センヤ島

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センヤ島
現地名:
Senja  (ノルウェー語)
Sážžá  (北サーミ語)
シルサンドの町
センヤ島の位置(ノルウェー内)
センヤ島
センヤ島
地理
場所 ノルウェーの旗 ノルウェートロムス・オ・フィンマルク県
座標 北緯69度04分50秒 東経16度48分11秒 / 北緯69.0806度 東経16.8031度 / 69.0806; 16.8031座標: 北緯69度04分50秒 東経16度48分11秒 / 北緯69.0806度 東経16.8031度 / 69.0806; 16.8031
面積 1,586.3 km2 (612.5 sq mi)[1]
最高標高 1,017 m (3337 ft)
最高峰 ブレイティンデン
行政
ノルウェー
トロムス・オ・フィンマルク県
基礎自治体 センヤ
最大都市 シルサンド(人口1,583人)
人口統計
人口 7,864(2017年時点)
人口密度 4.96 /km2 (12.85 /sq mi)
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センヤ島 (Senja (ノルウェー語), Sážžá (北サーミ語)) は、ノルウェートロムス・オ・フィンマルク県にある島。面積は1586.3k㎡で[1]スヴァールバル諸島を除くと国内で2番目に大きい。大西洋に面し、荒涼とした山岳地帯の外側(西側)と、気候が比較的穏やかで緑豊かな内側(東側)にわかれる[2]。島は2020年1月1日に発足した基礎自治体センヤに属している。住民は2017年1月1日時点で7,864人で、その多くが島の東側に住んでいる。シルサンドが島内最大の町である。西海岸の漁村、グリレフィヨルドには、近くのアンドーヤ島を結ぶ夏季限定のフェリーが就航している[3]

島は、ベステローデン諸島の北東部に位置し、北西にノルウェー海、北東にマーランゲンフィヨルド、東にギスンド海峡、南東にソルベルグフィヨルド、南にヴォーグスフィヨルド、西にアンドフィヨルドがある。また、島の南部はアンダーダレン国立公園に指定されている[3]

名称[編集]

古ノルド語では、「Senja」あるいは「Sændja」と呼ばれていたと考えられている。名称の意味はわかっていないが、島の西岸が数多くの小さなフィヨルドによって分断されていることから、「引き裂く」や「分断する」といった意味のある動詞「sundra」に関係している可能性がある。また、「砂地」や「砂の島」という意味合いのあるノルド祖語の「Sandijōn」から発展したとする説もある[4][3]

地理[編集]

センヤ島は、トロムス・オ・フィンマルク県の本土側の海岸線に沿って位置しており、フィンスネスが最寄りの町である。本土とはギスンド橋で結ばれている。島内には基礎自治体として、レンヴィック(一部は本土にある)、ベルグ、トルスケン、トラノイがあったが、2020年1月にセンヤとして再編された[3]

センヤ島の北側は外海となっており、西側ではアンドーヤ島やクロトヤ島、南側ではアンドリア島、ディロヤ島に面する。西海岸には、海岸から切り立つ険しい山々が連なり、グリレフィヨルドやフソイなどの小さな漁村は、山と海に挟まれた狭い低地に置かれている。東部と南部の地形は穏やかで、丸みを帯びた山々、森、川、農地が広がっている[要出典]

ノルウェーでみられる自然地形をほぼすべて兼ね備えた島の地形の多様性は、「ノルウェーの縮図」といわれることもある。国内ではその地形が知られており、観光地となっている[要出典]

センヤ島の山岳地帯(8月)

気候[編集]

気象データが観測されるラウケラは、センヤ島のシルサンドの近く、本土に面した東岸にある。島の東側は亜寒帯気候であるが、秋や冬には雨が多く、冬は同気候の他の地域より温暖である。ヘッキンゲン灯台や、センヤ島西部のノルウェー海に面する地域は、より海洋性の亜寒帯気候である。

センヤ島ラウケラ(1991-2020年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 8.3
(46.9)
8.3
(46.9)
11.2
(52.2)
16.2
(61.2)
25.7
(78.3)
26.7
(80.1)
28.3
(82.9)
27.6
(81.7)
22.2
(72)
16.2
(61.2)
12.6
(54.7)
9.7
(49.5)
28.3
(82.9)
日平均気温 °C°F −3.9
(25)
−3.8
(25.2)
−2
(28)
1.8
(35.2)
6.4
(43.5)
10.6
(51.1)
13.5
(56.3)
12.5
(54.5)
8.4
(47.1)
3.3
(37.9)
−0.3
(31.5)
−2.4
(27.7)
3.68
(38.58)
最低気温記録 °C°F −22.3
(−8.1)
−23.7
(−10.7)
−22
(−8)
−17.7
(0.1)
−6
(21)
0.4
(32.7)
2.4
(36.3)
−1.3
(29.7)
−5.3
(22.5)
−14.7
(5.5)
−16.5
(2.3)
−21.8
(−7.2)
−23.7
(−10.7)
降水量 mm (inch) 102
(4.02)
85
(3.35)
97
(3.82)
63
(2.48)
51
(2.01)
57
(2.24)
66
(2.6)
77
(3.03)
117
(4.61)
114
(4.49)
88
(3.46)
105
(4.13)
1,120
(44.09)
出典:Norwegian Meteorological Institute[5]

センヤ自治体内にあるヘッキンゲン島は外海に近いが、西部と同様に冬は温暖な海洋性亜寒帯気候である。

ヘッキンゲン(1991-2020年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C°F 1.2
(34.2)
0.8
(33.4)
1.8
(35.2)
4.5
(40.1)
8.6
(47.5)
11.5
(52.7)
14.4
(57.9)
14.1
(57.4)
11.2
(52.2)
6.7
(44.1)
4
(39)
2.4
(36.3)
6.77
(44.17)
日平均気温 °C°F −1
(30)
−1.4
(29.5)
−0.2
(31.6)
2.4
(36.3)
6
(43)
9
(48)
11.8
(53.2)
11.7
(53.1)
9.1
(48.4)
4.9
(40.8)
2.1
(35.8)
0.3
(32.5)
4.56
(40.18)
平均最低気温 °C°F −2.7
(27.1)
−3
(27)
−1.9
(28.6)
0.5
(32.9)
4
(39)
7.3
(45.1)
9.9
(49.8)
10
(50)
7.5
(45.5)
3.5
(38.3)
0.6
(33.1)
−1.3
(29.7)
2.87
(37.18)
降水量 mm (inch) 100
(3.94)
71
(2.8)
77
(3.03)
51
(2.01)
45
(1.77)
43
(1.69)
63
(2.48)
87
(3.43)
111
(4.37)
110
(4.33)
90
(3.54)
83
(3.27)
931
(36.66)
出典1:Norwegian Meteorological Institute[6]
出典2:Meteostat Hekkingen[7]

1961年から1990年にかけては、本土に面する東側のギボスタッド村でデータが観測されていた。

ギボスタッド(1961-1990年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
平均最高気温 °C°F −1.9
(28.6)
−1.8
(28.8)
0.2
(32.4)
3.6
(38.5)
8.4
(47.1)
12.9
(55.2)
15.0
(59)
14.6
(58.3)
10.5
(50.9)
5.8
(42.4)
1.5
(34.7)
−0.7
(30.7)
5.7
(42.3)
日平均気温 °C°F −4.4
(24.1)
−4.2
(24.4)
−2.3
(27.9)
1.0
(33.8)
5.5
(41.9)
9.7
(49.5)
12.3
(54.1)
11.6
(52.9)
7.5
(45.5)
3.3
(37.9)
−0.8
(30.6)
−3.2
(26.2)
3.0
(37.4)
平均最低気温 °C°F −7.1
(19.2)
−7.0
(19.4)
−5.5
(22.1)
−2.1
(28.2)
2.5
(36.5)
6.8
(44.2)
9.1
(48.4)
8.3
(46.9)
5.1
(41.2)
1.3
(34.3)
−3.1
(26.4)
−5.8
(21.6)
0.2
(32.4)
降水量 mm (inch) 85
(3.35)
80
(3.15)
60
(2.36)
54
(2.13)
39
(1.54)
47
(1.85)
62
(2.44)
71
(2.8)
91
(3.58)
119
(4.69)
94
(3.7)
98
(3.86)
900
(35.43)
平均降水日数 (≥1 mm) 13.4 12.4 11.5 10.7 9.2 10.6 13.2 12.4 14.3 16.0 14.7 15.6 154.0
出典:Norwegian Meteorological Institute[8]

経済[編集]

センヤ島では漁業が盛んで、特にセンヤホペンとフソイが有名である。スカランドでは、黒鉛の採掘が行われている。シルサンドには、ジャガイモやジャガイモ製品を扱うArtNord and Tromspotetがある。ソリアには階段工場があるほか、Nicopan ASは世界最北の断熱ガラス工場を有しており、ノルウェーや海外に顧客を持つ[要出典]

交通[編集]

センヤ島は、ギスンド橋によってフェリーを利用せずとも本土との道路交通が確保されている。本土側にあるフィンスネスは、センヤ島を含むトロムス地方中部全体の中心地となっている。島は県内のほかの町とも結ばれている。北部のリスネスからはトロムソまで高速船で50分である。西側のFlakstadvågや南側のスクロルスヴィクからは、ハーシュタまでフェリーが就航している。夏季になると、センヤ島北部とクヴァロヤ島との間、南部とハーシュタの間、グリレフィヨルドとアンドーヤ島の間にもフェリーが運航される[要出典]

島内には4つの主要道路がある。国道86号線は、島からギスンド橋を渡り、フィンスネス、ソレイサ、バルドゥフォスを結んでいる。また、島内では、トルスケンやグリレフィヨルドを通る。国道860号線は、Stonglandseidetからシルサンドまで走るほか、国道862号線は、Straumsbotnからセンヤホペン、Botnhamnを経由し、ベルグまでを結ぶ[要出典]

行政[編集]

2017年3月、ノルウェー国会は、ベルグ、トルスケン、レンヴィック、トラノイの各自治体の合併を議論した。その結果、2020年1月1日に新たな自治体センヤが誕生した[9][10]。かつてはハロガランドであった場所で、役所の所在地はフィンスネスである。自治体の範囲は、センヤ島全体、ギスンド海峡とマーランゲンフィヨルドの間にある本土の一部となっている[3]

観光[編集]

島の名所として、海岸沿いのマツ林や山々の広がるアンダーダレン国立公園のほか[11]、伝統的な漁村、世界最大のトロール像であったセンヤ・トロール(2019年3月28日に消失)がある[12]。南端のトラノイには、スクロルスヴィクのオヒョウ博物館など、地史を扱った小さな博物館が多数ある[要出典]

ギャラリー[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b Statens kartverk. “Øyer i Norge - største i hvert fylke” (Norwegian). 2011年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月24日閲覧。
  2. ^ Mathematics and Archaeology edited by Juan A. Barcelo, Igor Bogdanovic. p.346
  3. ^ a b c d e Thorsnæs, Geir, ed. (9 May 2018). "Senja". Store norske leksikon (Norwegian). Kunnskapsforlaget. 2018年8月25日閲覧
  4. ^ Bidrag till Fennoskandiens språkliga förhistoria i tid och rum” (Swedish). Helsingfors Universitet. 2015年12月27日閲覧。
  5. ^ eKlima Web Portal”. Norwegian Meteorological Institute. 2004年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月24日閲覧。
  6. ^ eKlima”. 2016年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月11日閲覧。
  7. ^ Meteostat”. 2022年2月24日閲覧。
  8. ^ eKlima Web Portal”. Norwegian Meteorological Institute. 2004年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年2月24日閲覧。
  9. ^ Senja kommune 2020” (NOrwegian). 2017年9月9日閲覧。
  10. ^ Vermes, Thomas (2017年3月29日). “Stortingsflertallet gjør fire Senja-kommuner til én” (Norwegian). ABC Nyheter. https://www.abcnyheter.no/nyheter/politikk/2017/03/29/195291385/stortingsflertallet-gjor-fire-senja-kommuner-til-en 2017年9月9日閲覧。 
  11. ^ Ånderdalen National Park” (Norwegian). Directorate for nature management. 2010年4月4日閲覧。
  12. ^ Senjatrollet – Hulder- og Trollparken” (英語). 2021年5月26日閲覧。


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