NANDゲート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
入力
A   B
出力
A NAND B
L L H
L H H
H L H
H H L

NANDゲート否定論理積の論理ゲートであり、その(論理的な)動作は、否定論理積すなわち、全ての入力の論理積(AND)をとったものの反転(NOT)である。つまり、全ての入力がHighの場合のみ出力がLowになり、Lowの入力がひとつでもある場合はHighを出力する。

NAND論理の完全性(en:Functional completeness)により、いかなる組合せ論理回路の論理もNANDゲートの組合せで実装できる。それを利用して、NANDのみで実装することで同種の回路のみで構成することができるため、結果としてコスト削減になるという主張もある。(しかし、通過ゲート数や通過配線距離の増加が不可避であるため速度を犠牲にすることになる[1]。そのため、速度を補償するために高速動作をする高価なICが必要になり、結果としてむしろコストを高騰させるかもしれないが、世の中にはトータルコストといった概念がすっこ抜けていて、わかりやすいが定量的な検討を怠っている結論に飛びつく者は多い。いずれにしろ汎用ロジックICのみの寄せ集めで大規模な回路を作っていたのは産業としては過去の話である)

汎用ロジックICシリーズにおいて、最も基本的な製品群として大量生産されたのは、完全性という論理的な理由よりも、実装の容易さ等による面が大きい。

NANDゲートのみで構成した全加算器

記号[編集]

MIL論理記号及びANSIIECDINのそれぞれにおけるNANDの記法を以下に示す。

NAND ANSI Labelled.svg NAND IEC.svg NAND DIN.svg
MIL/ANSI 記号 IEC 記号 DIN 記号

ハードウェアの解説とピン配置[編集]

4011のピン配置

NANDは、汎用ロジックICでは基本的な製品として、バリエーション等が最も豊富な一群のひとつである。74シリーズについてはTTLの7400等の他、74HC00他のCMOS版など多数のバリエーションがある。

  • 74シリーズ
    • 7400: 2入力NANDゲート×4
    • 7410: 3入力NANDゲート×3
    • 7420: 4入力NANDゲート×2
    • 7430: 8入力NANDゲート×1
  • 4000シリーズ(CMOS)
    • 4011: 2入力NANDゲート×4
    • 4023: 3入力NANDゲート×3
    • 4012: 4入力NANDゲート×2
    • 4068: 8入力NANDゲート×1

4個入っているため2個前後が余ることも多く、入力スイッチのチャタリング解消用RSラッチを構成したり、NOTゲートに使うなど、流用するための小技を覚えておくと便利なことがある。

実装[編集]

Transistor-transistor logic(TTL)の場合、複数のエミッタを持つトランジスタ (マルチエミッタトランジスタ) を使い、他のゲートよりも少数のトランジスタで構成できるという特徴があり、74シリーズのトップナンバーである7400がNANDであるのもそういった理由による。CMOSにおいても、特性的に不利なPチャネル側が並列で、特性的に有利なNチャネル側が直列になることから、例えばそれが逆になるNORゲートよりも少しだが優位がある。

NMOS型NANDゲート
CMOS型NANDゲート
TTL型NANDゲート
CMOS型NANDゲートの物理レイアウト

[編集]

  1. ^ 一応、積和標準形や和積標準形などの場合のように、NANDの入力を全て反転させるとORになる(ド・モルガン則)等の変形によってうまく簡単化できる、というような場合もあるにはあるが。
左から右へ、標準形から(上)NANDだけ(または(下)NORだけ)への変形


関連項目[編集]