Roadrunner
Roadrunner(ロードランナー)とは、アメリカ合衆国エネルギー省が保有した、ニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所に設置されたスーパーコンピューターの一つ。2008年に設置され、2008年6月から2009年6月までのTOP500ランキングで1位となり、2013年3月に撤去[1]された。
概要
[編集]米エネルギー省は、備蓄している核兵器を安全・確実に保持する核兵器保全管理計画を進めるため、核兵器の安全性・信頼性評価シミュレーションを目的としてRoadrunnerの建設に着手した。その他にも、天文学、遺伝子、気候変動の解析なども利用目的とした。
Roadrunnerは、1億3300万アメリカ合衆国ドル(2009年末の円-ドル外国為替相場の換算で118億円程度)でピーク性能1.7PFLOPSを目標に設計され、IBMによって構築された。2008年6月のTOP500ランキングで、2位の「Blue Gene/L」(478.2TFLOPS)を大きく引き離す1.026PFLOPSを記録し、最初に1PFLOPSを超える性能を実現した。その後、2009年6月までTOP500ランキングにおいて1位となったが、2009年11月のランキングでJaguarに抜かれて2位となった[2]。
Roadrunnerはプロセッサに、1.8GHzデュアルコアOpteron6,912個と、浮動小数点演算を強化したCell/B.E.アーキテクチャのプロセッサPowerXCell 8i 12,960個を搭載した。TOP500で使用するLINPACKを動作させられるコンピュータとしては、世界で初めて1PFLOPSに到達したコンピューターとなった[3][4]。
歴史
[編集]Roadrunnerは、三つのフェーズを経て段階的に構築され、性能を向上していった[5]。
第一段階として、2002年に稼働を開始したロスアラモス国立研究所の既存システム ASCI Q [6]の置き換えを目的として、Opteronプロセッサのみを用いたクラスタを構築した。 第二段階でCellプロセッサを搭載したIBM BladeCenter QS20を追加して予備評価を行った後、2008年に最終段階としてOpteronとPowerXCellの本格的なハイブリッドシステムを構築し、2008年6月に発表された第31回Top500リストにて1.026PFLOPS[7]の性能を示した。
構成
[編集]Roadrunnerは、異なるアーキテクチャであるPowerXCellとOpteronの構成を採用した。
- Opteron 2210, (1.8 GHz)
- PowerXCell 8i, (3.2 GHz)(PPE+8SPE)
またオペレーティングシステムには、Red Hat Enterprise LinuxおよびFedoraを採用した。
参照
[編集]- ^ End of the road for Roadrunner
- ^ “Opteron搭載JaguarがRoadrunnerを抜きTOP500の1位に”. Impress Watch. 2009年11月16日閲覧。
- ^ “ペタFLOPS”にスパコンが突入 理論性能は世界一のIBM BlueGene/L×3
- ^ スパコンTOP500、1ペタ超のIBM「Roadrunner」が1位
- ^ “Roadrunner Tutorial An Introduction to Roadrunner and the Cell Processor”. pp. 4 (2008年2月7日). 2008年12月14日閲覧。
- ^ Top500.org. “ASCI Q - AlphaServer 1.25 GHz”. 2008年12月14日閲覧。
- ^ “Roadrunner”. 2008年12月14日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- ロスアラモス国立研究所. “Los Alamos Lab: High-Performance Computing: Roadrunner”. 2008年12月14日閲覧。
- International Business Machines Corporation. “IBM Deep Computing - The Supercomputer at Los Alamos”. 2008年12月14日閲覧。
- Kevin J. Barker, Kei Davis, Adolfy Hoisie, Darren J. Kerbyson, Mike Lang, Scott Pakin, Jose C. Sancho. Entering the Petaflop Era: The Architecture and Performance of Roadrunner. IEEE Press. doi:10.1145/1413370.1413372 .