「弧 (幾何学)」の版間の差分

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[[File:Circle arc.svg|thumb|において、緑色で示した[[扇形]]の ''L'' なる弧長を有する曲線部分が'''円弧'''に相当する。]]
[[File:Path.svg|thumb|平面におる弧の一例]]
[[File:中心角と円周角.png|thumb|円周の一部分を円弧または単に弧という]]
[[幾何学]]において'''弧'''(こ、arc)とは、[[2次元]][[平面]]上における[[微分]]可能な[[曲線]]の閉じた部分片をいう。充てられている[[漢字]]である「弧」のもともとの意味は、“[[弓 (武器)|弓]]状に曲がった形”というものである。
[[幾何学]]における'''弧'''(こ、arc)とは、おおまかには、[[曲線]]のつながった一部分のことであるが、より抽象的な概念に一般化される。初等幾何学においては[[円 (数学)|円周]]の弧を指すことが多く、そのことを明確にしたい場合には'''円弧'''と呼ぶ。


元々、日本語としての「弧」は、木の[[弓 (武器)|弓]]またはその形状を意味する。
えば、'''円弧'''は[[円周]]の一部分を指す。仮に弧が[[地球]]の[[大円|大圏]](あるいは{{仮リンク|大楕円|en|Great ellipse}})の一部を占めるときそれは[[大圏コース]]として考慮される。

== 定義 ==
位相空間論における'''弧'''とは、閉区間 [''a'', ''b''] から[[位相空間]] ''X'' への[[位相空間#連続写像|連続写像]] &gamma;、もしくはその[[写像|像]]のことである<ref>松坂 p. 202</ref>。[[弧状連結]]の概念を定義する際に現れ、その文脈では'''道'''(みち、path)と呼ばれることも多い。

定義において、閉区間を単位区間 [0, 1] に限る場合もあるが、どちらの定義も同等であることが直ちに従う。''X'' として2次元[[ユークリッド空間]] '''R'''<sup>3</sup> を取れば、その場合の弧とは、空間曲線の[[連結空間|連結]]な一部分であり、日常的な語の意味に近くなる。さらに、&gamma; として[[全単射]]であることを要請することが多く、その場合の弧は、「自己交叉を持たず、閉でもなく、始点と終点を持つ曲線」である。

現実世界における具体として、[[地球]]の[[大圏]](あるいは{{仮リンク|大楕円|en|Great ellipse}})の一部、[[大圏コース]]と呼ばれる。

== 円弧 ==
上記の定義の特別な場合として円弧を得るには、全単射連続写像 &gamma; : [0, 1] &rarr; '''R'''<sup>2</sup> として
{{Indent|<math>\gamma(t)=(r\cos (\alpha (1-t)+\beta t),\,r\sin (\alpha (1-t)+\beta t))\,</math>}}
を考えればよい。ここに、''r'' (''r'' &gt; 0) は円の半径、&alpha;, &beta; (&alpha; &lt; &beta;) は始点および終点の偏角であって、中心角は &beta; &minus; &alpha; となる。

[[File:Circle arc.svg|thumb|円弧の長さ ''L'' は半径と中心角より求まる]]
半径 ''r''、中心角 &theta; の円弧の長さ ''L'' は
{{Indent|<math>L=r\theta\,</math>}}
で与えられる。ただし、角の大きさは[[ラジアン|弧度法]]で与えているものとしている。[[角度#度数法|度数法]]によって、&alpha; 度と与えられているならば、&theta; と &alpha; は
{{Indent|<math>\theta=\frac{\alpha}{180}\pi</math>}}
の関係にあるため、
{{Indent|<math>L=\frac{\pi r\alpha}{180}</math>}}
となる。

== 脚注 ==
<references />

== 参考文献 ==
* 松坂和夫『集合・位相入門』[[岩波書店]]、1989年 ISBN 978-4000054249


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[扇形]]
* {{仮リンク|弧長|en|Arc length}}
* [[線分]]
* [[弦 (数学)]]
* [[弦 (数学)]]
* [[⌒]] - 弧を表す記号
* [[弧状連結]]
* {{仮リンク|弧長|en|Arc length}}
* [[子午線弧]]
* [[子午線弧]]
* [[シュトルーヴェの測地弧]]
* [[シュトルーヴェの測地弧]]

* [[電弧]]
== 外部リンク ==
* {{MathWorld|urlname=Arc|title=Arc|author=Margherita Barile and Eric W. Weisstein}}


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[[Category:位相空間論]]
[[Category:初等幾何学]]
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[[Category:曲線]]
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2010年9月20日 (月) 02:10時点における版

平面における弧の一例
円周の一部分を円弧または単に弧という

幾何学における(こ、arc)とは、おおまかには、曲線のつながった一部分のことであるが、より抽象的な概念に一般化される。初等幾何学においては円周の弧を指すことが多く、そのことを明確にしたい場合には円弧と呼ぶ。

元々、日本語としての「弧」は、木のまたはその形状を意味する。

定義

位相空間論におけるとは、閉区間 [a, b] から位相空間 X への連続写像 γ、もしくはそののことである[1]弧状連結の概念を定義する際に現れ、その文脈では(みち、path)と呼ばれることも多い。

定義において、閉区間を単位区間 [0, 1] に限る場合もあるが、どちらの定義も同等であることが直ちに従う。X として2次元ユークリッド空間 R3 を取れば、その場合の弧とは、空間曲線の連結な一部分であり、日常的な語の意味に近くなる。さらに、γ として全単射であることを要請することが多く、その場合の弧は、「自己交叉を持たず、閉でもなく、始点と終点を持つ曲線」である。

現実世界における具体例として、地球大圏(あるいは大楕円英語版)の一部は、大圏コースと呼ばれる。

円弧

上記の定義の特別な場合として円弧を得るには、全単射連続写像 γ : [0, 1] → R2 として

を考えればよい。ここに、r (r > 0) は円の半径、α, β (α < β) は始点および終点の偏角であって、中心角は β − α となる。

円弧の長さ L は半径と中心角より求まる

半径 r、中心角 θ の円弧の長さ L

で与えられる。ただし、角の大きさは弧度法で与えているものとしている。度数法によって、α 度と与えられているならば、θ と α は

の関係にあるため、

となる。

脚注

  1. ^ 松坂 p. 202

参考文献

関連項目

外部リンク

  • Margherita Barile and Eric W. Weisstein. "Arc". mathworld.wolfram.com (英語).