近隣結合法

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世界の18人類集団の遺伝的近縁関係を23種類の遺伝子の情報をもとに近隣結合法によって推定した結果。国立遺伝学研究所において斎藤成也教授により作成された。[1]

近隣結合法(きんりんけつごうほう、neighbor-joining method、略してNJ法ともいう)は、系統樹を作製するためのボトムアップ式のクラスタ解析法である。1987年に日本の斎藤成也根井正利らが発表し[2]、分子系統樹を作成する方法として広く用いられている。

普通DNAの塩基配列やタンパク質の一次構造に基づいて系統樹を作製するのに用いられる方法で、計算には各タクソン(生物種あるいは配列)のペア間の距離を知ることが必要である。

近隣結合法は系統樹の最小進化基準、つまりアルゴリズムの各段階で全ての枝の長さの合計が最小となるようなトポロジーが望ましいという基準に基づいている。しかし系統樹を段階的に構成するアルゴリズムであるため、最終的に全枝長を最小にする本当のトポロジーが明らかになるとは限らない。この意味では最適な方法とまではいえないが、最適なものに非常に近い系統樹が得られるとされる。

近隣結合法の最大の利点は効率であって、ほかの系統解析法(最大節約法最尤法ベイズ法など)では計算能力的に不可能なほどの大量のデータセットも扱うことが可能である。

UPGMAと異なり、近隣結合法はすべての系統が同じ速度で進化する(分子時計の仮説)ことを仮定せずに無根系統樹を作ることができる。

関連項目

References