パラサング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1814年のペルシア(イラン)および周辺地域の地図。左下、PERSIAの文字の下の縮尺表示が、「British Statute Miles」と「Persian Farsangs or Parasangs」の併記になっている。

パラサング(古ペルシア語: parasang)は、古代のイランで用いられた距離の単位である[1]。パラサングは1時間で歩兵が行軍できる距離のことだと言われている[1]。紀元前5世紀のヘロドトスや紀元前4世紀のクセノフォンは、1パラサングを30スタディアとしている[1]。30スタディアをアッティカ地方の尺(1スタディオン=178.20メートル)により現代の距離の単位に換算すると 5.35 キロメートルに相当し、昔から言われている「1時間で歩兵が行軍できる距離」におおむね合致する[1]

パラサングは新ペルシア語ではファルサング(farsang)とかたちを変え、アラブではファルサフ(farsakh)とアラビア語化して使われている[1]。19世紀のルリスターンでは1ファルサングは太鼓をたたく音が届く距離と言われていた[2]

ファルサフ(アラビア語:فرسخ)とは、アラビア語圏で用いられる距離の単位であり、パラサングがアラビア語化したものである。クルアーンハディースの中で距離の単位として使用されている。たとえば「フダイビーヤとはマッカから6ファルサフのところにある泉」などと書かれている。1ファルサフが何メートルなのかについては諸説あり、時代によっても異なる。現代の一般的な見解では約5~6キロメートルぐらいとされている。

  1. ^ a b c d e Bivar, A. D. H. (2000). "WEIGHTS AND MEASURES i. PRE-ISLAMIC PERIOD". Encyclopaedia Iranica. 2023年10月4日閲覧
  2. ^ Houtum-Schindler, Albert (1888), “On the Length of the Persian Farsakh”, Proceedings of the Royal Geographical Society and Monthly Record of Geography, New Monthly Series 10 (9): 584–588, doi:10.2307/1800976, JSTOR 1800976, https://zenodo.org/record/1449412 .