階差数列

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階差数列(かいさすうれつ、: progression of differences, sequence of differences)とは、ある数列に対し、隣り合う項の差をとることによってできる新たな数列のことである。数列の規則性が見えにくい場合でも、階差数列を考えることにより元の数列の素性が分かりやすくなる場合がある。

定義[編集]

数列 (an) が与えられているとき、

b_n = a_{n+1} - a_n

n-項目の差分または階差 (difference) といい、階差によって定義される数列 (bn) を、数列 (an) の(第 1-)階差数列と呼び、(Δ an) などと表す。(Δ an) の階差数列を (an) の第 2-階差数列と呼び、(Δ2an) などと表す。以下、帰納的に第 m-階差数列 (Δman) が定義される。

これに対し、

b_n = a_n - a_{n-1}

n-項目の後退差分または後退階差 (backward difference) ということがある。しばしば ∇, Δan または Δan などで表す。区別の明確化のために先の階差を前進階差 (forward difference) と呼び Δ+an または Δan などで表すこともある。

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数列 (an) の一般項が

a_n=\frac{1}{2}n(n-1)

で与えられているとき、その階差数列 (bn) の一般項は

b_n=a_{n+1}-a_n=\frac{1}{2}n(n+1)-\frac{1}{2}n(n-1)=n

である。(an) の一般項が未知であり、最初の数項が

0, 0, 1, 3, 6, 10, 15

と分かっているとする。その階差数列を取ると

0, 1, 2, 3, 4, 5

であるから、一般項は bn = n と類推できる。このとき、

a_n=a_0+\sum_{i=0}^{n-1}b_i=\frac{1}{2}n(n-1)

と、元の数列の一般項も類推できる。

階乗冪[編集]

階乗冪の階差は再び階乗冪となる。m を与えられた整数とし、一般項が

k^{\lang m\rang} = \begin{cases}
 k(k-1)(k-2)\cdots(k-m+1) & (m > 0)\\
 1 & (m=0)\\
 1/k(k+1)(k+2)\cdots(k+|m|-1) & (m < 0)
\end{cases}

で定義される数列 (km)k を考えれば

\frac{\;\Delta k^{\lang m\rang}\!\!\!\!\!}{\,\Delta k} = m k^{\lang m-1\rang}

が成り立つことは簡単な計算でわかる(分母は Δk ≡ 1 だから書いても書かなくても同じだが)。逆に m ≠ −1 のとき k = 1, 2, ..., n − 1 について加えると

\sum_{k=1}^{n-1} k^{\lang m\rang} = \frac{1}{m+1}(n^{\lang m+1\rang} - 1^{\lang m+1\rang})

を得る。特に m ≥ 1 のとき km を展開することにより、冪和 Si(n) に関する関係式

\frac{(n+1)^{\lang m+1\rang}}{m+1} = S_m(n) - \frac{m(m-1)}{2}S_{m-1}(n) + \cdots + (-1)^{m-1}(m-1)!S_1(n)

が得られる。

階差表[編集]

もとの数列とその各階の階差数列を並べて表にしたものを階差表という。たとえば、二項係数の階差表はパスカルの三角形である。

  • 適当な自然数 m に対し、第 m-階差が等差数列となるとき、もとの数列を (m − 1)-階等差数列という。通常の階差数列は、1-階等差数列である。また、0-階等差数列は定数列である。一般項が添字 n の多項式であるような数列は必ず定数列となるような高階階差を持つから、高階等差数列のクラスに含まれる。

参考文献[編集]

  • J.H.コンウェイ, R.K.ガイ 『数の本』 根上生也訳、シュプリンガー・フェアラーク東京、2001年ISBN 978-4431707707

関連項目[編集]