酸化鉄(II)

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酸化鉄(II)
識別情報
CAS登録番号 1345-25-1
特性
化学式 FeO
モル質量 71.85 g/mol
密度 5.7 g/cm³
融点

1370 °C (1643.15 K)

沸点

3414 °C (3687.15 K)

危険性
主な危険性 発火性
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酸化鉄(II)(さんかてつ に、Iron(II) oxide)は酸化第一鉄(さんかだいいちてつ、ferrous oxide、ferrous iron)とも呼ばれる、酸化鉄の一種である。

酸化鉄(II)は黒色粉末で組成式FeOで表され、元素酸化数2をとり酸素と結合している。鉱石としてはウスタイトが知られている。

酸化鉄(II)ととは間違ってはならず、錆の場合は大抵、酸化鉄(III)の水和物から構成される。常温常圧で黒色の固体。発火性がある。酸化鉄(III) に比べて表面が密なので、鉄固体の表面をこの物質で覆うことによりさらなる酸化を防ぐことができる。鉄棒などの表面にさび止めとして使われている。脆く電気を通さない。

酸化鉄(II)は不定比化合物の代表例であり、鉄原子の欠損により元素の鉄と酸素との比は試料によりFe0.84OからFe0.95Oの幅を持つ[1]

製法[編集]

FeOはシュウ酸鉄(II)を真空中で加熱すると得られる[1]

FeC2O4 → FeO + CO + CO2

この黒色粉末は加熱により幾分反応するので、加熱した試料は急冷することで不均化を防ぐことができる[2]

化学量論的に均一な酸化鉄(II)は金属鉄を36kbarの条件下で加熱すると作成でき、組成式はFe0.95Oである[3]

反応[編集]

酸化鉄(II)は575°C以下では熱力学的に不安定で、高温の酸化鉄(II)をゆっくりと冷却すると不均化により金属鉄と酸化鉄(II,III)とに変化する[1][4]

4FeO → Fe + Fe3O4

構造[編集]

酸化鉄(II)は、岩塩と同じく立方晶を形成し、鉄は酸素を中心とする8面体の頂点に配置し、酸素は鉄中心とする8面体の頂点に配置している。Fe(+2)はFe(+3)になる為、酸化鉄(II)は不定比化合物に成り易い。一部のFe(+2)が3対2の比でFe(+3)に置き換わり、そこの酸素の結晶格子は四面体構造をとる[3]

200K以下では結晶構造は部分的に菱面体晶に変化し、試料によっては反磁性を示す[3]

用途[編集]

酸化鉄(II)は色素として使用される。FDAによると、酸化鉄(II)は化粧品や刺青のインクとしても使用される。

註・出典[編集]

  1. ^ a b c Greenwood, N. N.; Earnshaw, A. (1997). Chemistry of the Elements (2nd Edition ed.). Oxford:Butterworth-Heinemann. ISBN 0-7506-3365-4. 
  2. ^ Cotton, F. Albert; Geoffrey Wilkinson|Wilkinson, Geoffrey; Murillo, Carlos A.; Bochmann, Manfred (1999). Advanced Inorganic Chemistry (6th Edn.) New York:Wiley-Interscience. ISBN 0-471-19957-5.
  3. ^ a b c Wells A.F. (1984) Structural Inorganic Chemistry 5th edition Oxford University Press ISBN 0198553706
  4. ^ コットン、ウイルキンソン、『無機化学』(下)、原著第三版、培風館、p.767、1973。ISBN 4-563-04066-5