自動案内軌条式旅客輸送システム

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日本最新の AGT 路線、東京日暮里・舎人ライナー
日本初の AGT 営業路線、神戸ポートライナー

自動案内軌条式旅客輸送システム(じどうあんないきじょうしきりょきゃくゆそうしすてむ、AGT : Automated Guideway Transit)とは、小型軽量車両が自動運転により専用軌道上の案内軌条に従ってゴムタイヤで走行する中量軌道輸送システムの一種である。三菱重工業では、都市向け AGT とは別に海外・空港向け車両を全自動無人運転車両 (APM : Automated People Mover) と呼称する[1][* 1]

日本では、「新交通システム」の名称が広まると同時期に多く普及したシステムであるため、AGT そのものを「新交通システム」と呼称することが多い[* 2]。三菱重工業では、2015年より「AGTの時代」として「新交通システム」ではなく正式名称の「AGT」で呼称することを提案し名称の普及を進めている。

概要[編集]

普通鉄道地下鉄では輸送量過多であり、路面電車 (LRT) やバスでは輸送力不足である場合の中間の公共交通機関として誕生した。他の中量軌道輸送システムと大きく異なる点は、コンピュータ制御により無人の自動運転を行う前提で開発が進められており、建設費も少なく安価に導入できる輸送システムとして日本を含めた世界で発達した。世界各国で同時に開発が行われたシステムであるため、多くのシステムが存在する。最大輸送力は、1時間・1方向当たり約 3,000 - 20,000 人程度である場合が多い[* 3]が、実際は建設する路線によって前提の輸送力は異なる[* 4]。法規上鉄道事業法の「鉄道(案内軌条式鉄道)」または軌道法の「軌道(案内軌条式)」となるが、いずれか一方の法規に基づいている場合のほか、道路占用や開発事業(主に港湾地区)に係る補助金などの関係で両方の法規が混在している場合も少なくない。また、都市計画法の定める都市施設では、AGT は都市計画道路のうちの「特殊街路」に分類される。

運営を行う鉄道事業者は、第三セクターが行うものがほとんどである。全線が完全立体交差の専用軌道上を走行し、なおかつコンピュータ制御による運行のため、安全性が高く、人身事故ヒューマンエラーが発生しにくい。そのため、開業以来無事故記録を持つ鉄道事業者が多く存在する。また、専用軌道であること、ゴムタイヤで走行すること、コンピュータによる自動運転であることなどにより、駅間距離が短い路線にも対応でき、なおかつ従来の輸送システム以上に定時性に優れた高頻度運転が可能である。路線によっては1分単位の運用がされる場合もある。また、急行列車快速列車などの運行にも対応している。

また、技術的にも無人運転を前提に開発されたことから、無人運転の導入が容易で労務コストが低減、地下鉄に対して運転費を半分以下に抑えることが可能[2]。加えてその近未来的なイメージが大都市近郊の自治体などに注目され、普通鉄道よりも簡易な公共交通機関として、郊外や港湾地域に造成されたニュータウンやオフィス街などの通勤・通学の足として建設が進んだ。現在では日本以外でも多く採用され、世界の大規模空港内の無人運転の旅客輸送システムとしても活躍している。開発は近年になっても続けられており、高速運転やより廉価に導入できる車両の開発などが進められ、先進国のみならず発展途上国への普及が期待されている。

AGT の長所
  • 小型軽量車両を用いるため建設費を抑えることができ[* 5]、曲線半径の小さい曲線でも走行が可能。
  • 普通鉄道や路面電車 (LRT) に比べて占有する敷地面積が狭く、過密な都市内や幹線道路上にも高架橋などを建設することが可能。
  • モノレールとは異なり避難用通路が併設されているため、車輌故障や災害時の乗客避難経路が確保されている。
  • ゴムタイヤを使用するため、走行による外部への騒音振動が少ないほか、乗り心地が向上する。
  • ゴムタイヤの摩擦力の大きさを活かし、急勾配路線の走行が可能。空転が発生しにくく雨や風に強い。
  • ゴムタイヤを使用するため、バスと同様に高加速・高減速が可能。短い駅間距離でも対応可能。
  • 普通鉄道のような架線が上部空間に無く、沿線の美観を損ねにくい。
  • コンピュータによる無人での全自動運転が可能。労務コストの削減が図れるほか、高頻度運転が可能。
AGT の欠点
  • 踏切は作れず、高架橋か地下トンネルの完全立体交差となるため、路面電車や BRT に比べると建設費が嵩む。
  • ゴムタイヤの負担過重が鉄車輪と比べて小さく、車両の収容力は普通鉄道より小さい。
  • ゴムタイヤの転がり抵抗が鉄車輪と比べて大きく、動力費が嵩む。
  • ゴムタイヤの摩耗が鉄車輪と比べて早く、交換費用による維持費が嵩む。
  • 普通鉄道との互換性がなく、乗り入れや設備・部品等の流動性があまりない。
  • 高架構造物の荷重制限のため定員乗車が規定される。

日本の AGT 路線一覧[編集]

空港移動路線等を除いた日本の AGT 営業路線は下記の通りである。

事業者名 路線名 路線愛称 営業
キロ
開業年 運転方式 案内方式 ベース
システム
備考
埼玉新都市交通 伊奈線 ニューシャトル 12.7 1983年 ワンマン 側方 NTS
西武鉄道 山口線 レオライナー 2.8 1985年 ワンマン 側方 NTS
山万 ユーカリが丘線 ユーカリが丘線 4.1 1982年 ワンマン 中央 VONA 初の純民間企業路線
東京都交通局 日暮里・舎人ライナー 日暮里・舎人ライナー 9.7 2008年 無人 側方 標準型
ゆりかもめ 東京臨海新交通臨海線 ゆりかもめ 14.7 1995年 無人 側方 標準型
横浜シーサイドライン 金沢シーサイドライン シーサイドライン 10.6 1989年 無人 側方 標準型 標準型新交通システム第1号
桃花台新交通 桃花台線 ピーチライナー 7.4 1991年 ワンマン 中央 VONA 2006年事業廃止
大阪市交通局 南港ポートタウン線 ニュートラム 7.9 1981年 無人 側方 NTS OTS からの譲渡・貸与区間を含む
大阪港トランスポートシステム ニュートラムテクノポート線 ニュートラムテクノポート線 1.3 1997年 無人 側方 NTS 2005年大阪市交通局に譲渡・貸与[* 6]
神戸新交通 ポートアイランド線 ポートライナー 10.8 1981年 無人 両側 KCV 日本初の実用営業路線
六甲アイランド線 六甲ライナー 4.5 1990年 無人 側方 標準型
広島高速交通 広島新交通1号線 アストラムライン 18.4 1994年 ワンマン 側方 標準型 路線長うち 0.3km は地下鉄扱い[* 7]

利用状況[編集]

平成26年度の AGT 路線の輸送人員および混雑率は下記の通りである[3]

事業者名 路線名 調査区間 調査時間帯 編成
(両)
本数
(本/h)
輸送力
(人/h)
輸送人員
(人/h)
混雑率
(%)
埼玉新都市交通 伊奈線 鉄道博物館 → 大宮 07:02 - 08:01 6 14 3,500 3,909 112
山万 ユーカリが丘線 地区センター → ユーカリが丘 06:49 - 07:44 3 8 1,120 364 33
東京都交通局 日暮里・舎人ライナー 赤土小学校前 → 西日暮里 07:20 - 08:20 5 16 3,904 7,281 187
ゆりかもめ 東京臨海新交通臨海線 竹芝 → 汐留 17:00 - 18:00 6 17 5,542 6,569 119
横浜シーサイドライン 金沢シーサイドライン 新杉田 → 南部市場 07:27 - 08:27 5 15 3,540 4,089 116
大阪市交通局 南港ポートタウン線 住之江公園 → 平林 08:00 - 09:00 4 24 4,224 3,242 77
大阪港トランスポートシステム ニュートラムテクノポート線 コスモスクエア → トレードセンター前 08:00 - 09:00 4 24 4,224 3,695 87
神戸新交通 ポートアイランド線 貿易センター → ポートターミナル 08:00 - 09:00 6 23 6,877 9,178 133
六甲アイランド線 魚崎 → 南魚崎 08:00 - 09:00 4 21 3,696 3,405 92
広島高速交通 広島新交通1号線 牛田 → 白島 07:45 - 08:45 6 21 6,006 7,121 119

経営状況[編集]

AGT を採用した路線の経営状況は下記の通りである。▲は赤字を示す。

事業者名 会計年度 純損益 利益剰余金 出典 備考
埼玉新都市交通 平成26年度 約4億1,700万円 約7億4,500万円 [4]
西武鉄道 平成26年度 約204億2,800万円 約1,221億2,500万円 [5] AGT 以外の路線の経営状況と合算されている
日暮里・舎人ライナー 平成26年度 ▲約12億1,200万円 ▲約129億8,000万円 [6] 東京都交通局は AGT 以外の路線も経営しているが、
ここでは日暮里・舎人ライナー単独での経営状況を掲載
ゆりかもめ 平成26年度 約10億4,659万円 約55億5,724万円 [7]
横浜シーサイドライン 平成26年度 約6億0,925万円 ▲約67億0,368万円 [8]
大阪市交通局 平成25年度 約333億8,643万円 約334億8,171万円 [9] AGT 以外の路線の経営状況と合算されている
大阪港トランスポートシステム 平成25年度 約4億7,539万円 約15億6,841万円 [10] AGT 以外の路線の経営状況と合算されている
神戸新交通 平成26年度 約6億7,914万円 ▲約201億9,243万円 [11]
広島高速交通 平成26年度 約3億4,938万円 ▲約109億2,711万円 [12]

構造[編集]

標準型新交通システムに沿った第1号車両の横浜シーサイドライン1000系

1983年昭和58年)3月、導入検討手続きを簡素化し、建設費の低廉化を図ることを目的に[13]、日本交通計画協会が発表した「新交通システムの標準化とその基本仕様」により標準規格である「標準型新交通システム」が定められた[14]。標準化に従って建設された最初の路線は1989年平成元年)に開業した横浜シーサイドライン金沢シーサイドライン(シーサイドライン)である。標準化されるまではそれぞれ独自の方式が採用されており、併せて本項で解説する。また、低廉化させた「普及型新交通システム」の制定も検討されている[15]

軌道[編集]

軌道は、一般的に直線部では PC 製、急曲線部は製箱桁が採用され、その上にエポキシ樹脂によりコーティングされた専用走行路を敷く。走行路に沿って左右または中央部に H または I 形鋼による案内軌条(ガイドウェイ)が設置されており、車体の案内輪をあてて走行輪のゴムタイヤで走行する。曲線半径は 25m まで、勾配はゴムタイヤの高い摩擦係数を利用して勾配率は最大で 60 まで可能[* 8]であり、駅での停車区間では 10‰ 以下、車両の停留・解結を行う区間では 5‰ 以下としている。また、道路上に高架ガイドウェイを建設する場合には、消防法の規制や車道の往復 2 車線の円滑な通行を確保するため、道路幅は歩道を含め約 22m 以上が条件とされている。

軌間[編集]

軌間は、走行輪である左右のゴムタイヤの中心間隔であらわされる。普通鉄道と比べてもかなり広めである。「標準型新交通システム」で定められた標準規格では、1,700mm を前提とした規格で定められているため、1,700mm を採用する路線が多い。山万ユーカリが丘線、桃花台新交通桃花台線で 1,800mm、神戸新交通ポートアイランド線で 1,740mm、埼玉新都市交通伊奈線で 1,650mm、大阪市交通局南港ポートタウン線で 1,600mm が採用されている[* 9]

[編集]

標準的な駅舎(船の科学館駅

高架駅島式ホームが原則で、風雨を防ぐのと共に駅の無人化と乗降の安全確保のため、ホームにはフルスクリーンタイプのホームドアが設置されている路線が多い[* 10]。また、中央指令所で常に監視カメラにより各駅のホームや構内を監視しており、異常があれば、中央指令所から列車を停車させて係員を派遣することができるほか、各駅の販売機・改札機・エスカレータ・エレベータを駅と中央指令所の監視装置で監視して、異常があれば警報が表示される。車内信号式を採用した路線では、路線上の見える位置には信号機が設置されていないことが多いものの、実際には出発信号機や場内信号機がある駅もあり、停車場停留場それぞれ存在する。「標準型新交通システム」で定められた標準規格では、乗降場高さを走行面より 1,070mm としているが、タイヤ径の縮小や艤装部品の小型化等の将来の技術の進歩により柔軟に対処していく必要があるとされている。

電気方式[編集]

電気方式は、大きく分けて直流 750V三相交流 600V が存在する。路線長が長く車両数が少ない路線では直流方式、路線長が短く車両数が多い路線では交流方式が有利となり、地域の特性により方式が定められている。「標準型新交通システム」で定められた標準規格は、原則直流 750V であるが、技術革新の情勢や路線長、車両数などによって総合的に判断するとされている。電車線(トロリ線)はアルミまたはステンレス製の剛体式であり、案内軌条の上部に平行して設置されている。直流は複線式[* 11]、三相交流は3線式となっている。

西武山口線、山万ユーカリが丘線、横浜シーサイドライン金沢シーサイドライン、桃花台新交通桃花台線、広島高速交通広島新交通1号線で直流 750V が、埼玉新都市交通伊奈線、東京都交通局日暮里・舎人ライナー、ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線で三相交流 600V・50Hz が、大阪市交通局南港ポートタウン線、OTSニュートラムテクノポート線、神戸新交通ポートアイランド線、神戸新交通六甲アイランド線で三相交流 600V・60Hz が採用されている。

案内・分岐方式[編集]

案内軌条の位置により方式が異なり、方式ごとに分岐器方式も異なる。案内方式では、側方案内方式と中央案内方式に大きく分けられ、側方案内方式の一種に両側案内方式がある。分岐方式は、水平可動案内板方式、浮沈式、水平回転式、三角片横行式がある。なおこのうち三角片横行式は日本で採用されていない。

側方案内方式[編集]

側方案内方式の軌道(シーサイドライン)

「標準型新交通システム」で定められた標準規格である。両側案内方式を除き最初に営業路線として採用したのは、1981年(昭和56年)3月に開業した、大阪市交通局南港ポートタウン線(ニュートラム)である。この方式では、走行路の左右両側に案内板を配置する。標準規格では、左右案内板の間隔を 2,900mm とし、案内板中心高さは走行面より 300mm としている。中央案内方式と比べて広めの軌道幅員が必要となるが、閉床構造のために騒音対策などの環境配慮の点や避難通路として利用できる点に優れ、ステアリングボギー台車双方の導入が可能。多くの AGT 路線に採用されている方式である。

分岐方式は、もっとも簡易かつ軽量な「水平可動案内板方式」を採用し、対応した車両側には、各車両下部にある台車から案内バーが左右両側に伸びており、その先の上部には案内軌条を走行して転動方向を規制させる案内輪、下部には分岐で進行方向を変えるために使用する分岐輪が取り付けられている。地上側の分岐場所には、分岐用案内板として2つの可動案内板と固定案内板が両側の案内軌条の下に設置されており、可動案内板が電気転轍器で可動することによって分岐器の役割を果たす。車両は可動案内板に車両側の左右どちらかの分岐案内輪が入り込み、その後、固定案内板を通過することによって車両の進行方向が選択できる。分岐場所を通過する際は、一時的に両側拘束の案内軌条を離れ、片側のみを拘束することによって分岐する。

両側案内方式
両側案内方式の軌道(ポートライナー)

側方案内方式のうち、分岐方法に「浮沈式」を採用する路線を両側案内方式と呼ぶ場合がある。営業路線として採用したのは1981年(昭和56年)2月に開業した、日本で最初の AGT 営業路線である神戸新交通ポートアイランド線(ポートライナー)のみ。分岐時などで一時的に片側のみの拘束となる側方案内方式に対して、案内軌条自体が上下に浮沈することにより、常に両側が案内軌条にあたった状態で走行する。対応した車両側には、案内輪のみが取り付けられ、分岐用案内板や分岐案内輪が不要であり、軌道幅員を狭めることができる。分岐部分の構造が比較的複雑であるため建設費が高く、標準規格にはならなかった。閉床構造であることや、ステアリング・ボギー台車双方の導入が可能なことは側方案内方式と同じである。ポートライナーでは左右案内板の間隔を 2,430mm としている。

中央案内方式[編集]

中央案内方式の軌道と車両(ピーチライナー)

最初に営業路線として採用したのは1982年(昭和57年)に開業した、山万ユーカリが丘線である。この方式では、上記2方式とは異なり、走行路間の中央に案内板を配置する。稀にモノレールと案内されることや、AGT と別に案内される場合もある。一般には開床構造となり幅員は狭くできるものの、モノレールのように乗客に不安感を与える可能性がある点や、避難通路として軌道上が使えないこと、ボギー台車のみの導入実績しか持っていないことなどにより、標準規格にはならず、その後1991年(平成3年)に開業した桃花台新交通桃花台線(ピーチライナー)で採用された以来採用されていない。

分岐方式は、「水平回転式」を採用し、モノレールと分岐構造が似ている。側方案内方式や両面案内方式の車両にあったような案内バーなど、車両から側面に出っ張った部分はない。この分岐方式も、可動部が大きく建設費が高額となることから標準規格にはならなかった。

車両[編集]

ゴムタイヤで走行することから走行音が小さく、似たような交通機関として扱われるモノレールよりもさらに1両当たりの車両寸法が小さいのが特徴である。小型軽量というメリットから長大橋梁が存在する区間での採用例もあり、ホームドアの設置や無人運転が前提として設計される路線も多い。構成技術の根幹部分は鉄道の電車と同じだが、ゴムタイヤを使用しているため、走行装置や動力伝達機構などには自動車の技術が使用されている。車両の製造は、路線設計を行った製造会社で行われる場合が多いが、近年では路線技術の開発に携わっていない会社により製造される場合もあり、路線のベースシステムと車両製造元が一致しているとは限らない。

車両寸法[編集]

車両寸法は、「標準型新交通システム」で定められた標準規格では、最大幅を 2,400mm[* 12]、走行装置の最大幅は 2,160mm、最大高さを軌道面から 3,300mm としており、車両重量は、満車時で 18t 以下、車輪の車軸に掛かる軸重は 9t 以下としている。走行用の車輪を車端側に2つ配置としており、2つの車輪の軸距(ホイールベース)は車輪の中心から 5,000mm、車端から車輪の中心までの距離は 1,300mm としている。標準規格は定められていないが、車両長は 7,500mm から 8,500mm まで、自重はおおよそ 10.5t から 11.8t まで存在する。

車体材質[編集]

車体材質は、初期の頃は普通鋼が使用されていたが、最近では、車体の腐食防止や軽量化を図るために、ステンレス合金アルミニウム合金が使用されている。

車内[編集]

標準的な車内(東京都交通局330形電車

車内は、小型車両を用いているため普通鉄道よりも少し狭く、ドアは1両につき1 - 2つ程度が左右両側に配置される。なお、進行方向右側のみにプラットホームがある路線が多く、中でも桃花台新交通桃花台線で使用されていた桃花台新交通100系電車はドアが右側のみであった。初期の車両は制御装置やモニタ装置などが大型であり、床下に収まらないものは連結部付近に装置収納箱として配置されていたため、箱の上を荷物置き場として活用いた。近年の車両では機器類の小型化により床下や座席下などに収めることで車内空間が広がり、荷物置き場の代わりに荷物棚が設置されるようになった。

座席は、ロングシートを用いた車両が多いが、一部の路線ではボックスシートや固定式クロスシートを用いた車両や、それらを組み合わせた車両も用いられている。自動運転を行う路線の車両では、運転台や運転席は存在するものの乗務員室が存在せず、通常運転台は施錠されており運転席が開放されているため、最前部にまで乗客が座ることができ前面展望を楽しむことができる。なお、緊急時や訓練時に運転台を使用する場合は、バーやベルトで運転席とその他の席を仕切ることができる。

性能[編集]

路線の駅間距離が短いため、最高速度は一般的に 60km/h の路線がほとんどである。このほかでは神戸新交通ポートアイランド線が 70km/h、神戸新交通六甲アイランド線が 62.5km/h 、桃花台新交通桃花台線が 55km/h 、西武山口線が 50km/h である。なお、三菱重工業によりこれまでの倍である 120km/h の走行が可能な「Super AGT」が開発中である[1][16]。加速性能は、普通鉄道に比べて 3.5km/h/sec と少し高性能である。

台車[編集]

側方案内方式の2軸4輪ステアリング方式の台車。案内輪・分岐案内輪が車輪の車端側に配置されている。(横浜新都市交通1000形電車
側方案内方式の4案内輪車軸ボギー方式の台車。案内輪・分岐案内輪が車輪の両側に配置されている。(横浜新都市交通2000形電車
両側案内方式の4案内輪車軸ボギー方式の台車。案内輪がゴムタイヤ製であり、分岐案内輪がない。(神戸新交通2000型電車

台車は、平行リンク式の軸箱支持装置を持つダイヤフラム式の空気バネ付きのユニット台車またはボギー台車が採用されている。また曲線での走行をスムーズにするため、1台のモーターで車輪を差動歯車を介して駆動させる他に、走行車輪を案内軌条によって転向させる「案内操向装置」を装備している。中央案内方式では、1軸ボギー台車とし鉄道車両のボギー台車と同じく、その中心を軸として旋回させる方式を採用。側方案内方式では、左右の走行車輪の車端側に2個の案内車輪を配置して、案内車輪の変位を案内棒・ロッド・前後進切替装置などの案内操向装置を介して、自動車と同じようなナックルを設けた走行車輪に伝達され、走行車輪を操向(ステアリング)させる「2軸4輪ステアリング方式」と、案内操向装置と車輪の車軸とを一体化させた1軸ボギー台車とし、左右の走行車輪の両側に4個の案内車輪を配置して、その案内車輪の変位を、台車に装着された案内操向装置を介して直接台車に伝達することで、台車全体を旋回させる「4案内輪車軸ボギー方式」[* 13]などが採用されている[17]集電装置は、車両下部の案内操向装置側面に、舟体・アーム・スプリングで構成された集電器[* 14]が1枚の盤にまとまって装着されており、それを介して車内に給電されている。

ゴムタイヤ[編集]

ゴムタイヤは、走行輪・案内輪に使用されており、初期の頃は、走行輪にはウレタン充填スチールコードラジアルタイヤと呼ばれるノーパンクタイヤが採用されていたが、乗り心地が良くないため[18]、最近の走行輪のゴムタイヤには、ウレタンの代わりに窒素ガスを充填し、パンク対策として中子式の補助輪を内蔵したチューブレスのラジアルゴムタイヤを採用しており、乗り心地の向上と騒音低下が図られている。また、安定した走行性能を得るために、偏平タイヤを使用している。案内輪には両側案内方式の車両のみに使用され、硬質ウレタン充填タイヤと呼ばれるノーパンクタイヤが使用されている。また、走行輪のタイヤは、バスやトラックのタイヤとほぼ同じ大きさでありながら重い車体を支えるため、単体で 4.5t の負荷荷重がかかり[19]、130kg の重量がある。しかし、鉄輪に比して摩耗の早いゴムタイヤは利用者に比例した維持費を必要とし[* 15]、軌道保守についてもコンクリート走行面の整備となるため微細な調整ができず、経年劣化による乗り心地悪化なども発生している。

主要装置[編集]

制御装置は、登場初期は直流ではチョッパ制御、三相交流ではサイリスタ位相制御[* 16]で直流モーターを制御する方式が用いられていたが、近年では両者ともVVVFインバータ制御が主流となっており、特に三相交流の場合では、コンバータ装置と VVVFインバータ装置を1つのユニットにまとめた、主変換装置 (CI) により、コンバータで直流に変換した後、VVVFインバータで三相交流に変換して誘導(交流)モーターを制御する方式が採用されている。制御システムは、近年は2両にある電動機を1台の制御装置で制御する、いわゆる 1C2M 構成の2両単位方式が多い。ブレーキ方式は、近年の普通鉄道でも採用されている、回生ブレーキ併用の電気指令式空気ブレーキを装備している。モーターの装架または動力を伝達する方式は、車体装架直角カルダン駆動方式を採用しており、モーターからの動力を自在継手と差動歯車を介して車輪に伝達されている。車両基地での検修作業において電車線が無い車庫内で車両を移動させる際には、天井に配置された電源ケーブルを主栓と呼ばれるプラグを介して車両に接続して給電を行って移動させている。

互換性[編集]

新しい交通システムであるため、既存の一般的な鉄道にはない弱点が見られる。車両や信号、軌道に使用されている部品類が代替の出来ないシステム固有の物である場合が多く、他社製品とは互換性が無く市場原理が働かないので消耗品や交換部品の費用が下がらず、運行経費を押し上げる一因となっている。これにより製造会社にとっては安値で受注して消耗品や交換部品で稼ぐビジネスモデルが成り立ち、うまみのある安定した収益源になっている。近年では、これらの消耗交換時の経済性を追求し、市販のトラック・バス用規格タイヤを使用できるような設計の開発などが行われている[16]

直通運転は、規格や方式に違いがある場合は乗り入れることができないため不可能である。規格や方式が全く同一である場合は乗り入れが可能であり、大阪市交通局南港ポートタウン線とOTSニュートラムテクノポート線が相互直通運転を行い、一体となった運用がされている。

列車検知・運行管理[編集]

列車検知は、従来の鉄道の軌道回路が使用できないため、列車検知装置(TD)を採用している。これは、列車からチェックインとチェックアウトの信号を受信するチェックイン・チェックアウト方式と、走行路に敷設された誘導ループ線により列車の位置を検知する方式の2つがあり、誘導ループ線は自動列車制御装置 (ATC) の信号も流すことができるので、ATC/TD ループ線と呼ばれている。路線の閉塞には ATC を使用しており[* 17]、自動運転されている路線では、自動列車運転装置 (ATO) による無人運転で列車が運行されており、ATC を目標速度の設定及び保安確保のために使用している、この場合では、駅の手前や構内に ATO 地上子が軌道面に設置しており、停止目標までの距離を車上側の ATO 装置が認識して列車を停止目標で停止させるほか、正常な位置に列車が停車したことを列車が駅に送信することで、ドアの開閉の合図などの情報を駅側と列車側の間で双方向伝送を行いホームドアと列車のドアの開閉を行う。走行路の間には、車両と駅や中央指令所との間で情報を送受信するためのケーブルが入った、ATO データ伝送ループ線が設置されており、車両側の情報を駅や中央指令所に送るほか、中央指令所からの情報や緊急時の出発抑止などを車両側に送っている。

列車運行管理は、列車集中制御装置 (CTC) が設置され、コンピュータにより集中管理されている。中央指令所でコンピュータが列車の動きを把握し、列車ダイヤを元に自動制御するが、異常時には指令員の手動で制御できるようになっている。また、列車の運転制御や状態監視に使用する主要機器類は、装置の故障などで誤った運転情報を表示するなどで列車の運転に支障が出ないように、すべて多重系でフェールセーフ構造としており、安全を確保しているほか、電力・電路・信号保安・通信の各設備・自動運転などのシステムを統括して管理を行う総合管理システムからの各データを中央指令所に伝達することにより、列車の状態を監視して、必要に応じて的確な指示も出すことができる。

日本以外[編集]

日本では自動案内軌条式旅客輸送システム(AGT)を「新交通システム」とされる場合が多いが、国外ではそれに代わって「APM」や「VAL」と呼称される場合も多い。

APM[編集]

APM または LRT と呼ばれるマカオ澳門軽軌鉄路クリスタルムーバー

日本以外では、自動案内軌条式旅客輸送システム(AGT) に類似したシステムを APM(Automated People Mover) と呼称する場合が多い。APM は元々ウェスティングハウス・エレクトリック)が開発した AGT の一種のシステムを指す名称であったが、海外ではこのシステムが当初は多く採用されたため、他のシステムを含めた AGT 全体のことを APM と呼称する。日本での「新交通システム」同様、世界でも APMの定義は定まっておらず、APM にモノレール式を含めることもある。世界的には日本の AGTは APMに含まれることになるが、日本のAGT路線には APMを基本としたシステムはない。

現在三菱重工業では、製造した AGT のうち、海外・空港向けの車両を APM として輸出している。そのなかでも独自にブランド名として海外向け「クリスタルムーバー (Crystal Mover)」がある[20]。この中で空港向けの「クリスタルムーバー (Crystal Mover)」と都市向けの「アーバニスモ (Urbanismo)」に二分される。これらが採用された路線ではその名称で呼称される場合もある。このブランド名称は、路線ごとの技術の名称ではなく車両名称であるため、日本国内でも、ゆりかもめ7300系電車東京都交通局330形電車埼玉新都市交通2020系電車など、既存の AGT 路線の新型車両でもアーバニスモが採用される場合がある[21]。なお、日本国内に投入されたアーバニスモは三菱重工業では AGT として呼称している[22]

VAL[編集]

リール地下鉄のVAL208
VALの切り替えポイントでは路線中央部にも案内軌条を備える

フランスでは、AGT のことを VAL[* 18] と呼称する場合が多い。こちらも、元々はマトラ(仏)が開発した AGT の一種のシステムを指す名称であったが、フランス国内のすべての路線が VAL システムで建設されており、他のシステムを含めた AGT 全体のことを VAL と呼称する。このシステムで最初に開業した路線 (: Villeneuve d'Ascq à Lille) の頭字語とされていたが、同システムが他都市でも導入されたことから軽量自動車両を意味する頭字語 (: Véhicule Automatique Léger[* 19]) へと改められた。国内でこのシステムを採用した路線がなく、同じ AGT ではあるがそもそもの方式が異なるために相違点がいくつか存在する。

VAL は地下鉄道および高架鉄道走行を考慮して設計されており、日本で採用される AGT システムが地下線に不向きと言われる[* 20]ことと比較し、路線の大半が地下線である。そのため、ミニ地下鉄の一種と見なすこともできる[* 21]。実際の営業路線はリールトゥールーズレンヌで開業しているが、路線の大半は地下線であり、事実上もミニ地下鉄となっている[* 22]。パリ・オルリー空港や台湾に導入されているVALは高架方式となっている。

VALは1984年にリールで開業した当初、次世代フランスの都市交通の主力と見なされていた。1980年代前半のフランス政府の都市交通政策の構想では、地方の中核都市には基本的にVAL(ミニ地下鉄)を導入し、人口・財力がやや劣る地方の中小都市にはトラム(路面電鉄)を導入するということになっていた。1984年にリールにVAL、1985年にナントに路面電鉄がそれぞれ開業し、VALと路面電鉄とのデモンストレーションとなった。財力・人口の豊かな地方都市の多くは当初VALの導入を予定していた。しかしながら、2007年現在でVAL導入計画を持っていた都市の多くは路面電鉄導入に方針転換をした。路面電鉄の方が建設費が安く、同じ予算で数倍もの路線網を建設できることから、路面電鉄の方が人気が高まった。特に、1989年の地方選挙でVAL導入がほぼ決まりかけていたストラスブール市で路面電鉄派の女性市長が当選し、1994年に路面電鉄を導入したことからフランスでは路面電鉄ブームが起き、VAL導入は下火となった。

2007年8月現在、フランス国内でVALの新規導入計画はトゥールーズの2号線の新設と他都市の既存路線の延伸計画のみであり、新規にVAL導入を検討している都市はない。そのため、フランス国内のVAL導入事例はリール・トゥールーズ・レンヌの3都市とパリ・オルリー空港アクセス線(オルリーヴァル)、シャルル・ド・ゴール空港内のみにとどまる見込みである。

日本以外の AGT 路線一覧[編集]

国名 都市名(事業者名) 路線名 営業キロ 開業年
シンガポール シンガポール (SMRT) LRTブキ・パンジャン線 7.8km 1999年
シンガポール (SBS Transit) LRTセンカン線 10.7km 2003年
LRTプンゴル線 10.3km 2005年
中華民国 台北市台北捷運 文山線 (VAL) 10.5km 1996年
内湖線 14.8km 2009年
大韓民国 釜山広域市釜山交通公社 4号線 12.7km 2011年
議政府市仁川交通公社 議政府軽電鉄 (VAL) 11.1km 2012年
中華人民共和国 マカオ 澳門軽軌鉄路 17km 2014年(予定)
広州市 珠江新城新交通システム線 3.88km 2010年
フランス リール リール・メトロ (VAL) 29km 1984年
パリ郊外(オルリー空港アクセス) オルリーヴァル (VAL) 7.3km 1991年
トゥールーズ メトロ (VAL) 12.3km 1993年
レンヌ 9.4km 2002年
イタリア トリノ トリノ・メトロ (VAL) 13.2km 2006年
アメリカ合衆国 マイアミ メトロムーバ英語版 7.1km 1986年
モーガンタウン モーガンタウンPRT 13.2km 1975年

空港内移動路線[編集]

関西国際空港
チャンギ国際空港
シャルル・ド・ゴール国際空港
マイアミ国際空港

世界の大型空港でも、ターミナル間などの移動用に AGT の導入が20世紀末以降増えている。多くの場合空港敷地内の移動手段であるため総延長距離が短く料金もかからないことが多い。各路線は APM と呼ばれる場合も多いが、各路線の詳細が公開されていないためベースシステムが不明な路線が多い。

アジア[編集]

ヨーロッパ[編集]

北アメリカ[編集]

アメリカ[編集]

南アメリカ[編集]

歴史[編集]

PRT(仏:ULTra

AGT の構想は1960年代、アメリカ大都市での自動車交通の行き詰まりに始まる。大都市(特にダウンタウン)での道路渋滞が慢性化するようになり、自動車に代わる交通機関の整備を迫られた。1968年アメリカ合衆国住宅都市開発省によってアメリカ合衆国住宅都市開発省報告書が発表され、これを契機に当時向上しつつあった電子制御技術を積極的に導入して活発に開発が進められた。渋滞対策としてサンフランシスコエリアでは1972年BART が開業したが、この路線はまだ AGT とは異なったものであり、さらに、徒歩・鉄道・バスと言った従来の交通システムの隙間を埋めるシステムの必要性が叫ばれた。このため、連邦政府の運輸省都市交通局 (UMTA) では民間企業に補助金を与え、PRT(Personal Rapid Transit) と呼ばれる「個人用高速輸送システム」を計画・開発させることになった。

PRTシステムの特徴としては1.公共交通機関であること。2.専用ガイドウェイを持つこと。3.目的地に直行できること。4.車両定員は3人 - 6人で無人運転とする、などがあり、これに対し各社が様々な提案を出し、1972年、ワシントンD.C.で「トランスポ'72」と呼ばれる交通博覧会が行われ、実車によるデモンストレーションが行なわれた。この時には、空気浮上リニアモーター駆動や懸垂型モノレールなど多種多様のシステムが提案されたが、技術上の問題などから直流電動機によるゴムタイヤ方式の車両を使用したシステムに集約されていった。なお、当初の構想では小規模な輸送力のためのものであったが、高架橋などの建設費から採算性を勘案し、単位輸送力は当初の構想よりも大きな物となってしまった[24]

日本では「ニュータウン」と呼ばれる大規模住宅開発地から最寄りの鉄道駅への交通アクセスが課題とされてきた。ピーク時の輸送量はバスでは飽和状態であるが従来の鉄道には過小でしかもデータイム時との需要差が極端に開き、このため鉄道を敷設しても採算に乗らないといった問題があった。このためアメリカでの PRT の動向に着目し、安価に建設ができる中量軌道システムを開発する気運が高まり、鉄道車両メーカーと商社の共同による開発が行なわれることとなった。

次第に AGT の開発は、アメリカだけにとどまらず世界各国の企業に広がり、それぞれ独自に開発が行われ様々な方式が誕生した。1970年代頃からこれらの開発は活発になり、1971年東京モーターショーで「CVS」が提案され、1974年には東村山の通産省機械試験所跡地に全長4.8kmに及ぶ実験線が建設されるなど、各企業でそれぞれの実験線が建設され開発が進められた。

2000年代までに開発されたシステムと開発企業は以下のとおりである。なお現在はこれらだけにとどまらず他システムの開発も行われている。

日本で初めて導入された一般人でも乗車可能な AGT 路線は、1972年昭和47年)3月の京成電鉄が経営していた谷津遊園千葉県習志野市)である。ベースシステムは「VONA」で、園内約 380m の周回コースで試験運転として開始され、遊具の一部として運行されていた。1975年(昭和50年)7月20日より開催された「沖縄国際海洋博覧会」では、「KRT」や「CVS」をベースシステムとした路線が建設された。これらの試験運転等を元に技術の開発や改良などが加えられ、実用化に向けて進められた。同年には AGT が「新交通システム(ガイドウェイシステム)」として都市モノレール法に基づく公的補助の対象となり、各地に登場する AGT の幕開けとなった。

本格的に実用化された、つまり日本初の恒久的な実用路線は、1981年(昭和81年)に開業した神戸市神戸新交通ポートアイランド線(ポートライナー)である。この路線を皮切りに、日本各地でも多くの路線の建設が始められた。日本語ではない AGT の名称は親しみを持たれにくいことから、各路線ごとにそれぞれ愛称がつけられている。旅客案内上でもこの愛称で案内される場合が多く、AGT や新交通システムとして案内されることはない。また、同様の理由からこのシステムを総称する名称として「新交通システム」が使用されることが多い。1983年昭和58年)3月、日本交通計画協会が発表した「新交通システムの標準化とその基本仕様」により標準規格が定められた[14]。標準化されるまではそれぞれの路線が独自の方式で設計されていた。基本仕様の決定により量産生産やシステムの低廉化を図り、AGT の導入を容易にしたため、その後多くの AGT 路線が建設された。

2008年平成20年)の東京都交通局日暮里・舎人ライナーより、新規路線の建設は日本国内では行われていない。人口減少等により新規路線の建設が活発に行われていないことが大きな原因であるが、LRTBRTなどの他の交通システムに対する助成制度が制定されたことも原因の一つである。一方、国外では現在でも多くの新規路線の建設が開始されている。開発を終了したメーカーも少なくないが、三菱重工業では現在も開発が続けられており、高速運転が可能な「Super AGT」[1]や新型台車の開発、新興国向けにコスト半減した車両の開発[25]などが行われており、2014年にはアメリカ・フロリダ州の主要空港すべてに AGT(APM) が導入されることが決定するなど[26]、以後の導入も世界各国で期待されている。

年表[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ APM に自動運転のモノレールが含まれる場合や、国内の AGT を含む場合もあり、定義が定まっていない。本来 APM とは AGT のうちウェスティングハウス・エレクトリックが開発したシステムのことであるが、海外で初期に多く普及したシステムが APM であったため、それ以降登場したシステムも含めた自動運転システムの総称として使用されている。フランスでは同様の理由で、マトラが開発したシステムである VAL (Véhicule Automatique Léger) が自動運転システムの総称として使用されている。
  2. ^ 同じく日本で多く普及したシステムにモノレールがあるが、「新交通システム」の名称が普及する前に登場し一般的に呼称しやすく親しまれた「モノレール」の名称に対して、AGT はそのような一般的な名称が存在せず、メディアでも新交通システムとして案内されたことから、AGT が新交通システムの代表格となった。また、「新交通システム」の呼称は日本独自のものであり、決まった定義はない。
  3. ^ 最大輸送力の定義がきちんと定められておらずばらつきがある。
  4. ^ 日本国内の路線では約 3,000 - 10,000 人程度の輸送力を前提としている場合が多い。
  5. ^ 東京大学生産技術研究所による建設費の比較では、ミニ地下鉄の約220億円/km、モノレールの約120億円/kmに対して、新交通システム (AGT) は約90億円/km。また、後述の「標準型新交通システム」に沿って建設する場合、約55億円/kmで建設が可能。
  6. ^ 譲渡区間は路線長うち 0.7km 、貸与区間は 0.6km 。貸与区間は第二種鉄道事業者となる大阪市交通局へ貸与しているため、第三種鉄道事業者となる。
  7. ^ なお、地下区間は全路線長うち 1.9km ある。
  8. ^ 止むを得えない場合では 90‰ まで可能。また広島高速交通広島新交通1号線(アストラムライン)の延伸部では、80‰ の勾配が想定されている。
  9. ^ 西武山口線は不詳。
  10. ^ 地下駅地上駅、単線ホームや相対式ホーム、ホームドアのない路線なども存在する。
  11. ^ プラスの線とマイナスの線。
  12. ^ なお集電装置、案内装置、分岐装置に関しては、この寸法を超えることができる。
  13. ^ この方式では、複雑な機構である案内操向装置のステアリング機構や前後進切換装置などが不要となり、台車の部品点数がほぼ半減して、メンテナンス性の向上などが図られる。さらに最近の車両には、台車と車体との間が固定されており、台車に装着された案内操向装置と車輪の車軸との間で、案内操向装置により車輪の車軸が旋回することで、車輪を自由に回転させる仕組みとなっている。
  14. ^ 各々がスプリングにより独立して可動するような構造となっている。
  15. ^ ゴムタイヤは走行により摩耗するため、ゴムタイヤの完全交換は2年程度で行われる。さらに、鉄輪よりも転がり抵抗が大きいため、単位輸送量毎の消費電力が多い。また、ゴムタイヤの摩耗は動台車(動力台車)の方が従台車(付随台車)よりも摩耗量が多く、ゆりかもめでは、まず、1年使用された後に従台車のタイヤを新しいゴムタイヤに交換し、従台車で使用されていたゴムタイヤは動台車に使用されていたタイヤと交換されて、1年使用された後に、また同じようにタイヤを交換する「タイヤのローテーション」を行うことで交換周期でのタイヤの摩耗の均一化を図っている。
  16. ^ 3相全ブリッジサイリスタ位相制御と呼ばれている。
  17. ^ 西武鉄道山口線(レオライナー)には、閉塞に閉塞用の地上信号機、保安装置に自動列車停止装置 (ATS) を使用している。
  18. ^ フランス語発音: [val] ヴァル
  19. ^ フランス語発音: [veikyl otɔmatik leʒe] ヴェイキュロトマティクレジェ
  20. ^ 設備上トンネル断面積が通常鉄道より大きくなるため。
  21. ^ フランスの地下鉄はゴムタイヤ式が主流であり、VALはこの小型・自動運転版と言うことができる。
  22. ^ これら3都市の路線呼称も「メトロ」であり、フランスの交通統計などでもそのように分類されている。システム名である「VAL」は地下鉄の車両・路線の技術を指す呼称と見なされるので、旅客案内上は用いられない。

出典[編集]

  1. ^ a b c “新交通システムのマーケットを飛躍的に拡大 最高速度120km/時の高速車両を開発” (プレスリリース), 三菱重工, (2014年10月2日), http://www.mhi.co.jp/news/story/1410025580.html 2015年12月18日閲覧。 
  2. ^ 『鉄道ファン』通巻637号、 96頁
  3. ^ 混雑率データ (PDF)”. 国土交通省. 2016年1月31日閲覧。
  4. ^ 会社概要”. 埼玉新都市交通. 2015年12月18日閲覧。
  5. ^ 2015 会社要覧 貸借対照表・損益計算書 (PDF)”. 西武鉄道. 2015年12月18日閲覧。
  6. ^ 交通局経営レポート 経営の状況”. 東京都交通局. 2016年1月7日閲覧。
  7. ^ 平成26年度(第27期)決算 (PDF)”. ゆりかもめ. 2015年12月18日閲覧。
  8. ^ 第32期事業報告書 (PDF)”. 横浜シーサイドライン. 2015年12月18日閲覧。
  9. ^ 交通局の予算・決算について”. 大阪市交通局. 2015年12月18日閲覧。
  10. ^ 会社概要 決算状況”. 大阪港トランスポートシステム. 2015年12月18日閲覧。
  11. ^ 第38期決算公告(平成26年度) (PDF)”. 神戸新交通. 2015年12月18日閲覧。
  12. ^ 平成26年度決算状況”. 広島高速交通. 2015年12月18日閲覧。
  13. ^ 『鉄道ジャーナル』通巻400号
  14. ^ a b 新交通システムの標準化とその基本仕様 (PDF)”. 日本交通計画協会. 2015年12月18日閲覧。
  15. ^ 「普及型新交通システム」研究開発調査報告書 (PDF)”. 日本交通計画協会. 2016年1月7日閲覧。
  16. ^ a b 三菱重工技報 Vol.52 No.1 (2015) 新製品・新技術特集 高速新交通システム (PDF)”. 三菱重工業. 2016年1月7日閲覧。
  17. ^ 久保田博『鉄道工学ハンドブック』、グランプリ出版1995年9月、 335-336頁、 ISBN 4-87687-163-9
  18. ^ 空気を入れないタイヤ「ノーパンクタイヤ」”. 旭産業. 2016年1月7日閲覧。
  19. ^ 鉄道のようだけど、タイヤを履いてる新交通システムの空気圧”. 旭産業. 2016年1月7日閲覧。
  20. ^ 特集 No.173 新たな都市交通の主役”. 三菱重工業. 2016年2月19日閲覧。
  21. ^ 特集 世界の空で、世界の都市で ~”強・優・美”を追及した交通インフラ~”. 三菱重工業. 2016年2月19日閲覧。
  22. ^ “埼玉新都市交通にニューシャトル向け新型車両の納入を開始 11月から営業運転、「第4回鉄道技術展」にも実物を出展” (プレスリリース), 三菱重工, (2014年10月2日), https://www.mhi.co.jp/news/story/1510305697.html 2016年2月19日閲覧。 
  23. ^ “シャトルシステムに代わり新たな連絡通路を供用開始!” (PDF) (プレスリリース), 成田国際空港, (2003年9月13日), http://www.naa.jp/jp/press/pdf/20130913_1.pdf 2016年2月19日閲覧。 
  24. ^ 佐藤信之『モノレールと新交通システム』、グランプリ出版2004年12月、 128頁、 ISBN 4-87687-266-X
  25. ^ “三菱重工、新興国に新交通システム車両を提案−汎用品使いコスト半減” (プレスリリース), 日刊工業新聞, (2015年12月10日), http://www.nikkan.co.jp/articles/view/00367745 2016年2月19日閲覧。 
  26. ^ “米国タンパ国際空港の新交通システム建設工事を受注 オーランド空港に次ぎ連続で、フロリダ州の主要空港すべてに当社システム導入へ” (プレスリリース), 三菱重工, (2014年11月7日), http://www.mhi.co.jp/news/story/1411075594.html 2016年2月19日閲覧。 

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]