Wikipedia:外来語表記法/スウェーデン語
ここではスウェーデン語をカタカナ表記する際の目安となるよう、一応のガイドラインを示す。あくまで目安にすぎないので、この表記方法を強制するものではない。また、それぞれの単語のカタカナ表記について議論になる場合は、このページを参考の上、各項目のノートで議論した上で表記についての合意を形成していただきたい。
基本的には原音主義とし、スウェーデン語の発音に近いカタカナ表記ができるようなガイドラインを目指す。標準的なスウェーデン語の発音に則るが、方言による発音の差がある事には注意されたい。またカタカナ表記がスウェーデン語に近い発音であっても、人口に膾炙したカタカナ表記がある場合はそちらを項目名として優先されたい。
具体的に言うとイングマール・ベルイマンやイングリッド・バーグマンの場合等で、ベルイマンもバーグマンもスウェーデン語では同じスペルのBergmanであり、「ベリマン」とするのが一番発音には近い。しかし、どちらの名前もそれぞれ日本で既に定着してしまっているので、混乱を避けるためにそちらの方を優先されたい。
アルファベットと発音
[編集]スウェーデン語で使用されるアルファベット29文字(ラテン文字26文字とスウェーデン語の特殊文字3文字)は以下の通り。発音は敢えてカタカナ表記とせず、国際音声記号(International Phonetic Alphabet; いわゆる発音記号)の表記に従った。カタカナ表記にした場合LとRの表記が全く同じになってしまい、混乱を招くおそれがあるため、アルファベットの読み方についてはカタカナ表記を避けた。
大文字 | |||||||||||||||
[aː] | [beː] | [seː] | [deː] | [eː] | [ɛf] | [geː] | [hoː] | [iː] | [jiː] | [koː] | [ɛlː] | [ɛmː] | [ɛnː] | ||
A | B | C | D | E | F | G | H | I | J | K | L | M | N | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
[uː] | [peː] | [kɯː] | [ærː] | [ɛsː] | [teː] | [ʉː] | [veː] | [ˈdɵbːəlˌveː] | [ˈɛkːs] | [yː] | [ˈseːta] | [oː] | [ɛː] | [øː] | |
O | P | Q | R | S | T | U | V | W | X | Y | Z | Å | Ä | Ö |
小文字 | |||||||||||||||
[aː] | [beː] | [seː] | [deː] | [eː] | [ɛf] | [geː] | [hoː] | [iː] | [jiː] | [koː] | [ɛlː] | [ɛmː] | [ɛnː] | ||
a | b | c | d | e | f | g | h | i | j | k | l | m | n | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
[uː] | [peː] | [kɯː] | [ærː] | [ɛsː] | [teː] | [ʉː] | [veː] | [ˈdɵbːəlˌveː] | [ˈɛkːs] | [yː] | [ˈseːta] | [oː] | [ɛː] | [øː] | |
o | p | q | r | s | t | u | v | w | x | y | z | å | ä | ö |
特殊文字3文字は他の26文字の最後にå, ä, öの順に配置される。c は k と組み合わさって /k/ の音を組成する以外は名前(Carlsson等)や地名などの固有名詞でしか使われない。w は更に使用頻度が低く、固有名詞以外には使われないので、辞書や百科事典では v の一部に組み込まれる。qも一部の姓(Lindqvist等)に使われる以外は、使用頻度の極端に低い文字である。z も使用頻度が少ない文字の一つで、母音と組み合わさった場合も濁音(ざ行)にはならず、清音(さ行)のままである。
母音・子音
[編集]母音
[編集]スウェーデン語の母音はa、e、i、o、u、y、å、ä、öの9文字。母音の内a、o、u、åの4字は硬母音(hårda vokaler)、e、i、y、ä、öの5字は軟母音(mjuka vokaler)と呼ばれる。硬母音か軟母音かの差は母音の直前のg、k、skの発音に影響を与える。
子音
[編集]母音9文字以外の全ての文字、20文字が子音となる。前述したようにc、q、w、zの4文字は使用頻度が他の16文字に比べて少ない。特にqが語頭に来る単語はわずか数語のみで、語注でも特定の人名やスウェーデン以外の地名にのみ使用される。wも使用頻度が少ないため、vと同一視される事が多く、人名や地名等の固有名詞に使われるのみである。cも固有名詞以外はkと組み合わさって「ク」の発音を作る程度の使用頻度である。zも比較的使用頻度が少なく、基本的には清音で発音され、濁音で発音される場合は稀である。
b、d、j、gの様にヘボン式アルファベットでは濁音で発音される子音も、スウェーデン語では清音である。
具体例
[編集]- sk
- 硬母音との組み合わせ
- 原則的には「スク」、「スコ」の様に[sk]の発音になる。
- skattスカット(税金)、skorスコー(靴、複数形)、skumスクム(泡)etc.
- 軟母音との組み合わせ
- 英語のshの発音に近い「シュ」の様に[ ʃ ]の発音になる。
- skeppシェップ(船、本来はもっと鼻にかかった音である。)、skidorフィードー(スキー、skepp同様鼻濁音に近い。)etc.
- 子音との組み合わせ
- 硬母音との組み合わせ同様、[sk]の発音になる。
- skrattaスクラッタ(笑う)、skrämmaスクレンマ(驚かす)
参考文献
[編集]- 山下泰文『スウェーデン語文法』大学書林、1990年。ISBN 4-475-01753-X。
- Norstedts svenska uttalslexikon. Norstedt. ISBN 91-1-971122-0
- Svenska språknämndens uttalsordbok. Norstedts ordbok. ISBN 91-7227-309-7