることも意味し、どういった状態を意図するかによってこの指標に対する評価は変わる。

概要

ある物体の体積をV密度をρ、表面積をS とすると、単位質量あたりの比表面積Smは、

であらわされる。単位体積あたりの比表面積Sv は、

となる。式から明らかなとおり、無次元数ではなく、Sm は[面積/質量]の、Sv は[長さ-1]の次元を持つ。学問分野や業種によって比表面積という言葉がどちらの単位をさすのかが異なり、注意が必要である。

傾向として、同じ形状の物体であれば、代表長さに反比例し、サイズが小さいほど比表面積は増す。

例 : 球体の比表面積

球体の体積V は、直径をD として、

であり表面積S は、

であるから、球体の比表面積は

となる。球体については比表面積は直径に反比例する。

関連項目