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'''塩化チオニル''' (Thionyl chloride)とは、亜硫酸の酸塩化物に相当する[[無機化合物]]で、化学式SOCl<sub>2</sub>、分子量118.97、融点-104.5℃、沸点76℃、比重1.65の黄色透明の液体であり、発煙性や刺激臭を有する。[[CAS登録番号]]は7719-09-7。塩化スルフィニル(Sulfinyl chloride)とも呼ばれる。 |
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塩化チオニルは、[[ベンゼン]]、[[クロロホルム]]、[[四塩化炭素]]には溶ける。[[水]]に対しては激しく発熱反応し、[[二酸化硫黄]]SO<sub>2</sub>と[[塩化水素]]HClとになる。また無水の金属ハロゲン化物を作る際の脱水剤や[[カルボン酸]]および[[アルコール]]の塩素化によく用いられる。 |
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特に他のハロゲン化剤と異なり、反応後の生成物がHClやSO<sub>2</sub>などガスであることと、塩化チオニル自身が低沸点であることから反応系外に除去することが容易である。それゆえ実験室における[[ヒドロキシル基]]の[[塩素化]]に好んで用いられる。 |
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塩化チオニルは[[カルボン酸]]および[[アルコール]]の塩素化によく用いられる。 |
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また、'''塩化チオニル'''による[[アルコール]]の塩素化は、他の塩素化剤とは異なり[[SN2]]反応機構で進行しないことが知られており、[[ワルデン反転]]せずに立体保持で反応が進行する。その際の反応機構として四員環遷移状態が提唱されている。 |
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塩化チオニルは[[二酸化硫黄]]SO<sub>2</sub>と[[五塩化リン]]PCl<sub>5</sub>と反応させ、副生する[[塩化ホスホリル]]POCl<sub>3</sub>と分留すると得られる。 |
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2005年5月13日 (金) 16:59時点における版
塩化チオニル (Thionyl chloride)とは、亜硫酸の酸塩化物に相当する無機化合物で、化学式SOCl2、分子量118.97、融点-104.5℃、沸点76℃、比重1.65の黄色透明の液体であり、発煙性や刺激臭を有する。CAS登録番号は7719-09-7。塩化スルフィニル(Sulfinyl chloride)とも呼ばれる。
性質
塩化チオニルは、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素には溶ける。水に対しては激しく発熱反応し、二酸化硫黄SO2と塩化水素HClとになる。また無水の金属ハロゲン化物を作る際の脱水剤やカルボン酸およびアルコールの塩素化によく用いられる。
特に他のハロゲン化剤と異なり、反応後の生成物がHClやSO2などガスであることと、塩化チオニル自身が低沸点であることから反応系外に除去することが容易である。それゆえ実験室におけるヒドロキシル基の塩素化に好んで用いられる。
また、塩化チオニルによるアルコールの塩素化は、他の塩素化剤とは異なりSN2反応機構で進行しないことが知られており、ワルデン反転せずに立体保持で反応が進行する。その際の反応機構として四員環遷移状態が提唱されている。
製法
塩化チオニルは二酸化硫黄SO2と五塩化リンPCl5と反応させ、副生する塩化ホスホリルPOCl3と分留すると得られる。
工業的には二塩化硫黄(Sulfer dichloride) SCl2を三酸化硫黄 SO3で酸化して製造される。