2023年のアメリカ合衆国の債務上限危機

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2023年1月19日、アメリカ合衆国において国債の債務上限に達して債務上限危機が始まった。これを受けて、財務長官のジャネット・イエレンは、「非常措置」の検討を始めた。この危機は、連邦政府の歳出と米国政府が負う国家債務に関する議会内の政治的議論の一部である[1][2]。

2013年の政治的対立以降、債務上限は2021年12月まで何度も引き上げられてきたが、いずれも予算上の前提条件が付けられていない[3][4] 。2023年の行き詰まりで、共和党は債務上限引き上げの前提条件として大幅な歳出削減を要求し、民主党はドナルド・トランプ政権で上限を3回引き上げた事例を示して、前提条件のない「クリーン法案」を主張した。

ウェルズ・ファーゴのレポートによると、議会が債務上限を引き上げなければ、政府は7月上旬から9月上旬にかけて債務不履行に陥り始める[5] 。この場合、財務省は国債保有者への支払いを停止するか、議会により完全には保証されていないさまざまな企業や個人への資金の支払いを直ちに削減しなければならない。どちらの状況も、世界経済のメルトダウンにつながると予想される[6] 。

さらに、連邦政府が新たな国債を発行できなかった場合、合計でアメリカ経済の規模の5% に相当する予算削減を強いられることになる[7] 。

2023年3月、複数の経済学者がムーディーズ・アナリティックスで、x-date (債務不履行の日付) が 2023年8月18日前後になるという見積りを表明した。彼らはそれ以前に債務上限が引き上げられると予想しているが、そうしなければ破滅的な結果になると警告した[8]。

2023年5月1日にジャネット・イエレンは、アメリカ合衆国が2023年6月1日までに債務不履行に陥る可能性があると警告した[9]。

同年5月27日、ジョー・バイデン大統領と共和党のケビン・マッカーシー下院議長が債務上限の引き上げで基本合意した[10][11]。その後、債務上限の効力を一時的に停止する法案が上下両院で与野党の賛成多数で可決され[12]、6月3日にバイデン大統領がこの法案に署名した。これにより法案は成立し、債務不履行は回避された[13]。

脚注[編集]

  1. ^ “What's the Debt Ceiling, and Will the US Raise It?” (英語). Bloomberg.com. (2023年1月13日). https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-01-13/what-s-the-debt-ceiling-and-will-the-us-raise-it 2023年1月22日閲覧。 
  2. ^ “US hits debt ceiling, prompting Treasury to take extraordinary measures” (英語). NBC Palm Springs (2023年1月19日). 2023年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月22日閲覧。
  3. ^ “The Debt Limit Through the Years | Bipartisan Policy Center” (英語). bipartisanpolicy.org. 2023年1月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月26日閲覧。
  4. ^ Croce (2023年1月18日). “Debt ceiling debate explained amid global economic uncertainty”. Pensions & Investments. 2023年1月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月19日閲覧。
  5. ^ “Feds could exhaust "extraordinary measures" to avoid debt limit by July, report finds” (英語). CBS News. 2023年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月21日閲覧。
  6. ^ “Debt ceiling: America's budget crisis of its own creation” (英語). BBC News. (2023年1月20日). オリジナルの2023年1月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20230120032437/https://www.bbc.com/news/world-us-canada-64341875 2023年1月20日閲覧。 
  7. ^ “US Treasury buys time for Biden and GOP on debt limit deal” (英語). Associated Press (2023年1月19日). 2023年1月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月22日閲覧。
  8. ^ “Debt limit action needed by mid-August, analysts warn” (英語). Roll Call (2023年3月7日). 2023年4月28日閲覧。
  9. ^ https://www.cnbc.com/2023/05/01/treasury-debt-limit-measures-may-run-out-by-june-1-yellen-says-in-letter-to-mccarthy.html
  10. ^ “米債務上限引き上げ基本合意、31日に議会で採決へ”. ロイター. (2023年5月28日). https://jp.reuters.com/article/usa-debt-idJPKBN2XJ015 2023年8月20日閲覧。 
  11. ^ “バイデン米大統領、マッカーシー下院議長と債務上限問題で基本合意、6月5日までの法案成立が焦点に”. 日本貿易振興機構. (2023年5月29日). https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/05/4c034df74d85258b.html 2023年8月20日閲覧。 
  12. ^ “債務上限停止、米上院も可決 成立へ、デフォルト回避”. 産経新聞. (2023年6月2日). https://www.sankei.com/article/20230602-F7SASMHJCZIWDG4YL5D2OCLANA/ 2023年8月20日閲覧。 
  13. ^ “米債務上限停止、バイデン氏署名で成立”. 産経新聞. (2023年6月4日). https://www.sankei.com/article/20230604-56Q6R3HPWRIRDKKZ2RQGINL6ZU/ 2023年8月20日閲覧。 

関連項目[編集]

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