ピルスナー・ウルケル
ピルスナー・ウルケル(チェコ語: Plzeňský Prazdroj、ドイツ語: Pilsner Urquell[注 1])は、チェコのプルゼニ(ピルゼン)で1842年から生産されているビールである。SABミラーがピルスナー・ウルケルを所有していたが、2017年3月にアサヒビールに売却された[1]。
ビールの種類としては下面発酵(ラガービール)に属する。ピルスナー・ウルケルはコクが強いが、一般的なラガービールよりもアルコール濃度は低く、ホップの苦味が強い。ホップが風味の重要な要素であり、また、軟水が醸造に利用されている。330ミリリットルと500ミリリットルのアルミ缶と緑色の瓶で入手可能である。
歴史
ピルスナー・ウルケルの名前の由来(チェコ語: Plzeňský Prazdroj、ドイツ語: Pilsner Urquell、日本語だと「元祖ピルスナー」の意味)が示すとおり、一般的なピルスナーの元祖であり、ラガースタイルのビールの醸造方法の基礎となっている。1842年10月5日、プルゼニの市民が設立したビール会社 Bürgerbrauerei が雇ったドイツ人ヨーゼフ・グロルが初めてピルスナー・ウルケルを生産した。一説には従来から造っていたビールを仕込もうとして、醸造が失敗して偶然造られたとされる。同年11月11日の聖マルティヌスの日にて、初めてプルゼニ市民の前で完成品を披露。
翌1843年にはプラハに開業したレストラン・ウ・ピンカスーにて、同市で初めてピルスナー・ウルケルが提供された[2]。
1859年には、Bürgerbrauereiは Pilsner Bier B B の商標を登録、1898年には Original Pilsner Bier 1842、Plzeňský pramen、Prapramen、Měšťanské Plzeňské、Plzeňský pravý zdroj を商標登録、最終的に Pilsner Urquell、Plzeňský Prazdroj を商標登録し、今日に至る。
注ぎ方
ピルスナー・ウルケルは注ぐ時に炭酸や泡の量を変えることで異なる味を生み出している。その入れ方は主に3種類に分けられる[3]。ピルスナー独自の注ぎ方は、"タップスター (tapster)"と呼ばれるピルスナー本社が認めたライセンスを持つ人だけが可能とされている。
ハラディンカ(Hladinka チェコ語読みではフラディンカに近い) - ピルスナーの伝統的な注ぎ方で、炭酸が少なく喉越しが良いとされる。まず泡を入れてから、泡の下にビールを入れて作る。もっとも定番に飲まれている。
シュニット(Šnyt) - 醸造家たちが開栓したばかりの樽内のビールをテイスティングする時に飲んでいた方法。泡とビールが約1:1で注がれる。
ムリーコ(Mlíko 牛乳を意味するmléko ムレーコが近しい読み方である) - 日本ではミルコとも言う、グラスのほとんどが泡で占められているビール。その名の通り牛乳のような見た目になる。グラス一杯になるまで泡を入れて提供する。最も炭酸が少ない入れ方とされる。時間が経つと泡がなくなって量の少ないビールになってしまう。
- その他の注ぎ方
- ナ・ドヴァクラーット(Na Dvakrát)
- チョフタン(Čochtan) - ムリーコとは反対に、泡を入れずにビールのみを注ぐ。香りは引き立つが、泡がない分酸化するのが早いため、すぐに飲まないと味が変わってしまう[4]。
ギャラリー
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プラハにて、瓶で提供されたピルスナー・ウルケル
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Plzeňský Prazdrojの正門。ビール会社のシンボルとして利用されている。
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ビール会社オリジナルのマグカップに入ったピルスナー・ウルケル
脚注
注釈
- ^ 国際的に使用されている綴り。
出典
- ^ “国際事業”. 2020年10月16日閲覧。
- ^ www.fg.cz, 2020, FG Forrest, a s. “レストラン・ウ・ピンカスー(U Pinkasů)”. Prague.eu. 2020年11月16日閲覧。
- ^ “Pilsner Urquell”. www.pilsnerurquell.com. 2019年6月30日閲覧。
- ^ “Konvikt”. www.konviktpub.cz. 2019年6月30日閲覧。