貿易促進権限

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貿易促進権限(ぼうえきそくしんけんげん、英語: trade promotion authorityTPA)は、1990年代まではファスト・トラック権限(fast track negotiating authority、早期一括採決方式)と呼ばれていたものであり、アメリカ合衆国議会への事前通告等の条件を課す代わりに、議会は、大統領と外国政府との通商合意の個別内容の修正を求めずに一括承認するか不承認とするものである[1][2]

アメリカ合衆国憲法第2章第2条第2項では、大統領は上院の助言と承認を得て条約を締結する権限を有するとされるが、同憲法第1章第8条第3項では、連邦議会の立法権限として諸外国との通商を規制する権限も認めている[3]。2002年8月にジョージ・W・ブッシュ政権下においてTPA法(2002年超党派貿易促進権限法)が成立し、政府は貿易促進権限(TPA)を得た。これによって、議会への事前通告や交渉内容の限定などの条件を満たす限り、議会側は行政府の結んだ外国政府との通商合意について、個々の内容の修正を求めず迅速な審議により一括して諾否のみ決することとされた。

このようにTPAは議会の影響力を相対的に低下させるため、議会は2005年6月に延長を認めたもののさらなる延長は認めず、2007年7月1日に失効。バラク・オバマ政権は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉加速のため議会に対しTPAを求めているが、議会では賛否が割れている[4]。2014年1月には大統領にTPAを与える法案が超党派により議会に提出されたが、与党の支持基盤である労組や党内からも反対の声があがるなど復活はならなかった[5]

2015年4月17日、超党派議員によってTPA関連法案が議会に提出され[6]、5月22日に上院はTPA法案を可決[7]。下院では貿易に伴う失業者対策を含めた労働者支援法案(TAA)とセットになって提出され、6月12日にTPA関連法案はわずか8票差で可決したものの、その直前にTAA法案が大差で否決されていたため下院を通過しなかった[8]。このため、米議会ではTAA法案を抜きにしたTPA関連法案の単独採決が模索され始め[9]、6月18日には下院でTPA関連法案を単独で採決し、10票差で可決[10]。再び上院に送られ、6月24日にTPA法案は可決され、ようやく成立することとなった[11]。いったん下院で葬り去られたTAA法案も6月24日に上院で可決され、その後6月26日に下院でも可決されたため、成立することとなった[12]

脚注[編集]

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  1. ^ 日本貿易振興機構(ジェトロ)「調査レポート 超党派大統領貿易促進権限(TPA)(仮訳)」
  2. ^ 外務省「大統領貿易促進権限(Trade Promotion Authority)」について
  3. ^ アメリカ合衆国憲法(和訳)米国大使館レファレンス資料室
  4. ^ “米政権、TPP加速へ苦慮…切り札「TPA」復活、議会割れる”. 産経新聞. (2013年11月16日). http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131116/fnc13111612230007-n1.htm 2013年11月30日閲覧。 
  5. ^ “米で貿易促進権限法案が暗礁に、「身内」が抵抗 TPP足引っ張る”. 産経新聞. (2014年2月2日). http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140202/fnc14020210080001-n1.htm 2014年2月3日閲覧。 
  6. ^ “米超党派の議員、TPA法案を議会に提出 TPP妥結へ弾み”. ロイター (ロイター). (2015年4月17日). http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N72N720150417 2015年7月8日閲覧。 
  7. ^ “TPA法案、上院可決の舞台裏 8人を動かした意外なキーマンとは?”. 産経新聞. (2015年6月1日). http://www.sankei.com/world/news/150601/wor1506010002-n1.html 2015年7月8日閲覧。 
  8. ^ “米TPA法案の下院通過ならず、16日再採決へ調整”. ロイター (ロイター). (2015年6月13日). http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OS25920150612 2015年7月8日閲覧。 
  9. ^ “米下院、TPA法案の単独可決を模索 共和党は上院通過に懸念も”. 産経新聞. (2015年6月17日). http://www.sankei.com/world/news/150617/wor1506170038-n1.html 2015年7月8日閲覧。 
  10. ^ “オバマ米大統領のTPA法案、下院が可決-上院で再採決へ”. bloomberg.co.jp (ブルームバーグ). (2015年6月19日). http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NQ5GBQ6KLVRB01.html 2015年7月8日閲覧。 
  11. ^ “米上院がTPA法案を再可決、TPP妥結へ大きく前進”. ロイター (ロイター). (2015年6月26日). http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0P42MK20150625 2015年7月8日閲覧。 
  12. ^ “米下院、労働者支援の継続法案可決 オバマ大統領に送付へ”. ロイター (ロイター). (2015年6月26日). http://jp.reuters.com/article/jp_Abenomics/idJPKBN0P52K620150625 2015年7月8日閲覧。