SS寒天培地
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SS寒天培地(エスエスかんてんばいち、Salmonella-Shigella Agar)とは、サルモネラSalmonella属や赤痢菌Shigella属を糞便検体から分離するのに優れた選択分離培地である。
培地の組成
[編集]物質 | 量 |
---|---|
肉エキス | 5.0 g |
ペプトン | 5.0 g |
乳糖 | 10.0 g |
デオキシコール酸ナトリウム | 8.5 g |
クエン酸ナトリウム | 8.5 g |
チオ硫酸ナトリウム | 8.5 g |
クエン酸鉄 | 1.0 g |
ブリリアントグリーン | 0.33 mg |
中性紅 | 25 mg |
寒天末 | 13.5 g |
水 | 1000 ml |
純水に溶解し、pH7.0になるように調整する。
なお、作成に当っては加温溶解としオートクレーブ等で滅菌してはならない。[1]
特徴
[編集]- SS寒天培地は、デオキシコール酸ナトリウムなどの胆汁酸塩・クエン酸塩・ブリリアントグリーンの相互作用によりグラム陽性菌を中等度発育阻止し、また、大腸菌(Escherichia coli)などの乳糖を分解する腸内細菌の発育を抑制しかつ、発育してもコロニーがレンガ色に着色する為、乳糖非分解菌である。
- Salmonella属やShigella属等の無色半透明のコロニーとは容易に分別できる。
- Salmonella属、Citrobacter属、Proteus属などの硫化水素産生が著名な菌属では、コロニーの中心部が硫化鉄により黒変する事により容易に判別できる。[1]
培養の方法
[編集]- 培地は、平板培地を用いる。
- 培地は使用する前に、無菌試験等を行ない問題の無い物を用いる。
- 検体を採取後できるだけ速やかに培地に画線塗末する。
- 平板培地を好気条件下において、35 ℃で18-24時間培養する。
- 24時間で菌の発育を認めた場合には、さらに24時間培養を行なう。[1]
主な菌の発育の性状
[編集]菌名 | 性状 |
---|---|
Escherichia coli | わずかに発育・桃色又は赤色 |
Proteus | 無色・中心部が黒変・Swarming抑制 |
Shigella属 | 無色半透明 |
Salmonella属 | 無色・コロニー中心部が黒変 |
Enterobacter・Klebsiella | わずかに発育・桃色 |
Pseudomonas | わずかに発育・非定型 |
グラム陽性菌 | 発育しない |
SS寒天培地の改良品
[編集]一部の組成を変更した、変法SS寒天培地等が販売されている[2]。
出典
[編集]- ^ a b c 岡田淳ほか『微生物学・臨床微生物学』 22巻(第3版)、医歯薬出版〈臨床検査技師講座〉、1994年。ISBN 4-263-22622-4。
- ^ 関東化学. “サルモネラ・シゲラ寒天培地(改良型)(SS寒天培地)” (PDF). 2011年7月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年7月1日閲覧。