「ネーターの定理」の版間の差分

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2011年5月1日 (日) 12:59時点における版

ネーターの定理(Noether's theorem)は、解析力学における重要な定理で、系に連続的な対称性があればそれに対応する保存則が存在することを主張するものである。 ドイツの女性数学者エミー・ネーターによって発見された。

内容

系が或る変換に対して記述に変化を受けない場合、この変換をその系の対称性と呼ぶ。特に解析力学においては、変換に対して系の作用積分が変化しない時に、この変換を対称性と呼ぶ。これは、系の運動方程式は最小作用の原理を通じて定まる為、作用の変分がゼロであれば系の運動方程式は変化しない為である。ネーターの定理は、ラグランジアンの変数に対する連続的な変換が系の対称性になっている場合に、対称性の下での作用の変分 (ゼロに等しい) が或る保存量の時間についての全微分になっている事を言っている。

作用積分

が微小変換

に対して対称性を持つとする。 ここで、この変換は幾つかのパラメータの線型結合で書けるとする。

このとき、

は保存する。

場の理論におけるネーターの定理

場の解析力学・場の量子論では対称性は基本的な概念であり、ネーターの定理がしばしば用いられる。ネーターの定理によって導かれる保存則に登場する ネーターカレント (または 保存カレント)や、ネーターチャージ(または 保存「電荷」 )は特に重要な概念になっている。

力学変数として場 φ(x) を考え、作用積分

とする。

作用が微小変換

に対して対称性を持つとする。このとき、ネーターカレント

が保存する。

現代的な見方では、場の変分は同一座標値での差を取る。(リー微分)

このとき、ネーターカレントは

となる。

ネーターカレントの時間成分を積分した

ネーターチャージと呼ばれ、これは変換の生成子 (無限小生成作用素)となる。

電磁気学における例

たとえば、電磁気学においては作用がゲージ変換のもとで不変であり、これに伴い電荷の保存則 (連続の式) が導かれる。

ここで、Jはネーターカレントで、その第0成分は電荷密度である。

導出

力学変数 がラグランジュ方程式

を満たしているとする。

変換

を考える。 は変換のパラメータで、に於いて

である。 このとき、系が対称性を持つとは、作用積分

の関数としてみたとき、

となることである。

においてこの微分を計算すると、

運動方程式を用いれば、

また、

から、

従って、

が保存する。

関連項目