キリストの磔刑 (クラナッハ、ミュンヘン)
ドイツ語: Klage unter dem Kreuz 英語: The Crucifixion | |
作者 | ルーカス・クラナッハ (父) |
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製作年 | 1503年 |
種類 | マツ板上に油彩 |
寸法 | 138 cm × 99.3 cm (54 in × 39.1 in) |
所蔵 | アルテ・ピナコテーク、ミュンヘン |
『キリストの磔刑』(キリストのたっけい、英: The Crucifixion)、または『キリストの哀悼』(きりすとのあいとう、独: Klage unter dem Kreuz、英: The Lamentation of Christ)は、ドイツ・ルネサンスの画家ルーカス・クラナッハ (父) が1503年にマツ板の上に油彩で制作した絵画である。画面下部中央の木の切り株脇に白い紙に黒色の絵具で描かれた「1503」の年記が見えるが、本来の絵画は切り詰められている[1]。来歴は不明で、1804年にドイツ南部の修道院から移されて以来[1][2]、ミュンヘンのアルテ・ピナコテークに所蔵されている[1][2][3]。
作品
[編集]絵画は、『新約聖書』中の「マタイによる福音書」(27:33-56) 、「マルコによる福音書」(15:22-41) 、「ルカによる福音書」(23:33-49) 、「ヨハネによる福音書」(19:18-30) に記述されている「キリストの磔刑」を主題としている[4]。
この磔刑像は通常のように中央にイエス・キリストの十字架を配置せず、図像を回転させたかのようにキリストの十字架を右側に、盗賊たちの十字架を左側に配置している。聖母マリアと福音書記者聖ヨハネはそれらの十字架の間に描かれ、聖母はキリストを見上げている[1]。このように以前には類を見ない構図[3]を採用することにより、聖母に焦点が当てられ、息子であるキリストの苦難を見る彼女の悲嘆が表されている[2]。キリストの十字架の下には、山と湖、そして城のある風景が見える。空には暗雲が立ち込めている[1]。
技法的に、左側の盗賊に用いられている前面短縮法は見事なものである。また、キリストが纏う大きな腰布は装飾品のように描かれている[2]。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- C.H.Beck『アルテ・ピナコテーク ミュンヘン』、Scala Pulblishers、2002年刊行 ISBN 978-3-406-47456-9
- 大島力『名画で読み解く「聖書」』、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13223-2