強姦神話
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強姦神話(ごうかんしんわ、英語: rape myths)は、強姦の加害者や被害者、性的暴行に対して持たれる、偏向していて類型的な、間違った信念である[1][2][3]。レイプ神話(レイプしんわ)とも呼ばれる[4]。例えば、「露出の高い服装をしたり、なれなれしい態度を取ったりする女性が被害に遭う」「嫌なら必死に抵抗したはずだ」「女性は強姦されたがっている」[5]といった説が強姦神話に含まれる[6]。
概説
強姦神話は、伝統的な性役割、個人間の暴力の容認、性的暴行の特質に対する誤解など、さまざまな文化的ステレオタイプに由来する[1]。強姦神話の普及は、強姦の被害者に対する非難やスティグマ化の主因となっている[2][3]。
強姦神話が性暴力のステレオタイプな被害者像として提示するのは、殴られて痣だらけとなった若い女性である。しかし、必ずしも目に見える身体的損傷が残るとは限らない。性的暴行における主要な問題は、当事者の双方が性的行為を行うことに同意したかどうか、または同意する能力があったかどうか、という精神的な面にもある。身体的外傷を負っていない性的暴行の被害者が、当局に通報しなかったり医療を求めなかったりするのは、このステレオタイプによるものである[7]。
日本
日本では被害者が悪いとする有責性が強く信じられている[8]。強姦神話を内面化した結果、何の落ち度もない被害者が自責の念に駆られるケースもある[9]。
脚注
- ^ a b Burt, Martha R. (February 1980). “Cultural myths and supports for rape”. Journal of Personality and Social Psychology (American Psychological Association via PsycNET) 38 (2): 217–230. doi:10.1037/0022-3514.38.2.217. PMID 7373511 .
- ^ a b “Rape Myths and Facts”. West Virginia University. 2016年8月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月17日閲覧。
- ^ a b Hockett, Smith, Klausing, and Saucier (2016年). “Rape Myth Consistency and Gender Differences in Perceiving Rape Victims: A Meta-Analysis”. pp. 139-167. doi:10.1177/1077801215607359. 2016年10月24日閲覧。
- ^ 杉田聡 (2016年9月29日). “被害者を裁き「レイプ神話」を再生産する者(上)”. WEBRONZA. 2017年6月16日閲覧。
- ^ 渡辺真由子、性的有害情報に関する実証的研究の系譜 情報通信学会誌 2012年 30巻 2 p.2_81-2_88, doi:10.11430/jsicr.30.2_81
- ^ “性暴力の実相(3)無理解 「私が悪い」招く神話”. 西日本新聞 (2015年9月7日). 2017年6月16日閲覧。
- ^ Kennedy KM, The relationship of victim injury to the progression of sexual crimes through the criminal justice system, Journal of Forensic and Legal Medicine 2012:19(6):309-311
- ^ 福井美貴、松村幸子、心的外傷後ストレス障害の回復過程の看護援助 : 犯罪被害者の思いの分析 日本精神保健看護学会誌 2003年 12巻 1号 p.22-32, doi:10.20719/japmhn.KJ00006916676
- ^ “強姦(レイプ)神話とは”. 神奈川県 (2016年5月26日). 2017年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月16日閲覧。
関連文献
- 杉田聡『レイプの政治学 レイプ神話と「性=人格原則」』明石書店、2003年。ISBN 9784750317359。