Feldmesser

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Feldmesser(フェルトメッサー、ドイツ語で野戦用ナイフの意)は、オーストリアのヴァグラムにある軍需企業グロック社によって製造される軍用ナイフシリーズである。

同社は、ポリマーフレーム拳銃の代表格ともいえるグロック17で世界的に有名である。

Feldmesser78

設計[編集]

Feldmesser81(ブラック)
背面から見たFeldmesser81とシース。ソーバックと、シース側のフック状構造がよく見える。

ナイフ本体[編集]

コーティング処理を施されたクリップポイントのブレードを持ち、キリオン上部にはボトルオープナー兼親指乗せが設けられている。 ハンドルは中空構造になっており(普段は後端部がキャップで閉じられている)、同国製の突撃銃ステアーAUGに専用のソケットを取り付ければ、銃剣として着剣することができる。 また、Feldmesser81のソーバックは、数ある軍用ナイフについているソーバックの中でも非常に鋭い上、鋸におけるあさりのようにのこ刃が交互に出ているなど、実用性を上げるための工夫がうかがえる。

シース[編集]

樹脂製で、水抜き穴、可動式のベルトループ、そしてAK系アサルトライフルの銃剣M9銃剣などの他国製軍用ナイフと同様にブレードを保持する機構が備わっている。特徴的なのはこの保持機構で、前述のM9を含む多くの軍用ナイフの場合、シースに内蔵された板バネで刀身を保持する為、出し入れの度にブレードのコーティングが削り取られるといった悪影響があるが、Feldmesserの場合シースのフック状の部分をキリオンにひっかけて保持する為、表面のコーティングを傷つけることなく確実に保持する事が可能であり、錆びに弱い炭素鋼のブレードを長く使うのに適している。 反面、板バネで保持する前者と違い、緊急時に力を入れて引き抜くことで素早くナイフを取り出すといったアクションには向かない。 可動式ベルトループや保持の為のフックなど、このシースはポリマー素材の柔軟性を利用したものと言える。

運用[編集]

オーストリア連邦軍がFeldmesser78を使用する他、廉価である為か、私物としてドイツ連邦軍兵士が携行している様子も散見される。

諸元[編集]

共通するスペックは以下の通りである。

  • 全長:290mm
  • ブレード長:165mm
  • 鋼材:HRC硬度55の炭素鋼
  • 樹脂製ハンドル

派生型[編集]

FeldmesserにはFeldmesser78(Field Knife 78)と、ソーバック付きのFedlmesser81(Survival Knife 81)があるが、違いはソーバックの有無とそれによる若干の重量の変化のみである(78が206g、81が202g)。

シースのカラーは、オリーブ、サンド、ブラック、グレーの四色が用意されている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • glock.com - グロック社公式ウェブサイト (英語), (ドイツ語) outdoorカテゴリのknivesにFeldmesserの説明あり。
  • World Bayonets - World Bayonets. Austria (英語) Feldmesser78紹介欄にAUGへの着剣図あり。