カルディオドン

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カルディオドン
ホロタイプの歯
ホロタイプの歯
地質時代
中期ジュラ紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
階級なし : 真竜盤類 Eusaurischia
亜目 : 竜脚形亜目 Sauropodomorpha
階級なし : プラテオサウルス類 Plateosauria
階級なし : マッソ脚類 Massopoda
階級なし : アンキサウルス類 Anchisauria
下目 : 竜脚下目 Sauropoda
階級なし : 重竜類 Gravisauria
階級なし : 真竜脚類 Eusauropoda
階級なし : ?トゥリアサウルス類 Turiasauria
: カルディオドン属 Cardiodon
学名
Cardiodon
Owen1841

カルディオドンCardiodon "ハートの歯"の意味(歯の形にちなんで))は竜脚類の属であり、イングランドウィルトシャーのフォレストマーブル累層(en)のジュラ紀中期バーレム期の地層から発見された歯に基づいている。歴史的にはとてもあいまいな属であり、しばしばケティオサウルスであるとされることもあったが、最近の研究では独自の属であり、トゥリアサウルスに近縁である可能性があるとされている。

研究史と分類[編集]

リチャード・オーウェンブラッドフォード・オン・エイボン近郊で発見した一つの歯(現在は失われてしまっている)に対して命名したが、その時点では種小名を命名せず[1]、数年後に種小名を命名した[2]。 数十年内に、オーウェンは考えを変え、この属名が自身が命名し、よく知られた竜脚類の属であるケティオサウルスのシノニムの可能性があると考えるようになった[3][4]。1890年、リチャード・ライデッカーen)はこの考えを間接的な方法で公式化した。オックスフォードシャーで発見された歯に基づくカルディオドンとCetiosaurus oxoniensisの骨格を関連付けてこれをC. oxoniensisのものとした[5]。さらにグロスタシャー、サイレンセスター近郊のグレートオーライトen)で発見された第2の歯の化石(BMNH R1527)をこれに加えた[5]。さらに一般的にカルディオドンはケティオサウルス属とみなされるようになるが、種としては分離されることもあった[6]

2003年、ポール・アップチャーチおよびジョン・マーティンはケティオサウルスを見直し、C. oxoniensisの歯と骨格を同じ種とする証拠はほとんどなく、"C. oxoniensis"の歯とカルディオドンの歯は異なっている(カルディオドンの歯は舌に面する側に凸である)ことを発見した。つまりカルディオドンが独自の属であることを支持した[7]。Upchurch et al. (2004)ではこの評価を改めて主張し、さらに固有派生形質は見つからなかったものの、これらは真竜脚類であるとした[8] 。さらに近年、Royo-Torres et al. (2006)でのトゥリアサウルスの記載において、カルディオドンがこの大型竜脚類と近縁である可能性が指摘された[9]

生態環境[編集]

カルディオドンは竜脚類であり、大型で四足歩行の草食動物であったが、[8]化石資料が乏しくこれ以上詳しいことは分かっていない。

参照[編集]

  1. ^ Owen, R. (1841). Odontography, Part II. Hippolyte Baillière. 655 p.
  2. ^ Owen, R. (1844). Odontography, Part III. Hippolyte Baillière. 655 p.
  3. ^ Phillips, J. (1871). Geology of Oxford and the Valley of the Thames. Clarendon Press:Oxford, 529 p.
  4. ^ Owen, R. (1875). Monographs of the fossil Reptilia of the Mesozoic formations (part III) (genera Bothriospondylus, Cetiosaurus, Omosaurus). Palaeontographical Society Monographs 29:15-93.
  5. ^ a b Lydekker, R. (1890). Suborder Sauropoda. In: Lydekker, R. (ed.). Catalogue of the Fossil Reptile and Amphibia of the British Museum (Natural History). Part 1. Taylor and Francis:London, p. 131-152.
  6. ^ Steel, R. (1970). Part 14. Saurischia. Handbuch der Paläoherpetologie/Encyclopedia of Paleoherpetology. Part 14. Gustav Fischer Verlag:Stuttgart, p. 1-87.
  7. ^ Upchurch, P.M., and Martin, J. (2003). The anatomy and taxonomy of Cetiosaurus (Saurischia, Sauropoda) from the Middle Jurassic of England. Journal of Vertebrate Paleontology 23(1):208-231.
  8. ^ a b Upchurch, P.M., Barrett, P.M., and Dodson, P. (2004). Sauropoda. In: Weishampel, D.B., Dodson, P., and Osmólska, H. (eds.). The Dinosauria (2nd edition). University of California Press:Berkeley, p. 259-322. ISBN 0-520-24209-2
  9. ^ Royo-Torres, R., Cobos, A., and Alcalá, L. (2006). A giant European dinosaur and a new sauropod clade. Science 314:1925-1927.

外部リンク[編集]