ランデン変換

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ランデン変換 (Landen's transformation) は、数学において楕円積分楕円関数の母数を増減させる恒等式。楕円関数の数値計算に有用である。

楕円積分のランデン変換とガウス変換[編集]

第一種楕円積分

につき、次の恒等式をランデン変換という。

同じく、次の恒等式をガウス変換という。

ランデン変換の導出[編集]

ランデン変換は


の置換により導かれる。

を陽にすると





である。

ガウス変換の導出[編集]

ガウス変換は


の置換により導かれる。

を陽にすると






である。

楕円関数のランデン変換[編集]

次の恒等式を楕円関数の上昇ランデン変換という。



次の恒等式を楕円関数の下降ランデン変換という。



当初の母数がであれば、上昇ランデン変換は母数を増加させ、下降ランデン変換は母数を減少させる。上昇ランデン変換を繰り返すことにより、母数が1に収束し、楕円関数は双曲線関数に近似される。下降ランデン変換を繰り返すことにより、母数が0に収束し、楕円関数は三角関数に近似される。この性質により、ランデン変換は楕円関数の数値計算に有用である。

導出[編集]

楕円積分のランデン変換により

のときに



であるから



である。楕円積分のガウス変換により

のときに



であるから

であるが、に改め、に改めれば



となる。

虚数変換[編集]

上昇ランデン変換と下降ランデン変換は虚数変換により交替する。

上昇ランデン変換により

虚数変換により

と書き、と書けば

となるが、これは下降ランデン変換である。

出典[編集]