フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム
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フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム | |
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Tetra-n-butylammonium fluoride | |
略称 | TBAF |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 429-41-4, 87749-50-6(三水和物) |
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特性 | |
化学式 | (C4H9)4NF |
モル質量 | 261.46 g/mol |
融点 |
58-60 °C(三水和物) |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(英:Tetra-n-butylammonium fluoride)は構造式(CH3CH2CH2CH2)4N+F-で表される4級アンモニウム塩である。TBAFと略記される。3水和物として、あるいはTHF溶液として市販されている。
有機溶媒に可溶なフッ化物イオン源であり、シリルエーテル保護基の脱保護に用いられる。また相間移動触媒やマイルドな塩基としても用いられる。また、半導体製造の分野では、ナトリウムイオンが半導体の特性を劣化させるので陽イオン種としてしばしば利用される。
フッ化物イオンが非常に強力な水素結合受容体であるため、完全に脱水されたサンプルを得るのは難しい。減圧下で77℃に加熱すると、分解して二フッ化水素イオン (HF2-) の塩が生成することが知られている[1]。また試料を高真空下40℃で乾燥させた場合、10-30 mol% の残存水分と約10 % の二フッ化物の存在が確認されている[2]。無水試料では非プロトン溶媒中では水中に比べて約20倍のpK値を持ち、フッ化物イオンの塩基性が上昇する。近年ヘキサフルオロベンゼンとシアン化テトラ-n-ブチルアンモニウムからTBAFを合成する例が報告されている。これは無水条件下のアセトニトリルやジメチルスルホキシド中で、TBAFが非常に安定であることを利用している[3]。
脚注
- ^ Ramesh K. Sharma, James L. Fry (1983). “Instability of anhydrous tetra-n-alkylammonium fluorides”. J. Org. Chem. 48: 2112-4. doi:10.1021/jo00160a041.
- ^ D. Phillip Cox, Jacek Terpinski, Witold Lawrynowicz (1984). “'Anhydrous' tetrabutylammonium fluoride: a mild but highly efficient source of nucleophilic fluoride ion”. J. Org. Chem. 49: 3216-9. doi:10.1021/jo00191a035.
- ^ Haoran Sun and Stephen G. DiMagno (2005). “Anhydrous Tetrabutylammonium Fluoride”. J. Am. Chem. Soc. 127: 2050-1. doi:10.1021/ja0440497.