退職代行サービス

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退職代行サービス(たいしょくだいこうサービス)とは、労働者の退職の手続を代行するサービスである[1]

概要[編集]

日本においては2010年代後半から発生した。そもそも社会的に転職者数が増加したことや、会社側の執拗な引き留めなどの労働問題がその背景にあると考えられている[1]

2018年頃からはテレビの報道番組でも取り上げられるなどして認知度が高まった[2]

退職代行サービスは大きく分けて弁護士労働組合、それ以外が行うものの3つに分類される。弁護士、労働組合の場合は退職の連絡の仲介に加えて会社との交渉もサービスに含まれる。会社と交渉できることによって、有給休暇消化の申請、退職金の支払い請求、未払い給与残業代の支払い請求、退職日の設定など行うことができる。しかしそれ以外の業者の場合は交渉は一切行わず、退職の連絡の仲介のみを行うものがほとんどである[要出典]

弁護士法第72条により、弁護士以外が法律事務を行うことは違法であり、弁護士または弁護士法人でない退職代行業者が実質的に労働者の代理人として使用者と交渉を行うなど法律事務に該当する行為を行えば、同条に違反するおそれがある(非弁行為)。この場合、労働者が使用者に伝達した退職の意思表示自体が公序良俗違反(民法代90条)により無効となり、退職したつもりでも退職できていないままとなるリスクがある[3]

労働組合は日本国憲法第28条および労働組合法によって団体交渉が保証されているので違法ではないと考えられている[要出典]

ただし、依頼者の退職の意思を代わりに会社に伝えること自体が法律事務に該当し、非弁行為にあたるのではないかという議論もある[要出典]

業務の流れ[編集]

業務の内容は業者ごとに異なるが、大きくは以下で示すとおりである。

  1. 電話、メール、LINEなどで業者と連絡を取り、退職したい旨や雇用形態などを伝える。
  2. 提示された退職代行費用を銀行振込またはクレジットカードなどで支払う。
  3. 業者が依頼者に代わって、退職の意思を伝える。
  4. 退職届を依頼者自身が作成、送付し、離職票などが会社から届き退職が完了する。

法律上の問題点[編集]

退職の意思表示の法的意味[編集]

一口に退職の意思表示といっても、辞職(労働者からの一方的意思表示による労働契約の解約。民法第627条)と、労働契約の合意解約の申し込みとの2種類があり、その法律効果にも両者で差がある[注釈 1]ところ、退職代行によって伝達される意思はこのいずれに属するか判然としない可能性があり、労働者本人に対する追加の確認が必要となりうる[4][注釈 2]

非弁行為該当性[編集]

弁護士以外が行う退職代行サービスの依頼者の代わりに退職の意思を伝えるという業務が弁護士法72条(非弁活動)に違反するのではないかと問題視されている。

退職代行サービスが行う退職の意思を依頼者に代わり会社に伝えるという行為が退職という法律上の効果を生むのではないかというのが争点[5]である(退職を法律上の効果と考えるかどうかについても議論あり)。退職代行サービス側は自身を依頼者と会社の仲介役、いわば完成された意思表示を伝える使者と認識しており、法律効果を発生させるのは依頼者と考えている。また、退職代行サービスでは、依頼者に退職届を書かせ郵送させるので、退職届が会社に届くことによって退職という法律効果が発生するという考え方もある。

なお、労働組合が行う退職代行サービスについても、退職代行を目的とした労働組合は労働組合法における労働組合の定義に当てはまらない、よって非弁活動であるという指摘がある。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 辞職では使用者の承諾は不要だが、合意解約の申し込みであれば所有者が承諾して初めて法律効果が生じる[4]
  2. ^ 書類の標題が「退職願」であるか「退職届」であるかといった形式面だけで決せられる問題でもなく、実質的な法的判断が必要となる[4]

出典[編集]

参考文献[編集]

  • 岡崎教行「退職代行 利用者急増! 退職代行会社等が関与する場合の留意点」『ビジネスガイド』第55巻第16号、2018年12月、 46-50頁、 NAID 40021729085

関連項目[編集]

外部リンク[編集]