貝児
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貝児(かいちご)は、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にある日本の妖怪の一つで、貝桶(かいおけ)の妖怪。
概要
[編集]貝桶とは、日本の中世から江戸時代にかけて伝わる遊戯の貝合わせや貝覆いに用いる貝殻の入れ物であり、画図では貝桶から子供のような姿の者が這い出る姿が描かれている。解説文には「この貝児は這子の兄弟にやと、おぼつかなく夢心に思ひぬ」とあるが、這子とは幼児のお守りに使われた四つんばい姿の幼児の人形のことで、石燕は貝児をその這子の兄弟かとしている[1]。
現代では、遊びに飽きて使われることのなくなった貝が付喪神(器物が化けた妖怪)となったもの[2]、もしくは、かつて貝桶は母親から娘へ贈られる嫁入り道具の一つとして珍重されており、古来の嫁入り道具は親から子へと受け継がれ、数百年も伝わっているものも珍しくなかったことから、歳月を経た嫁入り道具の貝桶から生まれたものなどと解釈されている[3]。
この貝児が出現したという明確な伝承は残されていないため、石燕の創作物とする説もある[1]。
脚注
[編集]- ^ a b 村上健司 編『妖怪事典』毎日新聞社、2000年、94頁。ISBN 978-4-620-31428-0。
- ^ 草野巧、戸部民夫『日本妖怪博物館』新紀元社、1994年、127頁。ISBN 978-4-88317-240-5。
- ^ 水木しげる『妖鬼化』Softgarage、2004年、7頁。ISBN 978-4-86133-006-3。