レラ・チセ

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レラ・チセは、日本東京都内にかつて存在したアイヌ料理[1]

概要[編集]

店名はアイヌ語で「風の家」の意味である[2]

首都圏在住のアイヌ団体、レラの会が、自分たちの集まる拠点であり、アイヌ文化を広めるための場所としてレストランの設立を構想し、1993年の「国際先住民年」を契機として、全国からの募金を集める運動を開始、1994年に東京都新宿区の西早稲田で開業する[2]。初代店長はレラの会会長の佐藤タツエ[3]

2000年に東京都中野区新井に自前のビルを建設し、移転する[4]

アイヌ料理の店であるが、伝統的なアイヌ料理だけでなく、北海道の郷土料理や、鹿肉やギョウジャニンニクなど、アイヌの伝統的食材を使った創作料理も出していた。エゾ鹿のステーキや鮭の背わたの塩漬け「メフン」、いも団子「イモシト」がメニューにあった[5]。鹿肉カレーや鮭カレー、熊肉の焼肉を食べられることもあった。アイヌ文化講座やアイヌ語教室の開催など、首都圏のアイヌ文化継承の拠点となった。アイヌや沖縄などのライブも時々行われた。

中野区新井の店は3階建てで、儀式を行うためのいろりが2階にあった[6]。かつては、昼と夜の営業が行われたときもあったが、全体を通して午後6時からの営業となっていた。不況の中で売上が減少し赤字経営が続いた[1][7]

2009年11月7日閉店した[7]

なお、2011年5月22日、『レラ・チセ』に開店当初より携わっていた母子(宇佐タミエ・宇佐照代)により、アイヌ料理店『ハルコロ』が大久保に開業する[1]

関連書籍[編集]

  • レラの会編『レラ・チセへの道―こうして東京にアイヌ料理店ができた』現代企画室、1997年 ISBN 978-4773897043
  • 宇井眞紀子『アイヌときどき日本人』社会評論社、2001年 ISBN 978-4784514168
  • 関口由彦『首都圏に生きるアイヌ―対話の地平から』草風館、2007年 ISBN 978-4883231799

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 新宿「ハルコロ」母の志継ぎ、店きりもり”. 朝日新聞朝刊 - アイヌウタリ連絡会 (2011年10月11日). 2019年11月1日閲覧。
  2. ^ a b レラ・チセへの道” (PDF). 公益財団法人 アイヌ民族文化財団. 2022年5月26日閲覧。
  3. ^ アイヌ集う場所を東京にも…亡き祖母の思い引き継ぐ 新大久保の料理店”. SankeiBiz (2020年8月24日). 2022年5月26日閲覧。
  4. ^ 宇井眞紀子『アイヌときどき日本人』にビル建設・移転の様子が写真つきで紹介されている。
  5. ^ レラの会編『レラ・チセへの道』で当時のメニューが代表的メニューが紹介されている。
  6. ^ アイヌ料理店~レラ・チセ-薬師あいロード商店街振興組合”. 200-2-25時点のオリジナルよりアーカイブ。
  7. ^ a b アイヌ料理「レラ・チセ」閉店へ 文化発信、歴史15年”. 朝日新聞 (2009年11月7日). 2009年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。

外部リンク[編集]