「不飽和結合」の版間の差分

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'''不飽和結合'''(ふほうわけつごう、unsaturated bonds)とは、隣接する原子間で2価以上で結合している化学結合であり、1つの[[σ結合]]と1つないしは2つの[[π結合]]から形成されている。不飽和結合を持つ化合物を'''不飽和(化合物)'''と呼ぶ、ただし、[[錯体]]においては18電子則を満たさないものを不飽和(化合物)であると言う。
'''不飽和結合'''(ふほうわけつごう、unsaturated bond)とは、隣接する原子間で2価以上で結合している化学結合であり、ほとんどの場合は1つの[[σ結合]]と1つないしは2つの[[π結合]]から形成されている。不飽和結合を持つ化合物を'''不飽和(化合物)'''と呼ぶ、ただし、[[錯体]]においては18電子則を満たさないものを不飽和(化合物)であると言う。


通常の有機化合物においては、[[二重結合]]あるいは[[三重結合]]を有することであり、炭素原子間に不飽和結合を持つものとしては、[[アルケン]]、[[アルキン]]、[[芳香族化合物]]などがある。また、不飽和結合は炭素原子間である必要はなく、[[ケトン]]、[[アルデヒド]]、[[イミン]]も不飽和化合物である。
通常の有機化合物においては、[[二重結合]]あるいは[[三重結合]]を有することであり、炭素原子間に不飽和結合を持つものとしては、[[アルケン]]、[[アルキン]]、[[芳香族化合物]]などがある。また、不飽和結合は炭素原子間である必要はなく、[[ケトン]]、[[アルデヒド]]、[[イミン]]も不飽和化合物である。

遷移金属化合物の場合、[[Δ結合|δ結合]] の関与により四重結合以上の結合次数を示すものも知られる。


== 種類 ==
== 種類 ==
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***[[アルケン]]([[二重結合]]のみ)- [[エチレン]]、[[プロピレン]]、etc.
***[[アルケン]]([[二重結合]]のみ)- [[エチレン]]、[[プロピレン]]、etc.
***[[アルキン]]([[三重結合]]のみ)
***[[アルキン]]([[三重結合]]のみ)
***'''クムレン''' - '''アレン'''
***'''クムレン''' - [[アレン (化学)|アレン]]
***[[ポリエン]](共役不飽和化合物)
***[[ポリエン]](共役不飽和化合物)
**複素化合物 - [[カルボニル基]]、[[イミノ基]]
**複素化合物 - [[カルボニル基]]、[[イミノ基]]
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== 不飽和化合物 ==
== 不飽和化合物 ==
== クムレン ==
== クムレン ==
'''クムレン'''([[w:en:cumulene|cumulene]])とは二つ以上の連続した二重結合からなる炭素骨格の総称で、一般に&gt;C=(C)<sub>n</sub>=C&lt;の構造式で表される。最も単純なクムレンが'''アレン'''である。
'''クムレン'''([[w:en:cumulene|cumulene]])とは二つ以上の連続した二重結合を持つ化合物の総称でる。最も単純な有機化合物のクムレンは C=C=C 構造を有する[[アレン (化学)|アレン]]である。[[二酸化炭素]]もまた、クムレン構造を有している。


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画像:Chiral sym CCCXYXY.svg|アレン誘導体
画像:Chiral sym CCCXYXY.svg|アレン
画像:Cetene2.png|[[ケテン]]
画像:Carbon-dioxide.png|二酸化炭素
画像:Carbon-suboxide-2D-dimensions.png|[[亜酸化炭素]]
画像:Carbon-disulfide-structure.png|[[二硫化炭素]]
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== アヌレン ==
== アヌレン ==
'''アヌレン'''([[w:en:Annulene|Annulene]])は大環状共役不飽和化合物の総称で、環を構成する炭素数(通常nは3以上)を"<nowiki>[]</nowiki>"を使用して接頭辞で命名する([[IUPAC命名法]])。'''アンヌレン'''は学術用語としては正しくない([[学術用語集]]・化学編)
'''アヌレン'''([[w:en:Annulene|Annulene]])は大環状共役不飽和化合物の総称で、環を構成する炭素数(通常nは3以上)を"<nowiki>[ ]</nowiki>"を使用して接頭辞で命名する([[IUPAC命名法]])。'''アンヌレン'''は学術用語としては正しくない([[学術用語集]]・化学編)


"<nowiki>[4n+2]</nowiki>アヌレン"は芳香族性を示すのに対して、"<nowiki>[4n]</nowiki>アヌレン"は反芳香族性を示す。([[ヒュッケル則]])
"<nowiki>[4n+2]</nowiki>アヌレン"は芳香族性を示すのに対して、"<nowiki>[4n]</nowiki>アヌレン"は反芳香族性を示す。([[ヒュッケル則]])

2007年6月8日 (金) 14:46時点における版

不飽和結合(ふほうわけつごう、unsaturated bond)とは、隣接する原子間で2価以上で結合している化学結合であり、ほとんどの場合は1つのσ結合と1つないしは2つのπ結合から形成されている。不飽和結合を持つ化合物を不飽和(化合物)と呼ぶ、ただし、錯体においては18電子則を満たさないものを不飽和(化合物)であると言う。

通常の有機化合物においては、二重結合あるいは三重結合を有することであり、炭素原子間に不飽和結合を持つものとしては、アルケンアルキン芳香族化合物などがある。また、不飽和結合は炭素原子間である必要はなく、ケトンアルデヒドイミンも不飽和化合物である。

遷移金属化合物の場合、δ結合 の関与により四重結合以上の結合次数を示すものも知られる。

種類

不飽和化合物ないしは不飽和結合を含む化合物群を次に示す。

性質

ある化合物が不飽和結合を持つとき、その不飽和結合が芳香性を持たない場合は、何らかの付加反応を起こしうる。

不飽和化合物

クムレン

クムレンcumulene)とは二つ以上の連続した二重結合を持つ化合物の総称である。最も単純な有機化合物のクムレンは C=C=C 構造を有するアレンである。二酸化炭素もまた、クムレン構造を有している。

アヌレン

アヌレンAnnulene)は大環状共役不飽和化合物の総称で、環を構成する炭素数(通常nは3以上)を"[ ]"を使用して接頭辞で命名する(IUPAC命名法)。アンヌレンは学術用語としては正しくない(学術用語集・化学編)

"[4n+2]アヌレン"は芳香族性を示すのに対して、"[4n]アヌレン"は反芳香族性を示す。(ヒュッケル則

その他

2-プロペニル構造を特徴とする化合物。