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2010年10月2日 (土) 10:50時点における版

マルシリオ・フィチーノ

マルシリオ・フィチーノMarsilio Ficino 1433年10月19日 - 1499年10月1日)はイタリアルネサンス期の人文主義者哲学者神学者。メディチ家の保護を受け、プラトンの著作を翻訳した。

生涯

メディチ家の侍医の子として生まれ、コジモ・デ・メディチ(1389年 - 1464年)に才能を見出されて、ギリシャ語・ラテン語を学ぶ。コジモが創立した私的なサークル、プラトン・アカデミーの中心人物になり、同サークルの活動によりポリツィアーノピコ・デラ・ミランドラらに直接的に影響を与えた。

中世ヨーロッパではスコラ学を介してアリストテレスは知られていたものの、プラトンについては(『ティマイオス』を例外として)ほとんど知られていなかった。フィレンツェ公会議などを契機に東ローマ帝国の学者からプラトンのギリシャ文献が伝わり、フィチーノはプラトン全集をラテン語に翻訳して出版した。フィチーノの訳業はルネサンス期の新プラトン主義(ネオプラトニズム)隆盛の元になった。

主な著作として『プラトン神学』 (Theologia Platonica, 1474) 、『愛について』 (De Amore, 1475)などがある。『愛について』は、プラトン『饗宴』の注釈書の形をとっており、そこで使われたアモル・プラトニクスという言葉がプラトニック・ラブ(精神的な愛)の元になったという。ただし、現在でのプラトニック・ラブの概念とはかけ離れたものであった。

フィチーノの人間観は次のようなものである。人間の魂は肉体に捕らえられている。人間の肉体と魂の一部(五感など)は動物と共通であるが、理性と知性を持つ点で動物と異なる。理性は五感から受け取った物事を分析、判断し、また想像力を働かせる能力である。また、知性は直接真理、イデアに到達し神の領域に近づく能力である。この意味で、人間は動物と神の中間にあり、様々な葛藤にさいなまれる不安定な存在であるが、理性によって現世で正しいことを行うとともに、知性によって真理と一体化することができる。

彼はまた神話を天上の力の表現として貴び、その占星術的寓意的解釈に努めた。たとえば、ウェヌスを人間性そのもの、ヘルメスを最初(もしくはゾロアスターに次ぐ第二)の哲学者にして神学者、サトゥルヌスを人を知的探求に没頭させる存在として彼の宇宙論の主要な霊魂に位置づけた。

ヘルメス文書錬金術の書)の翻訳や実践的な占星術の研究も行っており、『三重の生について』 (De Vita Triplici, 1489)では惑星の力によって健康を得るすべなどを示した。

厳格なキリスト教の立場からは異端ともみなされかねない思想であったが、フィチーノ自身は神話や魔術、プラトン哲学はキリスト教と一致するものと考えており、1473年には司祭叙階された。また、1498年サヴォナローラ反キリストとしてローマ教皇庁に告発している。

1499年、フィレンツェ近郊のカレッジで死去。彼の功績はサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂に飾られた胸像とともに讃えられている。

近年はルネサンスの魔術思想、神秘思想の面でも注目されている。

関連項目

参考文献

  • 『フィチーノ「ピレボス」注解 人間の最高善について』
     左近司祥子・木村茂訳、アウロラ叢書:国文社、1995年
  • 『恋の形而上学 フィレンツェの人マルシーリオ・フィチーノによるプラトーン饗宴」注釈』
     左近司祥子訳、アウロラ叢書:国文社 1985年
  • アンドレ・シャステル 『ルネサンス精神の深層 フィチーノと芸術』
桂芳樹訳、平凡社、1989年/ちくま学芸文庫、2002年
  • D.P.ウォーカー 『ルネサンスの魔術思想 フィチーノからカンパネッラへ』 
田口清一訳、平凡社 1991年/ちくま学芸文庫 2004年
桂芳樹訳、工作舎  1991年
根占献一ほか、三元社、1995年-「第1部 マルシリオ・フィチーノ」

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