左右識別困難
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左右識別困難(さゆうしきべつこんなん、英: left-right confusion)とは、左右の判断や指示が咄嗟には判断できないこと[1]。左右失認(さゆうしつにん)とも呼ばれる。また、俗に左右盲(さゆうもう)とも呼ばれる。病気ではないため、科学的な研究対象とはなりにくく原因も解明されていない[2]。
この左右識別能力は、生得的なものではなく、ヒトの発達過程において比較的後期に生じてくるものである[3]。上下の識別困難を訴える人はほとんどいない[4]。
2020年に行われた大規模調査では、約15%が左右識別困難者であることが示された[5]。また性差があり、女性の方が多いことが複数の研究から報告されている[4]。また、左利き者の方が多いことも報告されており[4]、右利きには女性の方が多いという性差があるが、左利きにはなかった[4]。日本では仁愛大学の杉島一郎らによりADHD傾向と密接な関連があるとの報告もある[1]。
なお、脳の特定の場所に病変が存在することによって起こるゲルストマン症候群の徴候の一つとして左右識別困難が表れることがある[6]。
脚注
[編集]- ^ a b 杉島一郎, 江戸奈津実, 高村咲江「左右識別困難とADHD傾向―注意の抑制機能に関する実験とADHD傾向質問紙調査による検討―」『日本心理学会大会発表論文集』日本心理学会第81回大会セッションID: 1D-048、日本心理学会、2017年9月、516頁、CRID 1390846609818832000、doi:10.4992/pacjpa.81.0_1d-048、ISSN 2433-7609。
- ^ 右と左がわからなくなる「左右盲」…視力テストで不利、医療事故に発展したケースも Discovery Japan
- ^ 杉島一郎, 松田瀬菜「左右識別困難と認知スタイルの関係」『日本認知心理学会発表論文集』2014日本認知心理学会第12回大会ポスター発表3 知覚・感性,感情・動機、日本認知心理学会、2014年、103頁、doi:10.14875/cogpsy.2014.0_103。
- ^ a b c d 金森雅, 山下光「左右識別における言語化の役割 : 反応時間からの検討」『愛媛大学教育学部紀要』第56巻、愛媛大学教育学部、2009年10月、111-116頁、CRID 1050001337753562368、ISSN 1349-7243、NAID 120006524648。
- ^ van der Ham IJ, Dijkerman HC, van Stralen HE (2020). “Distinguishing left from right: A large-scale investigation of left–right confusion in healthy individuals”. Quarterly Journal of Experimental Psychology 74 (3): 497-509. doi:10.1177/1747021820968519.
- ^ 森篤志, 馬場直義, 池田由美, 三田久載「左右識別の病態に関する一考察 : ゲルストマン症候群を呈した症例を介して」『理学療法学Supplement』第2007巻Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)、日本理学療法士協会、2008年、B1143-B1143、CRID 1390282680543885184、doi:10.14900/cjpt.2007.0.b1143.0。