Wikipedia:秀逸な記事の選考/尼港事件 20121005
賛成/条件付賛成/保留/反対 0/0/1/0 この項目の選考期間は、2013年1月5日 (金) 12:42 (UTC)(2013年1月5日 (金) 21:42 (JST))までです。
(ノート) 《推薦理由》 独自研究や信頼性など多くの問題を抱えていた記事でしたが[1]、主筆者のIratume氏によって多くの文献が調査検討され、事件背景から事件影響にいたるまで網羅されており、衝突した双方の立場の見解も欠かすことなく適切に記述されています。現在秀逸な記事に選ばれている松江騒擾事件などと比較しても遜色がなく、他の記事編集の際に参考とされるものとしての条件を満たしていると思われますので推薦いたします。--Chichiii 2012年10月5日 (金) 12:42 (UTC)
保留 2012-10-30 11:23:06 (UTC)版を読んで気がついたことを書きます。
文章技術の問題として改善の余地があると思いました。
- 冒頭2文目に含まれる「中国海軍による艦砲射撃と重火器の貸与により」という句がどこに係っているのかよく分かりません。日本軍守備隊の「装備が勝る」に係っているのか、パルチザンが「中国海軍による~」で力をつけて日本軍守備隊に勝ったという意味なのか。2通りに解釈できます。後者であるのは本文を読めば明らかですが、冒頭部で読者を困惑させるのは書き手として得策ではありません。
- 「尼港住人と白軍」の第2段落、何の前置きもなく「島田商会」と出てきます。すぐ後ろの節を読めば何者なのかすぐ分かりますが、文章構成として適当ではありません。
- すごく初歩的なこと。句点(。)の抜けが結構あります。段落の末尾とか引用の後とか。
この種の≪読者に分からない日本語≫が散見されます。全体に見直しを要しますが、少なくとも冒頭からコレというのはまずいでしょう。
引用に関する問題があると思いました。
- 「尼港住人と白軍」の注20と注21は、その前にある「~」の引用箇所(要約引用〈citation〉ではなく、文献の記載そのままを書き写す引用〈quotation〉)の出所を示しているのであれば、付ける箇所が適当ではありません。同様の箇所が他にもあるので修正を要します(これは著作権に関する問題で、議論する余地は乏しいと考えます)。
- 住民の宣誓証言が多数引用(quotation)されていますが、quotationの必然性があるのかよく分かりません。事件に関する証言集ではないのだからcitationで充分ですし、文章が冗長で読み辛くなっています。いわゆるオーラル・ヒストリーにおいてこの種の証言は重視されますが、オーラル・ヒストリーというのはあくまで歴史学者の方法論であって、こうした証言それ自体が意味を持っているというものではありません。言い換えれば、ヒストリーの材料ではなく(歴史学者が「調理」した後の)「料理」を出していただくべきでしょう。史料は必ずしもアップルパイ案件ではなく、恣意的な扱いによって独自研究を生む可能性が多々あるものですから、注意を要します。
NPOVについて。日本側・ソ連側で見解の分かれる事柄について記述する際に、ソ連側の「言い分」という表現が一貫して用いられているように見受けられますが、なぜこの語を用いなければならないのか疑問です(「主張」「見解」等では何故いけないのか)。日・ソで見解が分かれ、WP:NPOVに即して両論併記をするのであれば、一方の見解の信頼性について余計な仄めかしを含むような語を使うのは不適当と思われました。「惨殺」「虐殺」等の表現についても同様です。
事件の最終的な結果としてニコラエフスクの町が大きな損害を受けたらしいことは分かりますが、最終的に町はどうなったのでしょうか。日本人居住者の命運に関してはともかく、それ以外の居住者がどうなったのか、についてもほとんど読み取れません。民間人殺害が核にあることは分かりますが、民間人は日本人だけではありませんし、相当大きな戦火に晒された町がどうなったのか、といった点も事件の全容に含まれるように思われます。
「日本における事件の波紋」の下に「南京事件」という節がありますが、どういう結びつきがあるのか分かりませんでした。また、「邦人」という表現が使われていますが、日本人と改めるべきでしょう。
参考文献について。
- 書誌事項の記述方法に、一般的な慣行と照らして違和感があります。単純なところで書名は『 』で括り、雑誌に収録された論文や書籍の中の特定の章のタイトルを「 」で括る、という慣行に合致していませんし、その他にもいろいろあり、見直しの要ありと考えます。
- 『ニコラエフスクの破壊 =尼港事件総括報告書=』と『THE DESTRCTION OF NIKOLAEVSK-ON-AMUR An Episode in the Russian Civil War in the Far East, 1920』の2冊が挙げられていますが、後者を執筆に当たって読まれたのでしょうか。脚注を見る限り、そのようには見受けられず、したがって掲載は不適当だと考えます。
強いて再選考にかける気もありませんが、現状のGAという評価でも相当甘いように思います。--ikedat76(会話) 2012年11月13日 (火) 17:37 (UTC)
(選考終了)選考期間満了のため、今回は見送りとなりました。--totti(会話) 2013年1月6日 (日) 07:06 (UTC)